今年も「あるかしら文庫フェア」がやってきた! 絵本から飛び出し応援大使に就任した“あるかしらおじさん”も注目の、厳選16冊

文芸・カルチャー

公開日:2020/5/30

「こんな本あったらいいな」の妄想がつまったヨシタケシンスケさんの絵本『あるかしら書店』(ポプラ社)。30万部突破の同作とコラボして始まった「あるかしら文庫フェア」も今年で3年目!

『あるかしら書店』(ポプラ社)

 このフェアの特徴はなんといっても、あらすじが伏せられていること。ヨシタケシンスケさん描きおろしの特製カバーに書かれているのは、タイトルと著者名、それから、「少しずつ読めてそのつど前向きになれる。そんな本、あるかしら?」「読みやすくて読後感もやさしい、あまり本を読まない私にもおススメの本、あるかしら?」という文章だけだ。

 例年どおり、1冊お買い上げごとに、ヨシタケさん描き下ろしのしおりが1枚プレゼントされるほか、カバーには絵本から飛び出して応援大使に就任した“あるかしらおじさん”のイラストが描かれているのも注目。

advertisement
リアル書店限定!

 新しく8作品がくわわって、展開される作品は全16冊。たとえば、「しっかりしたテーマで深く心に残る本、あるかしら?」と書かれているのは、ドリアン助川さんの『あん』。故・樹木希林さんが出演した映画が話題を呼んだ同作は、どら焼きやの店長・千太郎が、手は不自由だけど絶品の餡をたく老婆・徳江との出会いによって、ハンセン病患者の現実を知っていく物語。

※こちらはリアル書店限定のカバーです。ネットでご注文の場合、こちらのカバー・しおりはつきませんのでご注意ください。お手数ですが、お近くの書店様に直接お問合せくださいますよう宜しくお願い申し上げます。

 

「切ないラブストーリー! 号泣! そんな気分なの。これぞ!っていうの、あるかしら?」と書かれているのは青谷真未さん『君の嘘と、やさしい死神』。ノーといえない極度のおひとよし高校生・太郎と、いまどき携帯電話ももっていない同級生の美少女・玲の、運命的な出会いを描いた純愛小説だ。

 どちらの物語も「あるかしら?」の文章だけでは想像できない奥行きが広がっている。でも、前情報がないからこそ、シンプルに打たれるということもある。ふだんだったら手に取らない小説にのめりこむ可能性もあるだろう。ちなみに「少しずつ読めてそのつど前向きになれる」のは『あずかりやさん』(大山淳子)、「あまり本を読まない私にもおススメの本」は『花咲小路四丁目の聖人』(小路幸也)。どんな物語かは、読んで確認してみてほしい。

文=立花もも

2020年あるかしら文庫フェア対象作品
『食堂かたつむり』 小川糸
『恋文の技術』 森見登美彦
『あん』 ドリアン助川
『コンビニたそがれ堂』 村山早紀
『おとな小学生』 益田ミリ
『翔ぶ少女』 原田マハ
『晴れた日は図書館へいこう』 緑川聖司
『メロディ・フェア』 宮下奈都
『あずかりやさん』 大山淳子
『四十九日のレシピ』 伊吹有喜
『託された子は、陰陽師!?』 望月麻衣
『花咲小路四丁目の聖人』 小路幸也
『クローバー・レイン』 大崎梢
『君の嘘と、やさしい死神』 青谷真未
『湯島天神坂お宿如月庵へようこそ』 中島久枝
『みつばの郵便屋さん』 小野寺史宜

あるかしら文庫診断