メンタルが強い人は身につけている。自分の感情と向き合い、コントロールする方法/1分自己肯定感②

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公開日:2020/7/1

成功者は日々、自己肯定感のメンテナンスを行い、試行錯誤しながら失敗を成功につなげるサイクルをつくっているもの。毎日1分、自己肯定感を高めるメソッドを実践すれば、あなたもきっと「なりたい自分」に近づけます!

『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(中島輝/マガジンハウス)

鋼の1分マインドセット①
メンタルが強い人は、感情を放し飼いにしない

 私たちの感情は大きく2つに分けることができます。

◆ポジティブな感情―喜び・うれしさ・楽しさ・期待・感動など
◆ネガティブな感情―怒り・不満・憂うつ・くやしさ・不安など

 基本的に私たちは、ポジティブとネガティブのあいだを行ったり来たりしながら生きています。その感情の動きは、スイッチのオン・オフのようにパチッと切り替わるものではありません。ネガティブな感情から一気にポジティブな感情に転じることはなく、ゆるやかにフラットな状態に向かってから移り変わっていきます。

 めちゃくちゃハッピーな出来事(たとえば、ボーナスが多めに出たり、好きな人に告白しておつき合いができることになったときなど)があった日に、「さあて、今から腹が立つ奴をつかまえて文句を言ってやろうかな」という人はいませんね。

 通勤電車で誰かと肩が触れ、「ちっ」と舌打ちしてしまうとき、前を走る車がトロトロしているように思えて不愉快になるときなどは、それ以前からある程度、感情がネガティブに傾いていたはずです。

 逆に感情がポジティブに向いているときは、多少不快な出来事が起こっても「ま、しょうがないか」と余裕をもって考えられますし、普段なら気にも留めない空の色に喜びを感じたり、人にやさしく接したり、隣人のいいところに気づいたりできます。

 こうした感情の動きそのもの(原理原則)は、どの人も変わりません。

 でも、うまくいっている人はいつも落ち着いていて、余裕があるようですね?

 感情的にならず、人に当たり散らすようなこともなく、周囲を盛り立てるようなコミュニケーション力を発揮しているように見えます。

 しかし、彼らも常に沈着冷静でいるわけではありません。ましてや「喜び・うれしさ・楽しさ」などの「ポジティブな感情」だけで日々を過ごしているわけでもありません。

 それでも、うまくいっている人が落ち着いているように見えるのは、自分をフラットな状態に持っていき、うまく感情をコントロールする術すべを知っているからです。

「感情のスイッチ」を知る

 一方で、自分の感情とうまくつき合えない人はフラットな状態になることが少なく、常に「ポジティブか、ネガティブか」を行き来しています。

 スイッチのオン・オフほど急ではないものの、ささいな「出来事」に、一喜一憂をくり返すため、感情が安定しません。

 イメージとしては、スクワットをくり返しているような感じ。

 褒められると舞い上がり、叱られると落ち込み、待たされればムカッとし、タイミングよく物事が運べば喜び……と、感情的な反応をくり返していきます。

 とくに、腹が立ったり、緊張したり、落ち込んだりといったネガティブな感情に針が触れているときは、やる気がなくなり、集中力も散漫になります。その結果、物事がうまくいかず、ストレスを溜め、「元気を出そう」「楽しもう」と考えるがゆえに、次のような行動に出てしまうのです。

 憂さ晴らしのやけ酒、ストレス解消にジャンクフード、気分転換にダラダラとネットサーフィン……。

 こうした対処法は一時しのぎにしかならず、一瞬フラットな状態になれたとしても、そんな自分にどこか嫌気が差し、よけいにネガティブな感情に向かってしまいます。

 一方で、感情的にならず、落ち着いていて、物事をうまく運ぶことができる人は、いったいどうしているのか。

 その具体的なテクニックについてはパート4で解説していきますが、フラットな状態に自分を持っていくというのはどういうことなのか、先に明かしておきましょう。

1 自己認知力―今、自分が何を感じているかを客観的に知る
2 自己評価力―結果、物事がどう見えているかを知る
3 自己修正力―自分のメガネで見えている〝世界のゆがみ〟を正す
4 自己行動力―適切に物事に対処する

 このような感情と向き合う力を総称して、心理学の世界では「メタ認知」と呼んでいます。もう一人の自分が、頭上から自分の感情を眺め、客観視しているようなイメージ。

 しかし、この「メタ認知」。口で言うのは簡単ですが、マスターするのは少しコツがいります。本パートで後述していきますが、人間はどうしても次のようなネガティブな感情のスイッチ(心理学用語で「認知バイアス」といいます)を入れがちだからです。

1 人は小さなことにとらわれがち―ささいなアラが気になり、目くじらを立てる
2 人は1つの物事に執着しがち―多面的に考えられずに、イライラする
3 人は目先の不安に流されがち―時間の余裕を持てずに、やたらと焦る

 どんな人でも多かれ少なかれ、生来こういう傾向を持っているものですが、本当は次のように転換すると、ス~ッとラクになれることが多いのです。

1  大局的に考えて「ま、いっか」と鷹揚になったほうが、いい方向に転がる場合がある
2「 その考え方/やり方もイイね!」と言うことで、相手も自分も肩の力を抜くことができる
3「 なんとかなるよ!」と言うことで未来の可能性へ希望を託すことができる

 これが、自分の感情を「メタ認知」するということ。とらわれたり、執着したり、流されたりせずに、自分の心の中で起きていることをしっかりと見つめ、フラットな状態に戻すことです。

 そして、これは多くの人が勘違いしていることですが、「メタ認知」は「感情を抑え込む」ことや、「感情をなくす」ことではありません。

 ネガティブなことを考えないようにしなくてはいけない、暗い感情を持つ自分が悪いのだ、と考えてしまう人がいますが、ネガティブな感情はうまく使うことで、私たちの計算能力や行動力を高めてくれます

 ただ、それは「この怒りをプラスに変えたい」と行動を起こしてこそ。単に思うままにネガティブな感情を爆発させては、うまくいくはずの物事もうまくいきません。

 逆もまた然りで、喜び・うれしさ・楽しさといったポジティブ感情も、そのまま突っ走ると、ともすれば独断専行的で、はた迷惑な行動に映ってしまいがちです。

 自分にとって「いいこと」でも、他人にとって「ただの自慢」と受けとられてはもったいないでしょう。

 たとえば、メタ認知を使いながら「この喜びを力に変えて、みんなのためにチームを引っ張ろう。そのために私は何ができるだろうか?」と行動すれば、「優秀で寛大なリーダー」という評価につながるはずです。

 自分なりにメタ認知を行う方法を身につけ、実践することで感情をうまくコントロールする―これが本書で解説していく重要なスキルの1つです。

<第3回に続く>