気乗りしないお願いを引き受けてしまうアナタ向け。印象がよくなる断り方は?
更新日:2020/4/14
仕事でもプライベートでも、本音では引き受けたくない“お願い”を持ち掛けられることは多々ある。イエスと答えるのは簡単だ。なぜなら、その場が丸く収まるし、相手を不快にさせてしまったのでは…と心配する必要もない。
困るのはそのあとだ。キャパオーバーでできなかったら、結局相手に迷惑をかけることになってしまうので、最初に断っておけばよかったと後悔する。断るのが苦手なタイプによくある典型的な例だろう。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』(津田卓也/サンマーク出版)は、そんな筆者のような「今まで断れなかった人が、ちゃんと断れる人になる」ための方法を説く本。
著者の津田さんはクレーム対応の研修を数々行ってきたプロの講師。本書によれば、上手に断れないのは断り方を知らないから。「できないこと」は「できない」と真摯に伝えることで、かえって信頼を得ることもできるという。
具体的な方法を本書からいくつか紹介しよう。
「上手な断り方」には基本スタイルがある
断り方の基本、それは「感謝→結論→感謝」の形式だ。例えば、友人からの飲み会の誘いを断る場合には次のような流れになる。
あなた「誘ってくれてありがとう(→感謝)」
あなた「でもその日は予定が入ってしまっていて行けないんだ(→結論)、ごめんね」
友人「そうかぁ、残念」
あなた「誘ってくれてどうもありがとう(→感謝)」
この断り方をさらに効果的にするのは、「合計3回感謝の意を伝える」ことだという。上の例では既に2回伝えているので、3回目は時間をおいて伝えるといいだろう。後日会ったときなどに「この前はありがとう」と感謝を伝えれば、相手は断られたことよりも感謝された印象が強く残る。
手ごわい相手には「共同作業」が効果的
とはいえ、上記の方法だけではスムーズに断りきれないこともある。そういった相手とは、まず「戦わない」と心得ておくことが重要だ。
例えば、取引先の部長から無茶なお願いが来たケースを見てみよう。わずかな時間で新入社員向けの内容を詰め込んだ研修をして欲しいという。要望通りにしようとすると、中身の薄い研修になってしまうので、それをうまく伝えたい…。
それならば、「問題を共有する」姿勢を取ってみよう。まず、「より良い研修にするため、ご一緒に考えていただけませんか?」と持ち掛けるのだ。そのうえで、こう畳みかける。
あなた「部長が新入社員だったら、まず教わりたいことは何でしょう?」
部長「言葉遣いとか名刺交換とか、ビジネスマナーを学びたいな」
あなた「どのくらいの時間で学びたいですか? 10分でできますか?」
部長「いや、それは無理だよ。1時間くらいはやってほしい」
といった具合だ。一方的な説明ではなく、質問を交えることで、納得感を得やすくなる。
上記の会話例のように整理するとわかりやすいが、断るということは、別の何かを選ぶということでもある。人生における時間は有限だ。断ったことで空いた時間は、自分が本当にやりたかったことに回すこともできる。断り方を学ぶことは、「自分の人生を生きていく方法を知る」ことにもなるのだ。
「毎日時間が足りない…」と嘆く前に、自分自身の時間を確保するヒントを、本書で学んでみてはいかがだろうか。
文=寿々