オンライン授業では、普段目立たない子も活躍! リモートならではの授業の利点

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公開日:2020/5/19

『テレワークの切り札! Office365 Teams 即効活用ガイド』(岩元直久:著、天野貴之:監修/日経BP)

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令とその延長に伴い、教育現場は対応に追われている。授業をオンラインで行おうとする取り組みもあるようだが、実際にそれはどのように行われているのだろうか。そして、新型コロナウイルスを乗り越えた後、教育現場はどのように変化していくのだろうか。

『テレワークの切り札! Office365 Teams 即効活用ガイド』(岩元直久:著、天野貴之:監修/日経BP)では、世界中でユーザー急増中のコミュニケーションツール「Teams」(Microsoft社)について詳しく解説している。「Teams」には、ビデオ会議機能やチャット機能、資料共有機能、ファイルの共同編集機能などがあり、WordやExcelなどのOffice 365ツールと連携できる。スマートフォンアプリも提供されており、テレワークはもちろんのこと、教育現場でも活用されているようだ。

 たとえば、本書には、学校法人足立学園中学校・高等学校(※)での活用例が掲載されている。足立学園では、中学2年生から高校3年生まですべての生徒にWindowsタブレットを持たせており、コミュニケーションのハブツールとして「Teams」を利用しているのだという。新型コロナウイルスの影響で登校が難しくなった2020年3月からは、オンラインで出席を取り、ビデオ会議機能を使って、遠隔での授業を実践し、子どもたちにオンラインで課題を与えている。だが、いつも学校で行っている授業をそのまま行えば良いというわけではない。子どもたちにとって興味がある授業をしているつもりでも、オンラインだと疲れたり、飽きたりしてしまいがちだ。20分を上限とするなどして、授業の仕方にも工夫をしているのだそうだ。

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 オンラインを用いることによって、生徒にも変化が生じ始めている。通常の授業では手を挙げられない子どもが、オンラインでは、よく発言してくれるようになったというケースは少なくない。学校ではそれまで一言も発しなかった子どもの考えを聞くことができるのは、教師にとってとても重要なこと。また、場所を問わずに学習ができることから、オンラインでの授業は、不登校である子どもを支援することにもつながる。

 さらに、オンラインの活用は、教員にとって仕事の手間を減らすことにもつながっている。足立学園では、毎朝の朝学習として小テストを実施してきた。毎日の小テストは学習の効果は高いが、教員にとっては、小テストの用紙を作り、回収してチェックし、成績をExcelなどにまとめるといった手間が日々重くのしかかっていたという。だが、アンケートフォーム機能で小テストの設問を設定すれば、生徒が学習して入力した答えが自動的に採点されて、成績がデータとして確認できる。設問さえ作ってしまえば、その後の手間はほとんど掛からない。すぐに理解状況などを分析することができるので、結果を授業に反映しやすいようだ。

 新型コロナウイルスの影響により、あらゆる教育現場において、オンラインで授業を行うという取り組みがなされている。これから、子どもたち一人ひとりがタブレットやPCを持ち、オンライン授業に参加するという仕組みが当たり前になっていけば、これからますます教育の現場は変わっていくだろう。たとえば、オンラインではもちろんのこと、実際の学校現場でも、電子黒板とタブレットPCを連携させ、授業中の板書の時間をゼロにすることができる。本書によると、ボタン一つで板書ができることで35%ほどの時間が短縮できるのだ。では、その時間を教育のためにどう活用していくのか。休校中の教育について考えるのはもちろんのこと、新型コロナウイルスを乗り越えた後の学校教育についても、考えていかねばならない。

文=アサトーミナミ