経費を貯金から持ち出すのは「自分からの借入金」と心得よ/フリーランス、自営業のためのお金の超基本⑥
公開日:2020/5/28
フリーランス、自営業がコロナショックを生き抜くための決定版! 人気家計再生コンサルタントがお金の管理術を丁寧に解説します。フリーランス、自営業だからできるお得な「お金の話」を大公開。
経費の見落としに要注意
「A社の仕事で必要な経費を、先に貯金から持ち出したものの、数か月後にA社から入金があったときに、貯金に戻すのを忘れてしまう」というのは、フリーランス、自営業にありがちなミス。しかしそれでは、いつまでたってもお金はたまりません。
ここで、「いくら頑張っても貯金が増えない」という人がハマりがちな、もう一つの落とし穴についてもお話ししておきましょう。
たとえばみなさんは、次のような経験をしたことがありませんか?
①毎月せっせと貯金して、ようやく500万円たまった。
②ある仕事の経費として、前もって20万円の支出が必要になり、手持ちのお金に余裕がなかったため、貯金から20万円を持ち出した。
③数か月後、その仕事で100万円の入金があったが、以前貯金から引き出した20万円を戻すことはなく、100万円は生活費や別の仕事の経費などに消えた。
貯金に20万円を戻さなかった理由は、
「貯金から持ち出したことを忘れていた」
「いずれにせよ自分のお金だから、別に戻さなくてもいいやと思った」
「まとまったお金が入ると、つい気が大きくなって使ってしまった」
など、いろいろと考えられますが、いずれにせよこれでは、貯金は目減りする一方です。
また、こうしたケースで陥りやすいのは、貯金からの持ち出しを考えから外し、100万円の入金を「その月の売上」ととらえてしまうという「錯覚」です。
そうなると、たとえばその月に10万円の支出(経費)があった場合、ついつい
100万円(売上)-10万円(その月にかかった経費)=90万円(手取り)
などと考えてしまいがちです。
しかし、実際の手取りは
100万円-10万円-20万円(数か月前に貯金から持ち出した経費)=70万円
なのです。
最終的に確定申告時など、事業の収支を出す際に「貯金から20万円借りていた」と気づくことが多いのですが、時すでに遅しとなりがちですから、
「自分からの借入金」として帳簿に残しておくなり、メモを残すなりして、売上の状況を見ながら、すみやかに、持ち出した分を貯金に戻すようにしましょう。