コンプレックスがスーッと消えていく「チャンク・テクニック」とは?/1分自己肯定感⑩
公開日:2020/7/9
成功者は日々、自己肯定感のメンテナンスを行い、試行錯誤しながら失敗を成功につなげるサイクルをつくっているもの。毎日1分、自己肯定感を高めるメソッドを実践すれば、あなたもきっと「なりたい自分」に近づけます!
「コンプレックス」と仲よくなる
パート1で触れたとおり、私は30代半ばまでコンプレックスの塊のような人生を歩んでいました。人前に出る機会が増えた今も、写真を撮られるのが苦手です。自分の目の動きにコンプレックスを感じているからです。
同じように、「自分の書く文字は下手だ」と強く感じている知人はクレジットカードのサインにも苦手意識があるので、会計時に緊張するといいます。
「癇に障る」という言い回しがありますが、「癇ってなんだろう?」とたどっていくと、そこには本人にしかわからないコンプレックスが潜んでいます。
癇に障るポイントは人それぞれで、他人にはなかなか理解できません。ですから、周囲の人のちょっとした言葉がコンプレックスを想起させると、私たちは敏感に反応し、落ち込んでしまったり、腹を立てたり、必要以上に動揺してしまうのです。
このようにコンプレックスはネガティブな感情と密接に結びついています。
緊張、落ち込み、イラ立ち。ネガティブな感情の側に大きく針が振れることで、コントロールが難しくなっていきます。すると、物事の見方が悲観的になり、行動の質、量ともに低下。うまくいかないサイクルにおちいりやすくなります。
1分コーチング テクニック⑤
コンプレックスがスーッと消えていく「チャンク・テクニック」
では、世の中で成功している人たちにコンプレックスがないかといえば、そんなことはありません。スポーツが苦手なのがコンプレックスだったという人もいれば、みんながうらやむ美人であっても、自分の顔のアラが気になって落ち込む人はいるのです。
彼らもそれぞれにコンプレックスを抱えています。しかし、自分のコンプレックスをよく理解し、上下動してしまう感情をうまくコントロールする方法があります。
コンプレックスと連動して上下動する感情をうまくコントロールする具体的なテクニックが、「チャンクダウン(具体化)とチャンクアップ(抽象化)のセルフトーク」です。
セルフトークとは、自分の内面で語り合う〝独り言〟のようなもの。
自分が抱えている課題を「ざっくりしたあいまいな視点(チャンクアップ)」ですくいとり、その視点を、より具体的な視点(チャンクダウン)に細分化します。チャンクダウンは1つだけでなく、いくつか違う視点で出せるとよりベターでしょう。
たとえば、「営業に行こうとすると怖くなる」という悩みがあったとしましょう。
そこで、このように問題を細分化します。
チャンクアップ 自分は話が下手だと思っている
チャンクダウン ①話の途中で自分が何を話しているのかわからなくなるときがある
②突然、相手に話を振られたときに、うまい答えが見つからず、頭が真っ白になることがある
③手元に言いたいことをまとめたメモがあると緊張しにくい
対策 話下手でも伝わる、ビジュアル豊富なプレゼン資料を準備しよう
また、今の仕事に漠然とした不安があり、転職を考えている人なら……。
チャンクアップ もっとこれから伸びる会社に転職して、給与を上げたい
チャンクダウン ①自分の「強み」が客観的に把握できていない気がする
②興味のある業界/業種を絞り込みたい
③年収の目標は700万円
対策 週末のスキルアップセミナーに参加してみる。同時にあこがれの業界で働いている先輩にアポを取り、話を聞きにいく
「話が下手だ」というコンプレックスを〝なくそう〟〝克服しよう〟とするのではなく、認めた上でうまくいくための対策を練るのです。このステップを踏むことで、コンプレックスを単なるネガティブな感情で終えるのではなく、改善のための材料に変えるのです。
感情が揺れるような出来事が起きたとき、成功している人たちは、コンプレックスに自分の心を支配させません。この項で紹介した「チャンク・テクニック」を駆使し、問題の解決を図っているのです。
自分が苦手なこと、心の痛みに触れるような場面でも、「チャンク・テクニック」のような小さな対策があることで感情は安定します。それで「うまくいった感覚」をつかめればしめたもの。それは「苦手」をうまくコントロールできたという成功体験を、1つ積んだことに他なりません。