「ほどよく無関心」が一番! 上手な人づき合いのコツ/『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む――』⑤
公開日:2020/4/24
「現役看護師」の女性僧侶・玉置妙憂さんが贈る人生の教科書。人づき合い、仕事、家族の介護…「頑張る」はいいけれど、「頑張りすぎ」はダメ。無理せず、ほどよく、上手に休む「頑張りすぎない考え方&実践法」満載の心がラクになる生き方をまとめた1冊です。
上手な人づき合いのコツは「適度な距離感」
――お互いの世界を認め合う
お釈迦さまは、人間関係についてどう考えていたでしょうか。「人間は孤独である」と考えるのが仏教です。根本的に、私たちはまったくのひとりです。ひとりで生まれてひとりで死んでいくのが私たち人間というもの。
「出会った人との縁を大切にしなさい」とお坊さんはよく言いますね。
それは、人間は孤独だという考えがまずあり、だからこそ「たとえ、一期一会の出会いであっても、ありがたいことだと思いなさい」ということなのです。
そして、仏教には「諸行無常」という教えがあります。
世の中は常に動いて流れて変わっていきます。
私たちは、誰かと出会い、その人がとてもいい人であれば、「この人と一生一緒にいたい」と思います。でも、その人との関係は、いずれ変わって、流れて、いつかはお別れしなければなりません。
人間は孤独で、世の中は移り変わっていくということを、本当は私たちも知っている。でも、ふだんはそのことに考えが及ばないでいるのもまた私たち……。
私たちは、「完璧にわかりあえて、永遠に一緒にいられる人がきっといる」と心のどこかで思っています。一方でまた、「一生、心を許しあえる友だち、心からわかりあえる恋人というのは幻想にすぎない」ということにも、実は私たちは気づいています。
この幻想とどうつき合うか――が、人づき合いを頑張りすぎないポイントだと思います。
また、仏教には「怨憎会苦」という言葉があります。嫌な人に会わなければいけない苦しみ、という意味です。
生・老・病・死を四苦、それに愛別離苦(愛するものと別れること)、求不得苦(欲しいものが手に入らないこと)、五蘊盛苦(身体と心が思うようにならないこと)と、この怨憎会苦の4つを加えて「四苦八苦」。人と会うことも苦しみのひとつなのです。
縁というものがあれば、誰かと出会います。縁がなければ出会いません。嫌な人、好きな人というのは関係ありません。
友だちが少ない、友だちができない……。それはあなたの責任ではありません。縁があるかないか、だけなのですから。
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先ほどお話ししたように、今あなたが見ている世界は、あなたがつくりあげた世界です。他人さまの世界とはちがいます。
人間関係を良好に保つためには、「お互いの世界を認めてあげる」ということが大切です。
では、「認めてあげる」ためにはどうしたらいいでしょうか。
それは、「ほどよく無関心でいる」という心持ちで相手と接することです。
たとえ、相手が自分とはちがう考えや行動をしたとしても、「ああ、そういう考え方もあるのね」という感じであまり干渉しない。
ああだの、こうだの、ごちゃごちゃ言うのは、自分の世界の押しつけで、相手を認めていない証拠です。
家族や恋人、親友など、近しい間がらになればなるほど、自分と同じ考えや行動をしてもらいたいと思います。お気持ちは十分わかりますが、でも、そこはあまり頑張りすぎないでくださいね。
上手な人づき合いのコツは、「適度な距離感」なのです。