人生はすべて実験。成功したら儲けものと考えて行動しよう/1分自己肯定感⑤

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公開日:2020/7/4

成功者は日々、自己肯定感のメンテナンスを行い、試行錯誤しながら失敗を成功につなげるサイクルをつくっているもの。毎日1分、自己肯定感を高めるメソッドを実践すれば、あなたもきっと「なりたい自分」に近づけます!

『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(中島輝/マガジンハウス)

鋼の1分マインドセット③
メンタルが強い人の行動は、「全部実験」

 以前、「私、失敗しないので」が決めゼリフの、医師のドラマが人気を博しました。

 何事も迷わず決断し、行動している人は輝いて見えるものです。しかも、行動を必ず成果に結びつけているようにも思えますね。

 しかし、これは大きな勘違いです。

 私が敬愛する19世紀アメリカの思想家ラルフ・ウォルドー・エマソンは、こんな言葉を残しています。

「すべての人生が『実験』なのだ。実験をすればするほど、うまくいくようになる」(Alllife is an experiment. The more experiments you make the better.)と。

 よく言われている言葉にすれば、「成功の条件は、成功するまで行動し続けること」となるでしょう。結果、何事も成功する人は成功するまで行動し、そうでない人は結果が出る以前にやめてしまいがちです。

 この鋼のマインドセットの結論を先に書いてしまえば、成功者であっても人生の選択を誤りますし、失敗もします。小さなものから大きなものまでミスをくり返します。

 それでもまた軌道修正し、新しい道を見つけ、行動し続けることをやめません。

「失敗の予防線」を張るな

 とはいえ、自分のつまずきにショックを受け、次から行動することを避けるようになる気持ちもよくわかります。

 実際、人間の特性の1つとして「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれる心の働きがあるからです。

 セルフ・ハンディキャッピングが働くと、人は行動を起こす前に「自分にはハンディがある」とアピールするようになります。これは万が一、自分が取り組みに失敗したとき、周囲から「無能な人」という評価を受けないようにするためです。

 学生時代、テストの前に「全然、勉強してないよー」などと言う同級生がいたと思いますが、あのアピールがまさにセルフ・ハンディキャッピングです。

 これは誰もが無意識にやってしまうこと。もし、あなたが職場で「寝てなくてさー」「この案件、上司から押しつけられたヤツでさー」とボヤいてしまうことがあったら、注意してください。自信がないゆえに、わざとそう言ってしまっているのかもしれません。

 また、周囲へのアピールではなく、自分への「○○だからできなかった」という言い訳のために使われるセルフ・ハンディキャッピングもあります。

 たとえば、大切な資格試験が迫ってきているのに、「同僚に誘われたから……と飲みに行ってしまう」「部屋が汚れていると集中できないから……と模様替えを始めてしまう」といった形で行動に表れます。

 あえて時間や労力を無関係な用事に割くというハンディキャップを自分に課し(あえて重要なことに本気を出さず)、うまくいかなかった場合の自己弁護の材料にするわけです。

 どちらのセルフ・ハンディキャッピングも行動した結果がうまくいく確率を下げてしまいます。すると、うまくいかないことを正当化するために、ますます周囲のアピールや自己弁護の材料を増やすようになってしまいます。

 この負の連鎖から抜け出すには、セルフ・ハンディキャッピングという特性があると知ること。自分が自分をだまして、大事な行動を先延ばしにしたり、わざと本気で取り組まないようにしたりしていると気づき、対策を取ることが欠かせません。

 その具体的なテクニックはパート5で詳しく解説しますが、いい選択をしようと悩むより、行動の量を増やすことが重要です。

 たとえば、「1万時間の法則」という有名な研究があります。

 これはフロリダ州立大学の心理学者アンダース・エリクソンによるもので、どんなに才能にめぐまれた人でも、その能力が花開くには、1万時間のコツコツとした努力が必要であるという理論です。

 逆に言うと、どれほど天賦の才を備えていても、経験を積むことなしに、いきなりズバ抜けた才能が外に現れることはありません。

 エリクソンは、「最終的にモノをいうのは〝何を知っているか〟ではなく、〝何ができるかだ〟」とも述べています。新しい技術を身につけるとき、これまでの知識や経験は役に立たず、行動を起こすべきだという指摘です。

 学校やセミナーで教えられたことを、「なるほど!」と納得できたとしても、それを自分の頭の中でしまっていてはなにも起こりません。みなさんがこの本を読んで新しく知ったことがあれば、ぜひ今日から行動に移してください。

 50ページのエマソンの言葉を借りれば、「全部、実験♪」なのだから、お試し気分でやってみればいいのです。成功したら儲けもの。たとえ失敗したって実験ですから、ノーダメージです。

「実行」→「達成」のしくみ

 以前、私のセミナーの受講生でMさんという女性がいました。

 勉強熱心な人で、いつもセミナーではいちばん前の席に座り、真剣にノートをとっています。講座が終わると質問に来られ、「先生、この点についてはどうお考えですか」「私はこう思うんですけど、どうすればいいですか」と誰よりも教わったことを吸収しようという姿勢が強い人でした。

 ところが、「じゃあ、今日、教えたことをやってみて、報告してくださいね」と伝えると、とたんに「できるかどうか自信がありません」と弱気になってしまうのです。

 私が講座で教えていることは、「きっかけ」にしかすぎません。

 結局は教わったことを「どう実行したか」によって、1人ひとりのその後が変わっていきます。なにもしなければなにも変わりません。

 行動を起こすと、最初は失敗することもあるでしょう。

 それを恐れて、動けないという心理はよくわかります。でも、失敗したとしても立ち直れなくなるほどの大事件は起きません。

 ほとんどの場合、「あ、たいしたことは起こらないんだ」とわかり、物事のとらえ方が変わります。すると、恐れや迷いといったネガティブな感情が少なくなり、行動を起こすことへの自信がつくのです。

 次の4つのポイントをよく理解しておきましょう。

1「不安」や「恐れ」といった感情がブレーキになって、行動を止めてしまう
2 人間には、行動を先送りにしようとする特性がある
3  行動を起こせるかどうか、行動によって出た結果についてどう受け止めるかに、感情、物事のとらえ方が深くかかわっている
4「お手軽な近道」はない。結局、行動を続けるしかないこと

 むしろ多くの場合、空振り(失敗)する恐れにさいなまれ、打席に立つ前にあきらめている人が多いのです。

<第6回に続く>