平野レミさん×和田誠さん、夫婦共作のレシピ本が21年ぶりに復刊! 憧れファミリーの食卓を彩った料理とは?
公開日:2020/6/2
「皆さん、おうちゴハン頑張ってますか? 皆さんの力になりたくて私もノーメイクでがんばりました(笑)」と、豪快にニラ玉を作るすっぴん姿をTwitterで披露したのは、料理愛好家の平野レミさん(@Remi_Hirano)。こちらの動画の再生回数が、ついに500万回を超えた。結婚4周年の節目にInstagramで夫婦デュエット映像を公開し「素敵すぎる2人!」と大反響を呼んだ上野樹里さんと和田唱さんは、レミさんと和田誠さんの息子夫婦。いまみんなが食べたいのは、憧れファミリーがふだんから食べていた、愛情いっぱいの料理なのかもしれない。
「料理は楽しく作ればおいしくできる!」レミさんの料理と暮らしの話もたっぷり収録
1999年に刊行された『作って幸せ・食べて幸せ』というこの本のタイトルは、2019年秋に惜しまれつつ逝去した、平野レミさん最愛の夫であり、イラストレーターであった和田誠さんが考案したものだそう。料理はレミさんが作り、イラスト・料理名・デザインまでを和田さんが手がけた、夫婦共作の貴重な作品です。本の中の料理の誕生秘話や和田さんや子供たちに人気だったレシピについてなど、思い出を交えながら、平野レミさんの料理、仕事、暮らしについてが語られている。
20年以上前に作られたとは思えない、国際色豊かなアイデアレシピが108品
和田誠さんが当時手がけたままを再現するため、本で使われる紙や装丁、手描きの料理名やデザインはできる限りそのままの仕様で制作されたという『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』(平野レミ:料理、和田誠:絵とデザイン/主婦の友社)。料理写真も変更をかけずに紹介されていて、味わい深い仕上がりに。だが、料理の材料と作り方については、さらに作りやすくなるよう手順や材料などを見直し、今のレミさんのやり方で掲載されているとのこと。例えば、じゃがいもの下ゆでを電子レンジ加熱に変えたり、ラザニアにいたっては、ワンタンの皮を使った作り方へと大胆に変更。改めて何度も試作を行って完成させたんだそう。
レミさんは日本における家庭料理のパイオニア
元の本が発売されたのは1999年。当時の家庭料理といえば、専業主婦が手間をかけて作る肉じゃがやハンバーグ、グラタンが全盛期だった時代。だがそういった料理の紹介はなく、おしゃれなイタリア料理やエスニックなメニューが数多く登場する。また、ピーラーでひらひらにした野菜のサラダを作ったり、海外旅行で初めて食べて衝撃的なおいしさだったという香菜を料理に多用したりと、当時はかなり変わった調理方法や目新しい食材が使われている印象だったのではないかと想像する。この時代にレミさんがやってみせたことは時を経て引き継がれ、現代のスタンダードになっている証明でもある。そんな視点で本書を楽しむのもおもしろい。
復刊に寄せられた、レミさんのコメントが心にささる
今回の復刊にあたりコメントを寄せたレミさんの言葉は以下の通り。
ひとり暮らしが始まって7ヶ月が経ちました。まだまだ、さみしくて悲しくつらい日々ですが、この間、ご近所の方に「幸せだったほど、あとが辛いものよ」と言われました。それほど、夫はわたしに幸せを与えてくれていたということでしょう。
そんな夫が、21年前に作ってくれた本があります。
夫が絵を描いて、レイアウトもしてくれたわたしのレシピ本です。
夫との共作ということで、この度、再版されることになりました。
料理は、夫が喜んで食べていたものばかりです。
よろしければ、夫のイラストといっしょに、楽しんでいただけたら幸いです。(復刊に寄せたコメントより、一部引用)
コメントからも伝わってくるように、結婚してから47年間お互いが心から信頼し合ってきたレミさんと和田誠さん。そんなお二人の共作である思い出のレシピ本は、おいしくてカラフルで、幸せを運んできてくれるような一冊だ。