仕事でメール処理にかかる時間は? 1日平均すると…/『ビジネスチャット時短革命 ― メールは時間泥棒 ― メールを48.6%減らす働き方』①
公開日:2020/5/11
新型コロナウィルスの影響が拡大する中、在宅勤務を取り入れる動きが広がっています。テレワークやリモートワークの普及により、ビジネスチャット・オンライン会議の導入を進めている企業も急増し、従来のメール中心のコミュニケーションではビジネスが円滑に進まないケースも。新たな時代を生き抜くためのビジネスチャットとオンライン会議を駆使した「新しい働き方」を指南します。
「早く帰れ!」、でもメールは日々増えている……
「働き方改革」というキーワードを耳にする機会が増えています。ただその実態は、働き方改革に取り組んでいる企業は8割以上あるのに、「成功しています」と答える企業は12%しかいない状況です。なぜ多くの企業で働き方改革がうまくいかないのでしょうか? それは、目的と手段を履き違えているからです。働き方改革は手段であって、目的ではありません。めざすべき目的は、会社の成長と個人の幸せを両立させることです。その達成のために、手段としての働き方を変えるのが本来の働き方改革の姿です。そのためのITツールも、使うことが目的であってはいけません。より短い時間でより大きな成果を残すという目的のために、手段としてのITツールを使いこなすべきです。
1日に受信するメールの数は38.5通
ところで皆さんは、1日に何通のメールを処理していますか? メールのチェックと返信に日々追われてはいませんか? 弊社クロスリバーが支援している2.8万人のビジネスパーソンに調査した結果、1日のメール受信数は平均で38.5通でした。さらに123社の情報システム部門にヒアリングしたところ、社員1人が1年間に受信するメールの数は前年比で8.3%も増えていることもわかりました。前年の同調査では7.8%の増加だったので、メールの受信数の伸びが加速しているということです。また、社員500人以上の企業28社を調べると、メールの処理(閲覧・送信)に1日に平均2.8時間(うち1.8時間が社内用)、社内会議に3.8時間を費やしていることも明らかにできました。
大量のメールに埋もれてしまうと、重要な情報を見落としたり、必要な情報を探す時間がかかったりするなど、働き手の生産性は著しく低下してしまいます。やや古い統計ではありますが、総務省からは「10年間でメールの流通量が約4倍に跳ね上がっている」という調査結果も出ています(図表01-1)。
仕事を便利にするはずのメールがストレスに
弊社では、クライアント29社、社員計16.3万人に対して「働きがい調査」を毎年実施しています。その調査で記述式の自由コメント欄を設けているのですが、そこにはメールに関する多くのコメントが回答者から寄せられます。そのすべてのコメントをAIで感情分析したところ、「メール」に関する回答は89%がネガティブなものに分類されました。「相手から返事が来ずに業務に支障がある」「帰社後にメールで追い回される」「土日に上司からメールが来る」「訳もわからずCCに入れられる」……といった内容です。
メールの量が増えれば、当然それを処理するための時間も増えるので、長時間労働の削減とはまったく逆方向に向かってしまいます。メールの作業によって社内の人間関係が悪化したり、返信の待ち時間で業務効率を落としたり、多くのビジネスパーソンがメールに関するストレスを抱えています。いわゆる「100年ライフ」では、働く個人の幸せを実感しながら成果を残していくことが求められます。しかし、年々増えつづけるメールを使ってこのまま仕事をしていたら、会社の成長と社員の幸せを両立させるという目的を達成するどころか、むしろその達成を邪魔することになってしまいます。
COLUMN 情報収集はチャットで
私はGoogleアラートにキーワードを設定して、その情報が発信されると自動送信される仕組みを活用して情報収集しています。しかし、その送付先をメールにしてしまうと、顧客メールとの振り分けが面倒ですし、ほかのメールが届くと気が散って頭に入りにくいものです。そこで、配信先をRSSフィードに設定して、それをChatworkで受け取っています。このほうがメンバーへの共有や、情報を引用して詳細な調査をオンラインアシスタントに依頼することが容易にできるからです。