ひとりでベラベラしゃべる人は三流! 一流の雑談の盛り上げ方とは

ビジネス

公開日:2020/6/8

『雑談の一流、二流、三流』(桐生稔/明日香出版社)

 テレワークの習慣は、このまま日本に根付くだろうか。単に仕事をこなすだけなら、それほど困るわけではない。しかし、同僚たちとの何気ないコミュニケーションは減っている。せめてもの抵抗として、テレビ会議で変な背景にしてツッコミを待ったり、リアクションを大き目にとったり…としているが、やはり限界はある。

 雑談などのコミュニケーションは、仕事を円滑に進めていく上で不可欠だ。緊急事態宣言の期間中、改めて大切さに気付いた人は多いだろう。そこで、本稿では『雑談の一流、二流、三流』(桐生稔/明日香出版社)を紹介する。テレビ会議や、久々の出社でのコミュニケーションに生かしてほしい。掲載されているテクニックは、仕事だけでなく、プライベートの飲み会でも生かせる。

取引先との一言、何から始める?

 社会人がまずぶつかる壁のひとつが、社外の人とのやり取りだ。筆者も、初めて取引先を訪問した際は、ずいぶん緊張したものである。大事なビジネスの話は準備しているが、和やかにアイスブレイクを行うのは簡単ではない。うまく打ち解けられるかどうかで、商談の空気は変わってしまう。

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 特にコツが必要なのが、一言目だ。著者によれば、二流や三流の人は「今日は暑いですね」「30℃を超えるそうですよ」で終わってしまう。相手も話を広げにくい。それに対して、一流の人は、相手に焦点を当てる言葉を付け加える。「夏バテとか平気ですか?」「夏はお好きですか?」。人は、誰かの話をするよりも、自分の話をする方が得意だ。相手が話しやすいように話題を振ると、いつのまにか会話は続いている。

ひとりでベラベラしゃべる人は三流? 雑談の盛り上げ方

 雑談を盛り上げるには、会話のテンポも重要だ。みなさんも、上司にだらだらと一方的に話されて困った経験はあるだろう。本書によれば、一流は15~30秒で会話を渡すのだという。優秀な営業マンは、電話で営業をかける際、30秒が経過した当たりで相手に質問を投げる。ずっと話を続けていると、切られてしまうからだ。テレビで活躍する名司会者も、自分が長々と話すことはない。雑談でも、30秒ほどでバトンを渡せば、お互い飽きずに話を続けられるのだ。

まとめ役? 盛り上げ役? 飲み会での役割は…

 最後は、飲み会での役割分担。著者は、三流はいつも受け身、二流は必死で盛り上げようとするというが、果たして一流はどうするのか。答えは、ずばり「役割を見極める」。飲み会の役割は、①まわす人②話す人③聞く人の3種類だ。一流は、その日のメンバーから、誰が①~③の役割なのかを見極め、空いているところに自分が入る。そして、自分が目立たなくとも、楽しい空気をつくるのだ。

 本書では他にも「話題がないとき」「ネガティブな話の対処法」「年配との雑談」など、さまざまなシーンに応じた振る舞い方を教えてくれる。雑談は、「雑」と書くけれども、もはや仕事や人間関係には欠かせない立派なスキルだ。本書をきっかけに、身近な人とのコミュニケーションを見直してみてほしい。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7