落ち着いたら“自転車さんぽ”はいかが?『散歩の達人』編集長コラム
更新日:2020/4/24
こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、不要不急の外出が自粛となっている現在。飲食店をはじめとして居酒屋や映画館、寄席などの営業自粛も要請されており、お出かけどころではないご時世です。でも、そんなときだからこそ『散歩の達人』およびWeb「さんたつ」は、いい街やいい店、そして散歩の楽しみを発信し続けていきたいと思います。そんな我々編集部・スタッフの思いは「いま“散歩”にできること」に書いております。
さて、私たち編集部もリモートワークをしながら、なんとか編集業務を続けております。そして5月号も上記の思いをもって発売いたします! 皆さんもきっと“お出かけしたい熱”が増していることでしょう。そんなお出かけ熱を少しでも誌上さんぽで応えたいと思います。
今月号は「東京周辺 自転車さんぽ」と「池袋カルチャー最前線!」という2大特集。自転車と一緒に跳ねる、小島よしおさんの表紙が目印です。今回のコラムでは、そんな「東京周辺 自転車さんぽ」の中から、今の状況が落ち着いたらぜひおすすめしたい、2つのテーマでの自転車さんぽをご案内します。
まず一つ目のテーマは「二人乗り自転車」。二人乗り自転車(タンデム車)とは、サドルもペダルも2人分ある縦に長い自転車のこと。なんとそのタンデム車で都内の公道を走ることができるのです!
『東京タンデム』で借りたタンデム車は、後輪に車輪が2つ並んでいて、三輪車になっているから、公道でも走行できるのだとか(その後輪がダブルになっていることで、初心者でも乗りやすくなっている)。実際に見てみると思った以上に長い、大きい! せっかくなので、2台借りて編集部全員で乗ってみることにしました(残念ながらW邉だけが別件の取材のため参加できなかったので、くじ引きのイラストを描いてくれました)。
2チームで散歩がてら自転車レースをしようということになり、コース設定などを今号で卒業のT代が担当してくれました。詳しくは誌面を見ていただきたいのですが、この二人乗り自転車、簡単に考えてはいけません。実際に体験してみて、これを普通に乗るには2人の息が相当合っていないと無理、ということがわかりました。
今回、私はT代と乗ったのですが、T代が意気込んで前に乗ったものの、まったく息が合わず、まっすぐ進むこともままなりません。最初から恐ろしく不安なスタートで、これはわがチームは棄権か……、という思いも頭をよぎったほどでした。仕方がないので、私が前に乗ることになったのですが、これも後席の人と息が合っていないと、ペダルが重い重い。3時間後にはなんだか必要以上に疲れていたのでした(もう一方のチームは2人とも余裕の表情……)。
ただ、我々のコースはアップダウンがほとんどなかったので、スピードに乗りさえすれば快適。珍奇なものを見る沿道の人たちの目線も楽しいほどです。ぜひご体験あれ。
もう一つのテーマは「フォト&ライド」。フォト&ライドとは、写真を撮るためにサイクリングすることですが、自転車さんぽにぴったりのテーマ。今月号でもプロカメラマンさんが素敵なカメラを使って紹介していますが、私も写真家の中村貴史先生とともに横浜でフォト&ライドをしてみました。これが思った以上に楽しいのです。散歩とカメラって相性は抜群だと思っていたのですが、自転車さんぽだとアトラクション的要素がプラスされて、もっと楽しくなります。
舞台はフォトジェニックな街・横浜。横浜だと見どころは海辺に集中しているので、電車&徒歩だと意外に移動が面倒だったりします。そこで自転車です。自転車を使うとその移動自体が苦じゃなくなるどころか、移動そのものも楽しくなるのです。汽車道は自転車に乗っては通れないので、自転車を押して歩きましたが、その様子でさえもフォトジェニック。大さん橋からの夕景撮影や中華街での夜景撮影など、昼間から夜まで楽しめました。
さらに港の見える丘公園までの谷戸坂の急坂を上るチャレンジをしてみたり、自転車を店内に持ち込めるカフェに行ったり、自転車さんぽならではの魅力も満喫。散歩が楽しいと撮影も楽しい。かなりの撮影数になってしまいましたが、その様子はぜひ誌面でお楽しみくださいませ。
自転車さんぽ特集では、ほかにもおすすめ企画がずらり。表紙にもご登場の「小島よしおとTOKYO RIDE!」をはじめ、東京の自転車さんぽコースを紹介する「TOKYO CITY RIDE」では「水辺を巡る自転車さんぽ」「自転車で世田谷周遊さんぽ」「自転車で東京地形さんぽ」といった、オリジナル3コースを提案。どれもレンタサイクルで楽しめます。
また、「赤い自転車でゆく! 町中華練馬探検隊」「自転車で行きたいカフェ」などなど、自転車さんぽにまつわる企画が盛りだくさん。読んでいて自分の自転車がほしくなったらぜひ「おすすめ“さんぽバイク”図鑑」をチェックしてくださいね。
そしてもう一つの特集「池袋カルチャー最前線!」も必見。なんと今年、あのトキワ荘が『トキワ荘マンガミュージアム』として復活するのです。この状況下で、オープンは未定ですが、行く前に知っておくとより楽しめるはずですので、ぜひ本誌で事前にチェックを。
特集内ではあの有名マンガ家たちと一緒に「トキワ荘」に実際に住んでいた鈴木伸一先生のインタビューとともに、「“トキワ荘の街”を歩く」という企画もあり、当時、この街を歩いていた先生方のことをイメージしながら、ミュージアムと合わせて周辺散歩も楽しめます。さらに「トキワ荘」から広がり、「進化する本×池袋カルチャー」、「池袋モンパルナスを探して」まで、池袋近辺のカルチャー最前線をしっかり紹介しています。
今はみんなでお出かけ自体は我慢する時期ですが、まずは本誌で誌上さんぽにおでかけください。私も早くいつも通りの散歩が楽しめるよう、心から祈っています。
土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。
・高輪ゲートウェイ駅誕生で再注目の山手線へ!「山手線30駅さんぽ」に挑戦しよう。
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