コロナショックを生き抜く新しい就活力。今企業が学歴より求める「3つの力」とは?
公開日:2020/6/1
今年就活をしている2021年卒の学生は、最も新型コロナウイルスの影響を受ける世代になるだろう。説明会や面接が突如オンラインに移行し、業績悪化から採用数を絞る企業も増えている。そんな中で、思うように企業研究ができていなかったり、進路の悩みを相談する機会がなく焦るという人も多いのではないか。
こうした状況は、入社後の「リアリティ・ショック」につながりかねない。リアリティ・ショックとは、心理学用語で、理想と現実の違いに衝撃を受けること。つまり、入社後に「説明会で聞いていた話と違う」「こんな仕事がしたかったわけじゃない」とギャップを感じることだ。『新しい就活 自己分析はやめる! 15万人にキャリア指導してきたプロが伝授する内定獲得メソッド』(佐藤裕/河出書房新社)によれば、社会人1~3年目の実に76.6%が、何らかのリアリティ・ショックを受けているという。
「妄想キャリアデザイン」で自分にあった企業を選ぶ
実際にはまだ働いていない学生が、後悔なく企業を選ぶことはむずかしい。ネット上には、「年収ランキング」「働きやすさランキング」などキャッチーな情報が並んでいるし、有名企業なら知り合いや家族へのウケもいい…といったこともいろいろ考えてしまう。結局、自分の中に“基準”がなければ、どんな業界や企業も一長一短になってしまうのだ。
著者は、就活を進めるために「妄想キャリアデザイン」を推奨する。「自分は社会で何を成し遂げたいのか? どんな働き方をしたいのか?」という希望から、逆算して、具体的に進むべきキャリアを考えていく。「そのためにはどんなスキルが必要か?」まで突き詰めて考えられれば、「そのスキルが得られるのはどこだろう?」と、企業を絞っていけるはずだ。もちろん、求めるスキルが得られる会社を見つけるためには、同時に業界や企業の研究も必要になる。消費者としての漠然としたイメージと実際の業務にはギャップがあるかもしれないから、調べることは重要だ。
今の企業が「学歴」より求める3つの力
自分が入りたい業界や企業が見えてきたら、次に気になるのが採用基準だろう。今の時代、どんな学生が企業に求められるのか。もちろん、各社によって細かい違いはあるが、著者はおおむね3つの力が求められているという。
・地アタマ力
・同性に好かれる力
・その場しのぎ力
地アタマ力とは、「学歴」や「頭の良さ」とは似て非なる能力。物事を論理的に考えられることや、自分の考えをわかりやすく説明できることだという。面接での受け答えは、具体的な内容だけでなく、この地アタマ力もチェックされていることを意識したい。
地アタマ力は、自分自身で鍛えることもできる。本書によれば、ポイントは「アウトプット」にあるそう。例えば、社会人と話した内容を、自分の言葉に言い換えてアウトプットしてみる。自分の頭の中で嚙み砕き、他人に伝えられるくらい理解する。そうすると、次第に思考力や説明力が鍛えられていく。続く「同性に好かれる力」や「その場しのぎ力」の詳細は、ぜひ本書を参照してほしい。
本書ではこの他にも「ラフティング型」「ボルダリング型」といったより具体的なキャリアデザインの考え方や、「ストーリーをつくる」という自己分析の手法も紹介している。コロナが収束しないうちは、気軽に大学の先輩に相談する機会もなかなかない。書籍やネットで能動的な情報収集ができるかどうかが、今年の就活では大きな差になるかもしれない。
文=中川凌(@ryo_nakagawa_7)
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