電話が怖くてあたりまえ! 誰だって最初は「新人」なんです…押し寄せる試練に負けるな、新入社員!!
公開日:2020/4/7
新型コロナウイルスによって多くのイベントが中止となり、卒業式も規模を縮小して行なわれるなど厳しい状況が続く昨今。とはいえ、時の流れが止まるわけではないので、このような状況であっても新年度はやってくる。新年度となって、社会人としてデビューしたという人も多いはずだ。新社会人ならば誰しも、これからの生活に対する期待や不安を抱いているだろう。『新入社員がまいります!』(らおや/講談社)は、社会人デビューする新入社員の悲喜こもごもを描いた「お仕事エッセイコミック」だ。
物語の主人公は、ほたて商事の商品管理部に配属された新人社員・ながたさん。本書はながたさんの社会人1年目を通じて、その大変さや成長する喜びなどを綴っている。
まずながたさんが入社して思い知るのは、とにかく覚えることがたくさんあるということ。会社という未知の世界に飛び込むのだから、これは新入社員のほとんどに当てはまるに違いない。例えばその業界特有の専門用語や、会社内の機材やシステムの使いかたなど、最初は分からないことだらけであろう。ながたさんも入社当初は、謎用語の多さや機材使用のレクチャーなどに翻弄される日々。さらにデータ誤送信のミスをしでかしてしまうのだが、先輩社員のまるやまさんが優しくフォロー。まるやまさんの「新人のミスに責任を持つのが先輩の仕事です」という温かい言葉に、ながたさんは感極まるのであった。
ながたさんに訪れる次なる試練は「電話応対」である。最近は特に電話応対の苦手な新人が多いと聞くが、程度の差はあれど、誰だって最初は苦手なもの。ながたさんも初めは電話の音ににもビビる始末だったが、とにかく電話に出なければどうにもならない。最初は取引先の名前はおろか、会社の社員の名前すらすぐに思い浮かばないながたさん。しかしまずは電話に出ることでメモをしたり社員の予定を確認たりするなど、応対の手順を理解していった。そしてついには「電話応対が分かりやすいと好評でしたよ」と、お褒めの言葉をいただくことに。電話応対は基本的に「慣れ」である。もちろん言葉遣いなど一定の知識は必要だが、とにかく電話に出ることで、自分なりの応対が身についていくのだ。
新入社員として入社した場合、会社の規模にもよるが、同期入社の新人も存在するだろう。ながたさんにも、他部署だが同期の友人たちがいる。総務部のえりちゃんは明るく感じのよい娘で、英会話もできると社内で評判。営業部のわかなちゃんは活動的で外回りの仕事も精力的にこなし、上司からも期待されている。そんな彼女たちと比べ、いまだに失敗ばかりの自分に自信をなくすながたさん。ところがえりちゃんに「ながたさんの電話応対を見習いましょうって言われたんだ」と聞いてビックリ。自分も知らないところで評価されていたことや、同期の友人たちもそれぞれ悩みながら頑張っていることを教えられ、同期のありがたさと大切さを知るのであった。
2020年の新年度は、新型コロナウイルスの蔓延で特異なものとなるだろう。もしかしたら、心配している新社会人もいるかもしれない。しかし新人にとっては、そんな状況などあまり関係ないはずである。なぜなら最初は、自分にできることを愚直にやっていくしかないからだ。ながたさんのように日々を一所懸命にこなしていくだけで、それは確実に成長へと繋がっていく。だから安心して、新社会人の第一歩を踏み出してほしい。もちろん、感染症対策は忘れずに!
文=木谷誠