今から“育ちのよい”人になる方法。婚活レッスンで人気のマナー講師が教えるマナー違反のふるまいとは?

恋愛・結婚

更新日:2020/5/8

『「育ちがいい人」だけが知っていること』(諏内えみ/ダイヤモンド社)

 話し方や気遣い、テーブルマナーなどのスキルをトータルでレッスンし、多くの女性を婚活成功へと導いてきた人気マナー講師が上梓した『「育ちがいい人」だけが知っていること』(諏内えみ/ダイヤモンド社)。本書は大人が最低限知っておきたい「育ちのよさ」を感じさせるマナーや常識がまとめられた1冊である。

 人によっては「当たり前」と感じられるほど初歩的なマナーから、多くの人が勘違いして覚えている所作まで、紹介されているマナー・常識の数はなんと257個。本物の品が身につくという本書はマナー本にとどまらず、婚活本としても参考になるはずだ。

「にじみ出る育ちのよさ」の正体

 読むことで「にじみ出る育ちのよさ」を手に入れられるという本書。しかし「育ちのよさ」とは家柄や生まれ育った環境のことで、自分では変えようのないもの、というイメージはないだろうか。基本的なマナーを学ぶことで上品なふるまい方は身についても、育ちのよさは変えられないのでは? と反発を覚える人も多いだろう。

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 本書でいう「育ちのよさ」とは、マナー以前のちょっとした言葉遣いや所作からにじみ出るオーラのようなものを指す。マナー違反とまではいかなくても、品格や好感度を下げてしまうような、日常の何気ない言動が「育ち」を左右するのだという。

 たとえば決まりごとの多い冠婚葬祭や、畏まったレストランでの食事ではマナー通り、礼儀正しくふるまえても、ふとした何気ないところで出てしまうものが「育ち」なのである。そしてこれは、自分の力で変えていけるものなのだ。

よかれと思っていたことが…じつは勘違いのふるまいだった!

 ここでいくつか、本書の「じつは好ましくない所作や言葉遣い」を紹介する。

口元で手を押さえすぎない(p.33)

 笑ったり、話したり、食べたりするときに口元を手で押さえる仕草は、品のあるイメージを持つ人も多いだろう。

 しかし、じつはこれは「上品に見えるという勘違いのふるまい」。絶対にダメというわけではないが、やりすぎはよくないという。とくに海外では不自然に映るそうなので気をつけたい仕草だ。

「すみません」は使わない(p.57)

 謝罪や依頼、感謝の言葉のかわりに、つい「すみません」と言ってはいないだろうか。どんな意味にもとれる便利な言葉であるが、一方であいまいで相手に気持ちが伝わりにくいという側面もある。

「すみません」は丁寧さに欠ける言葉だというのだ。感謝なら「ありがとうございます」、謝罪なら「申し訳ありません」など、的確に気持ちを表現する言葉を使うように心がけたい。

お宅訪問は5分くらい遅れるのが相手への気遣いに(p.150)

 ビジネスシーンで誰かを訪ねるときは「5分前行動が基本」だ。約束の時間を過ぎての訪問は遅刻であり、相手にいい印象を与えないだろう。

 しかし知り合いのお宅に訪問する場合は、予定時間より前に到着すると相手をあわてさせてしまうかもしれない。そのため指定時間より5分くらい遅れるのが気遣いになるのだという。ただし、10分以上遅れるときは連絡を入れるように。

食事シーンで気をつけたいこと

 婚活パーティや合コン、飲み会など食事のあるシーンは「やりがちなNG行動」も多いようだ…。

逆さ箸は不衛生(p.209)

 逆さ箸とは大皿の料理を取り分けるときに、箸を上下逆に持ち替える行為のこと。「口をつけていないほうで…」という配慮や気遣いのつもりでついやってしまう人も多いと思うが、じつはマナー違反にあたるという。

 この場合の正解は、お店の人にお願いして取り箸をもらうこと。婚活などではこのひと手間が大切といえるのかもしれない。

お皿は重ねない(p.211)

 食べ終わったお皿をひとつにまとめておくことは、片づける相手への心遣いになる。しかしお皿を重ねることは、ありがた迷惑になることもあるという。

 たとえば重ねることでお皿の底に汚れがついたり、高価な器だと傷みの原因になったりする。テキパキと片づけたつもりが、じつはガサツに思われていた…なんてことは避けたいものだ。

 さいごに、本書の「はじめに」にある文章を紹介したい。

「育ちの良さ」とは、美しさをしのぐ一生の武器となります。
そして、どなたでも、今からでも、手に入れることができます。
「育ち」は、変えられます。変えていいのです。
「育ち」は、自分でつくるものなのですから。

 本書には「若者言葉、流行り言葉を使わない」「人を待たせない」など、大人のふるまいとしては当たり前、初歩的に感じる項目も多い。しかし本稿で取り上げたような、よかれと思っていたことが間違いだった、と気づかされる内容も少なくない。

 日ごろの自分のふるまいを見つめなおす、いいきっかけになる1冊である。「育ちがいい」と思われる人になるのは、今からでも遅くはないのだ。

文=ひがしあや