谷口菜津子さんの「スキマ飯」をまねしたら天国へ行けました【レシピ】
公開日:2020/5/8
「スキマ飯」をまねしてみたい!
こんにちは。酒場ライターのパリッコです。大好きな漫画家さんであり、個人的に飲み友達でもある谷口菜津子先生が、新刊『スキマ飯』を出版されました。本につけられたキャッチコピーは「レトルト以上・ごちそう未満!」。
そもそも谷口さんは大変信頼できる酒飲みで、きちんと美味しいものを知っているし、友人を家に招けば気合の入ったコース料理を作ったりもする。しかしながら、仕事で疲れ果てた夜には、カットしたバターに明太子を乗せただけの「お恥(ち)まみ」で晩酌をしたりもする。基本方針は、酒がうまく飲めるかどうか。
そんな谷口さんの、自分だけをとことん幸せにすることを追求したレシピや、おつまみノウハウを凝縮した1冊が、この『スキマ飯』というわけなんですね。
個人的に最初から最後まで、「わかるわかる!」「真似してみたい~!」の連続だったわけですが、その中から、特に気になったいくつかのレシピを実際に作ってみました。
駄菓子アレンジレシピ
まずは気軽に試せそうな駄菓子アレンジレシピから2点ほど。最初は「豆苗とキャベツ太郎のサラダ」を作ってみましょう。
一瞬でできます。
半信半疑で食べてみると、これが確かに美味しい!
キャベツ太郎のしっとりサクサク感はサラダに入ったクルトンのようで、豆苗のシャキシャキとともに楽しい食感。ちょっとジャンクなんだけど、塩気はキャベツ太郎の味のみなので優しくもあり、健康にいいんだか悪いんだか混乱する味。でも、最高に酒が進む!
こんなにも簡単で、かつ誰も思いつかないような組み合わせがちゃんと美味しいとは、さすが谷口さんです。
続いては「みりんせんべい」のアレンジレシピ。
作中で谷口さんも触れていますが、そもそもこのみりんせんべいってやつは、酒のつまみとして大変優秀なんですよね。それを何やら、大胆にアレンジしてしまうみたいですね~。
カマンベールによく似た白カビチーズのようですね。見つからなければカマンベールで代用可でしょう。
さてどんな味なのか。慎重に持ち上げ、かぶりついてみると……うわーなにこれ! 超うまい!
玉子、チーズ、マヨネーズのまろやかなコク。しらすと海苔が連れてきた海の香りと塩気。それらが渾然一体となり、どれが欠けても物足りなくなってしまうであろう絶妙なバランスを生みだしています。
味はしょっぱい方面に振りきれているんですが、それらの具材を挟むみりんせんべいの甘みが、頼もしく全体をまとめあげている。
みりんせんべいのパリッとした食感と、なかのトロ~の対比も素晴らしすぎ。
いろいろ浅漬け
作中で、浅漬けの美味しさに目覚めた谷口さん。酒飲みならではの好奇心から、さまざまな食材を浅漬けにしてみる回も読み応えがありました。
これまたさっそくスーパーへ探しにいってみるものの、何軒か回ったんですが、オーソドックスな浅漬けの素しか発見できませんでした。そこで苦肉の策として思いついたのがこちら。
何事も実際にやってみることが大事。いろいろ漬けてみましょう。
皿の右側がオーソドックスバージョン。左側がキムチの素も加えたバージョン。
長年酒飲みやってますけど、大皿に浅漬けだけを山盛りにして晩酌するのは初めてですよ。いや~楽しい。
まず、気になる「キムチの素プラス」の結果ですが、ちょっぴりキムチ風味のパンチが加わった浅漬けという感じでちゃんと美味しいです。今後浅漬けアレンジのひとつとして重宝しそう。
谷口さんのおすすめだった、アボカドやカマンベールチーズはまったりと濃厚で文句なし。タケノコやマッシュルームも酒のつまみとしてとてもおもしろい。それから、ピクルスでは定番のパプリカ。これが、慣れ親しんだ味なぶん、個人的にピクルスにするよりも好きなんじゃないかって感じで、良い発見でした。
身がねっとりと濃厚になりつつ、コリコリとした食感も加わって、これはいい酒のつまみだな~。
それにしても、浅漬けってこんなにも自由でよかったんだ。
「3500円で天国に逝ける家飲み」を実践!
最後はレシピではないんですが、「スキマ飯」を読んで、絶っっっ対にまねしてみたかった回を自分なりに実践します。
毎日ではない。けれども、たまにはちょっとだけ贅沢をして、自分を甘やかす日があってもいいんじゃないだろうか?
谷口さんは、外で飲んだときに高いとも安いとも思わない値段であるという「3500円」という値段を設定し、予算内で欲望のままに、自分の好きなものだけを買って楽しむ晩酌を決行します。
そんなの、絶対にやりたいに決まってる!
というわけで、地元のスーパーのなかでも特に良い品を扱っている「クイーンズ伊勢丹」へ行き、やってやりましたよ。
谷口さんは、ウニをメインに海鮮系で脇を固め、それらを海苔で巻いて食べるという方針の晩酌でしたが、僕もやっぱりウニは食べたかった。しかも、この瓶詰めの塩うにが前からずっと気になっていた。お値段は1280円。日常的な買い物に行って気軽に買えるものではない。買うなら今日しかないじゃないですか!
僕はさらに、いい肉も食べたかった。今日だけはそういうわがままを許してほしかった。そこで「松坂牛」ですよ。お得なこま切れとはいえ、100グラムあたりの値段が800円を超える超高級肉!
加えて、予算の範囲内で買えそうだったお刺身の切り落としとお酒も購入し、締めてお値段、税込3496円! よし、なかなかギリギリまで攻めこめたぞ。
けど美味しいですからね、「本麒麟」。大好きな日本酒「雪の茅舎」も予算内で買えました。
ではいざ、天国に旅だってきま~す!
しかも小皿にたっぷりと盛ったウニですが、
心地よい気候のなか、グビグビグビ~っとジョッキで飲むビール。すでに幸せすぎるんですが、
おぉ、瓶詰めのウニってピンからキリまであると思うんですが、さすがいい値段だっただけあり、臭みなどなく濃厚で美味しいですね~。は~、幸せすぎる。
うわ~これは……例えるならば、バーベキューを1回やって、たらふく飲み食いしたときに食べたすべての肉の旨みの合計と、このたった1切れの肉の旨みが同じ量。ちょっと尋常じゃない美味しさですよこれは。松阪牛って、こんなにもなのか……。
さらに酒飲みの欲望は果てしなく、
もはや天国を通り越し、バチが当たって地獄に落ちるんじゃないかって気分になってきました。
え~い、こうなりゃヤケだ!
当然最高です。
雪の茅舎のフルーティーな味わいが、今日の華やかなつまみたちと抜群にマッチしますね。
いやもうね……言葉がないです。
今回実際に作ってみたレシピは、本のなかのごく一部ですが、それでも確実にリピートしてしまうであろう絶品ばかりでした。そして幸せにもほどがあった3500円晩酌。外出自粛でなかなか飲みにいけない昨今、たまにはこんな贅沢もありだよね? と自分に言い聞かせ、今後も月に一度くらいのペースでやってしまいそうです……。
やっぱり谷口さんの食と酒への執念はすごい! 天才!
引き続き、あれこれまねしてみたいと思います~。