うちの子の成績が伸びないのはなんで? 記憶を分析して分かった「最短で効果が現れる勉強法」

出産・子育て

公開日:2020/5/6

『「記憶」を科学的に分析してわかった小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(菊池洋匡/実務教育出版)

 学校での勉強がままならない今、我が子の学力を家庭で少しでもアップさせたいと思い、問題集を購入したり、通信教材に頼ったりしている親御さんは多いはず。しかし、この学習法で学力を向上させられるのかと不安に思ってる方もいるのでは? そんな時、ぜひ手に取ってほしいのが『「記憶」を科学的に分析してわかった小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(菊池洋匡/実務教育出版)だ。

 著者で中学受験専門塾の代表を務める菊池洋匡さんいわく、「学習」は脳の仕組みに基づいて行うかどうかで効率が大きく変わり、頭の使い方を知らずに能力を発揮できていない子は世の中にたくさんいるのだそう。要領よく勉強して結果が出せる子と頑張っているのに成果が出ない子の違いは、実は勉強法にあると指摘する。

 本書がユニークなのは、単に良い勉強法を伝授するのではなく、どうすれば子どもに良い勉強法をさせられるかにも着目している点。ぜひ、普段の自宅学習を振り返りつつ、子どもが本当に伸びる勉強法を学んでいこう。

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学力アップの秘密は「短期記憶」と「長期記憶」にあり!

 学力アップのコツは、繰り返し覚えること。そう思い、蛍光マーカーを使って必要な情報を記憶しようとする我が子を微笑ましく見守っている親御さんはきっと多いはず。しかし、実はこの勉強法にはあまり意味がない。模試やテストでも通用する学力を身につけるには、それよりも長期記憶と短期記憶の両方を上手く活用させられるようになることが重要なのだ。

 菊池さんによれば、私たちは問題を解く時、長期記憶と短期記憶の両方を使っているそう。まず、短期記憶は物事を考えるために必要な情報を一時的に置いておく場所。鍛えても大きくは伸ばせないので、成績アップのためには上手な活用の仕方を身につける必要がある。

 対して、長期記憶は自分にとって大事だと判断した情報がしまわれているところで、「保存」以外に「検索」という機能も持っている。実は覚えられない・思い出せないという状態になるのは、「保存」と「検索」のどちらかの働きが正しく機能していないから。長期記憶を上手く働かせるには、得た情報が生きるために大切なものだと脳に誤認させる必要がある。私たちにとって生きるために大切な情報とは「よく使う記憶」と「感情を動かされた記憶」。だからこそ、「何度でもやる(反復学習)」と「楽しくやる」が融合した勉強法を取り入れていくと効率よく学力をアップさせることが可能になるのだ。

 そうは言っても、具体的にどんな反復学習をさせればいいのだろう…。そう悩む親御さんにおすすめしたいのが「ランダム学習」。人は頭をよく使うほど記憶に残る性質があり、流れ作業で「さっきと同じ解き方をすればいいから…」と考えてしまうと、解法を「見破る力」も育たなくなってしまう。そのため、同じような内容を集中的に学習させるのではなく、いろいろなことをランダムに混ぜて学べるようにすると高い学習効果が得られるそう。「分かったつもり」になりにくいので、模試やテストでも通用する学力が身につくのだ。

 ランダム学習を行う時はサイコロやくじを使い、子ども自身に取り組む問題を決めさせるのがポイント。苦手な問題が最後まで選ばれなかったという偶然を避けられるように親側がサポートする必要はあるが、勉強をゲーム化するとワクワク感が芽生え、学習効率も上がるという一石二鳥な効果が得られるので、おすすめだ。

 なお、本書には他にも脳の作りに合わせた効率的な反復学習法が多数収録されており、科目別の成績アップ術や勉強をめんどくさがる我が子へのサポート法も知ることできる。ぜひ。これまでとは違った“学びの場”を家庭で提供し、我が子の中に眠っている才能を引き出してみてほしい。

文=古川諭香