権力者にすり寄るのは三流の人間。30代のうちに覚えたい「生き方のヒント」
公開日:2020/4/6
かつて中国の思想家・孔子は、「三十にして立つ」という言葉を残した。それは、孔子みずからが学問の研鑽を図った末に教師としてやっと自立できるようになったからで、その言葉は、現代でも“30代を生きる”指針として語り継がれている。
しかし、現実はそうそう上手くいくことばかりではない。20代の頃の自分の若さに後ろ髪を引かれながらも、転職や結婚、出産、マイホーム購入など、この先の人生を大きく左右する決断に迷わされ、一方ではこれまでの経験を活かして「一旗あげてやろう!」という野心が芽生えてくる時期でもある。
『30代を無駄に生きるな』(永松茂久/きずな出版)は、そんな迷える30代の背中を押してくれる1冊。「人生は30代で9割が決まる」と強く語る著者が、人生の節目を乗り越え未来へ繋げるための生き方を提案してくれる。
“人生の道標”になるようなメンターを見つけよう
30代は人生最後の「モラトリアム」期間であると主張する著者。40代から先の人生を考えると、30代はそのための最後の助走期間。選択に迷うことが多いこの時期に、自分の人生に対して助言をしてくれる「メンター」を持つべきだと語る。
メンターは、日本語でいえば「師匠」に近いような存在であるが、あなたの人生をナビゲートしてくれる人を見つけようということ。例えば、職場の先輩や上司、セミナーの講師、あるいは、飲み屋でたまたま知り合った尊敬できる人など、どこで出会うかに限りはない。自分のことを受け入れてくれる一方で、道標を示してくれるような人と交流を図っておきたい。
そして、メンターは「一分野につき一人」ずつ見つけておくべきだと著者はいう。これは、同じ分野について多方向から話を聞きすぎると、情報ばかりが増え、結局自分が何を選べばいいのかわからなくなってしまうから。もし、メンターとして尊敬したいという人を見つけたら、そのアドバイスをもらいながら自身で考え行動に移していけば、きっと人生を変えるチャンスがつかめるはずだ。
立場におごらず、新入社員には親切に接する
傍若無人な振る舞いが許されるのも20代まで。30代にさしかかると、人との節度のあるコミュニケーションが求められる。そういえば自分の周りもいつの間にか後輩が増えたと感じる人も、この春には多いかもしれないが、著者は「新入社員や新しいスタッフほど親切にしよう」とアドバイスする。
年齢が上がったからといって、けっして人に偉そうな態度を見せてはいけないのだ。本書では、次のようなフレーズが記載されている。
三流と呼ばれる人は、いま権力を持っている人を大切にする。
二流と呼ばれる人はトップに近い人に近づき、その勝ち馬に乗ろうとする。
そして、一流と呼ばれる人は、まだ頭角を現していないこれからの人を大切にすることができる。
今は自分より立場が下の人だとしても、いずれ追い抜かれるかもしれない。反対に、今は権力がある人でも、将来転げ落ちる可能性だって大いにある。誰かのために気遣ったやさしさは、きっと「何十倍にもなって返ってくる」。だからこそ、現在の立場だけにまどわされない視野を持つ必要があるのだ。
経験を糧に30代で副業デビューすべし!
働き方改革の影響もあり、従業員の副業を許可する企業も増えてきた昨今。これからの時代は、ひとりがひとつのアイデンティティを持つのではなく、ひとりがより多くのアイデンティティを当たり前のように持つという時代に変化する、と著者は将来を展望する。その著者が勧めるのが、30代での副業デビューだ。
その理由は、30代はフットワークの軽さを持ちながらも時間的・経済的な余裕が生まれ、なおかつ、ある程度の社会経験や信頼が積み重なってくるため。40代以降になると、本業の職場ではより大きな責任を求められることになるし、やがて訪れる老後の資金についていよいよ本格的に検討しないといけなくなる。稼ぐための土台を作るには、30代はうってつけの時期というわけだ。
転職について考える大きな理由は、「労働に対して報酬がともなわないこと」だろう。それならば、「いまの仕事以外に稼げることはないか?」と考えるのが賢明。現在ではパソコンやスマートフォンだけで完結できるビジネスのアイデアもたくさんあるので、積極的に取り組んでみるべきだろう。
ただがむしゃらでひたむきにやっていても思い通りに評価されず、きちんとした結果が求められるようになるのが30代。正直いって、ちょっとしんどい。だが、この時期を強く生き抜くことができれば、40代からの人生もきっと明るく開けてくるはずだ。本書のアドバイスをたよりに、いまの内に自分の人生を見つめ直してみよう。
文=カネコシュウヘイ