書けないというのは思い込み! “まとまりのある文章”が書けるようになるには? 流れを解説!/めんどくさがりなきみのための文章教室②
公開日:2020/5/30
めんどくさがりな人ほど、文章の才能がある――。著書累計510万部以上の作家はやみねかおる初の実用書。 だれでも文章が上達する方法を、ぽっちゃり猫が小説形式で楽しく教えます。作文、メール、レポートから小説まで、これ1冊で文章がみるみる上達するはず!
作文の宿題乗りきり編
めんどくさく感じるのは、才能がある証拠!
ダナイに言われたよう、1行目に昨日、遠足がありましたと書く。そこから、起きたことを順に書いていこうとしたんだけど、手が止まる。
「どうしんたんだい?」
机の上によじ登ってきたダナイが、ぼくの手元を見て訊いてきた。運動不足でダイエットが必要なダナイは、机の上に乗るのも、大仕事なのだ。
ぼくは、頭の後ろで手を組んで言う。
「起きたこと――学校に集合して、健康観察して、先生の注意を聞いて、出発して、ダラダラ歩いて……。こんなことを順番に書いていかなきゃいけないかと思うと、めんどくさくて……」
すると、ダナイが、ぼくの肩にポンと前足を置いた。続いて、肉球のついた前足を、ぼくに向ける。爪が2本伸びてるとことから考えて、Vサインをしているようだ。
「素晴らしいよ、健! そんな風に、めんどくさいと思えるのは、素晴らしい才能だ!」
才能……。
とっても嘘くさいけど、ダナイの目はキラキラしている。どうやら、本気で褒めてくれてるようだ。
さっき、健は4つのことを言った。『学校に集合』『健康観察』『先生の注意』『ダラダラ歩く』――この中で、残すとしたら、何を残す?
『ダラダラ歩くかな』……
どうして?
だってさ――。学校にいたら授業中の時間で、友達と無駄話なんかできないじゃないか。でも、遠足だったら、歩きながら無駄話できるだろ。これこそ、遠足の醍醐味だね
ほら、書きたいことが見つかってきた。これも、健が『めんどくさい』と思ったからこそだよ
そんなもんかなぁ?
たしかに、原稿用紙に字を書いていくのは、めんどくさい作業だよ。でも、めんどだから、長く書きたくない。ダラダラした長い文ではなく、短い文になる。内容も、いらないことは書かないから、コンパクトにまとまる。――これは、才能以外の何物でもないよ
めんどくさいと思うことは才能!
めんどくさいと思うから、まとまりのある文章ができあがる。
でもさ、ツイッターなら書きやすいんだけど、いざ原稿用紙に向かうと、なかなか文章が出てこないな
ツイッターなら、どんな風に書くんだい?
こんなところかな
翔ってのは?
友達。ずっと、深夜ラジオの話をしてくれたんだ
だったら、こんな風に書けるんじゃないかな
友達の翔君と、話しながら歩きました。
翔君は、ぼくが知らない深夜ラジオの話をしてくれました。おもしろそうだったので、ぼくも聞いてみようかなと思いました。
作文が書けない理由の3つめ――『文がうまく書けない』。これが、一番簡単に解決できる
嘘だろ。そんなに簡単に、うまい文が書けるようになるのか?
違う違う。そもそも、うまい文が書けなくて当然なんだ。だって、プロの作家でも、うまい文を書く人は少ない。まして、健は中学生。うまい文が書けなくても当たり前さ
……
はっきり言うと、いきなりうまい文を書こうなんていうのは、プロ野球のピッチャーからホームランを打つようなもんだよ
なるほど。たしかに、無理だ
健は、書く前から、『うまく書こう』とか『おかしな文を書いて笑われないかな』とか、いろいろ気にしすぎるんだと思うよ
下手な文でもいいんだ
それは、違う。『下手でもいい』じゃなくて、『うまくなくても、読みやすければいい』と考えなきゃ
いきなり、うまい文を書くのは無理。
それより、読みやすい文をめざそう。
読みやすい文って、どんな文なんだ?
それについては、もう少しあとで話してあげるよ
さぁ、書けない理由は、すべて解決した。張り切って、遠足の作文を書き上げよう。それからは、本格的に文章を書くトレーニングだ
書けないというのは、思い込み。
自分に催眠術をかけてはいけない。
文は、誰にでも書ける。
何を書けばいいかわからないという、答えが出ないような問題を自分に出し、答えが見つからないから書けないと、理由づけしてしまう。
そうすると、本当に書けなくなってしまう。
まずは、単純に考えて、書ける答えを見つけよう。
それで、いつまでに書かないといけないんだい?
明日が提出日なんだ
そりゃまた、急な話だね
1週間前に出た宿題なんだけど、なかなか書く気にならなくて
そんなに時間があったのに、どうして書かなかったんだい?
ダナイと違って、いろいろつきあいがあるんだよ。カラオケにも行かないといけないし、読みたいマンガも溜まってたし……
健に、『自業自得』という言葉を教えてあげるよ
締めきりは、意外と早くやってくる。
書くことが決まれば、作文は書けたも同然!
まとまりのある文章を書けるようになろう!
書くことを決めよう
書き出した出来事や理由から、1つだけ選ぶ。
どう書けばいいのかわからないときは、ツイッターに呟くならどうするか考えてみよう
その場にいなかった人にもわかるように、言葉を言い替えたり、つけ加えたりしよう
遠足途中www→目的地まで、話しながら歩いた
翔→友達の翔君
バカ話→深夜ラジオの話
パネェ→おもしろそう
「文字数が足りない」問題
事実や出来事をつけ足す。
・どんなラジオ番組なのか
・友達の翔君はどんな様子で歩いていたか
・どのくらいで目的地の到着したか
どう感じたか、気持ちをつけ足す。
・ラジオ番組のどんなところがおもしろそうだったか
・翔君と話しながら歩いていて、どう感じたか
・目的地に到着したときに、どう感じたか