うちの子、“敏感っ子”かも?「HSC」を理解して長所を伸ばす育て方【チェックリスト付き】
公開日:2020/5/13
ちょっとしたことで火が付いたように泣き続けたり、初めての場所や知らない人に対して、極端におびえたり…。うちの子はなんでこんなに育てにくいのか――。
それ、もしかしたら「HSC(敏感っ子)」かも…。
思い当たる節があるママは、HSCの5人の子どもを育てた子育てコンサルタント&ママライター長岡真意子さんの著書『敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本』(長岡真意子/秀和システム)を手に取ってみてほしい。今まで一人で抱えていた悩みが晴れて、子育てがぐんとラクになるかもしれない。
「HSC(敏感っ子)」を理解すると、子どものポジティブな面が見えてくる
HSCとは「ハイリー・センシティブ・チャイルド(Highly Sensitive Child)」の略で、人一倍敏感な子どものことをいう。大人はHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる。
まずは本書に載っているチェックリストがどれだけ当てはまるか確認してみよう。下記に一部抜粋する。
・びっくりしやすい
・服のタグや縫い目、肌触りなど、身に着けるものの不快さを訴える
・私の心を読んでいるように感じる
・大きな変化に対応できず、普段できていることもできないことがある
・完璧主義
・他者の悲しみや苦しみによく気がつく
・痛みに対してものすごく敏感
・うるさい場所が苦手
・物事を深く感じる
当てはまる項目が多いと、HSCである可能性が高い。とはいえ、悲観的にとらえるなかれ。こうした敏感な性質を生まれ持つ人間は、全人口の15~20%もいるという。
著者の子どもは5人とも、HSCだったという。なかでも次男がとびきり敏感で、幼稚園の年長のときに「音が大きすぎるから」という理由で園に行けなくなってしまい、小学校1年生まで著者が付き添って登校するほどだったそうだ。
「なぜこんなに育てにくいの? 私の育て方が間違ってるの? 当時の私は子どもたちの敏感さについて、ネガティブにしかとらえることができず、ときに子どもたちにつらくあたってしまうこともありました。でもHSCという概念に出会い、知ることで、その謎がスルスルと解けて、敏感な性質のよさを認められるようになりました」(長岡さん)
本書には敏感っ子の特徴やかかわり方のポイントが、長岡さんの経験を交えてわかりやすく記されている。もしかしたら…と思うママは、HSCを知ることから始めてほしい。
「突き放す」と「守り切る」の“間”の対応が大切
本書に掲載されている敏感っ子とのかかわり方の例を1つご紹介。
プール遊びのとき、ほかの子は楽しそうに遊んでいるのに、自分の子どもはプールの水が怖いと泣いていたら、あなたならどうする?
「無理にでも水に入れて鍛えてやらないと!」「大丈夫、無理に入らなくてもいいよ」。前者が「突き放す」、後者が「守り切る」気持ちだとすると、HSCの子どもにはその“間”の対応が適切だという。
この場合だと、まずはお母さんと一緒に足だけ水につけてみる。足をバタバタさせて水しぶきをあげて遊んでみる。最初は嫌がっても段々慣れてきたら今度は一緒にプールに入ってみる。出たり入ったりを繰り返すうちに「水の中もそんなに悪くないかもなぁ」と子どもに思わせたら万々歳!
筋トレと同じく、すこし負荷がかかるくらいの対応をコツコツと続けると、子どもは自分が引いた「苦手」という境界線をすこしずつ押し広げていける。ママも子どものペースを大切にしながら大らかな気持ちで見守ってあげるといい。
HSCの子どもには大人がよかれと思ってする「一般的なしつけ」がネガティブにしか働かないような状況が多々あると著者はいう。ママにできることは、周囲の子と比べて悩むことではなく、敏感な性質を理解してその子のペースに寄り添って接してあげること。子どもの敏感さをポジティブにとらえることができれば、親子で過ごす日々が今よりもっと楽しくなるはずだ。
文=齋藤久美子