体内時計が1時間ズレると肥満の可能性は30%も増加!? テレワークで生活リズムが崩れがちな今気をつけたいこと
公開日:2020/6/9
5月中旬から、各都道府県の緊急事態宣言は徐々に解除された。しかし、「東京アラート」のようにいまだ不要不急の外出自粛などが求められている現状もあり、引き続き“新しい生活様式”を取り入れた過ごし方に取り組む必要がありそうだ。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う変化の中で、各企業でテレワークが導入され、実際の体験談もよく聞く。人によっては“通勤がなくなったぶん生活リズムが狂った”“夜遅くまで起きるようになってしまった”という意見もあるが、今こそ考え直したいのが、人間の生活サイクルを司る“体内時計”の大切さだ。
専門家による『体内時計のミステリー 最新科学が明かす睡眠・肥満・季節適応』(ラッセル・G・フォスター、レオン・クライツマン:著、石田直理雄:訳/大修館書店)から、今知りたい体内時計の基礎知識を紹介していきたい。
体内時計が1時間ズレると、肥満の可能性は30%増加?
本書によれば、地球上の生物は約24時間(正確には23時間56分4秒)の周期にしたがって生きているという。体内時計はいわば、その周期を察知するために生まれ持った機能だ。
生活リズムの変化によってよい睡眠が損なわれるのは多くの人が実感するだろうが、体内時計にさからった暮らし方は、人間の代謝そのものに悪影響を及ぼす可能性があるという。
どのような生活サイクルで過ごすべきかは人によっても異なるが、「本来自然に起きるべき時間」と「実際に起きる時間」がズレると、人間は「社会的時差ボケ」を起こすことが研究によって解明されている。
この社会的時差ボケは人間の肥満度を示すBMI指数とも深く関係しており、本書では、社会的時差ボケが1時間増すごとに「過体重や肥満の可能性が30%ずつ増加する」と指摘する。そのため、テレワークの導入などで「身体が何だか重くなった気が…」と悩んでいる人は、改めて生活サイクルを見直してみる必要がありそうだ。
体内時計には人間の「覚醒」をコントロールする機能も
短時間の睡眠でも平気なショートスリーパーのような一部の人を除けば、人間はおおむね1日あたり平均8時間の睡眠を必要としている。日中に活動して夜には眠るというサイクルは、人間にあらかじめ備えられた基本的な機能だ。
体内時計には、人間の神経系に1日のうちの「活動期と非活動期」を教える役割もあるという。日中に私たちが活発に動こうとするのは、脳が「覚醒状態」にあるからで、夜へ近づくにつれて、だんだんと「覚醒欲求」が低下するため、眠りへつこうという気分になる。
当然ながら、このサイクルがズレてくると人間の身体に影響を及ぼし始めるのだが、規則正しい生活に戻したいと思うのであれば、ただ眠りにつくのではなく、“質のよい睡眠”を心がけることが大切だという。音や光などの刺激をできる限り避け、ぐっすりと眠れる環境を整えることがやはり一番の近道だ。
一度ズレた生活サイクルを戻すのは、誰にとっても至難の業。自宅で過ごす時間が増えた今、「体内時計が狂ってきている…」と危機感を募らせている人は多いだろう。本来のメカニズムを解説する本書を読めば、自分にとっての改善点もきっとみえてくるはずだ。
文=カネコシュウヘイ
【こちらも読みたい】
眠れない人が知らずにやっているNG習慣は? 小さなことから始めて熟睡体質へ!