子どもが「学校に行きたくない」といい出した! 親が絶対やってはいけないNG行動とは?
更新日:2020/10/16
緊急事態宣言が解除され、約3カ月ぶりに学校が再開された。子どもたちにとっては久しぶりの学校生活。新しい環境になじめず、学校へ行くこと自体が大きなストレスになってしまっている子もいるかもしれない。
「今日は学校に行きたくない」。
もしも子どもが急にこんなことをいい出したら、『子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本』(菅野純:監修、あらいぴろよ:マンガ/主婦の友社)を手に取ってみてほしい。子どもの心の中でどんなことが起こっているのか、親としてどう接すればいいのか、長年不登校や登校しぶりの問題に関わってきたベテランカウンセラー菅野純さんがマンガとともに解説してくれる。
登校しぶりは、学校に問題があるとも限らない
何の問題もなく育っていた子どもが突然「学校に行きたくない」と泣いて嫌がったら、私ならどうするだろう。なんで? どうして? 学校でいじめられてるの? それとも先生が嫌なの? とその原因探しに躍起になってしまうかもしれない。
ところが菅野さんによれば、学校に原因を見つけたところで登校しぶりが解決するとは限らないという。学校でのできごとは単なるきっかけにすぎず、例えば家庭内で夫婦仲が悪かったり、子ども自身が発達障害や神経過敏な性格だったり、そういうことが事態の奥に隠れている場合もあるからだ。
それでも親の多くは、“原因が解決すれば楽しく学校に通えるはず”と、登校しぶりの原因や解決策を探すことに明け暮れてしまうものだ。しかしそれは、子どもの気持ちを置き去りにして、親の思い込みだけで力ずくで何かを変えようとしているだけ。そうやって親が空回りして事態がもっと悪化してしまう例はよくあるのだという。
原因探しはほどほどに、それよりも子どもが心のエネルギーをためられるような楽しいことをして過ごすほうがおすすめだと菅野さんは語っている。
問い詰め&決めつけは避けて。“心のエネルギー”を補給してあげよう
子どもが登校をしぶったときは、まずなぜ学校に行きたくないのか、子どもに理由を聞いてみるといい。「なんで嫌なの!?」「誰かにいじめられてるんでしょ!」と無理やり聞き出そうとせず、子どもの気持ちに十分に耳を傾けて話を聞くことが大切だという。簡単そうに聞こえるが、実は結構できていない親が多いのではないだろうか? 私も子どもに話を聞いている最中に怒ってしまったり、子どもの話をさえぎって「こうだったでしょ?」「こういってたじゃない」なんて、子どもの気持ちを代弁しようとしてしまうことがよくある。
ここから先は子どもの性格やこれまでの様子を踏まえた上での対応が必要になる。このとき問われるのは、日ごろからわが子を観察できているかどうか。最近は共働き家庭が増え、忙しい日々の中で子どもの小さな変化に気づけていない親も多いという。
いずれにせよ、子どもが「学校へ行きたくない」のは、元気ややる気の原動力となる“心のエネルギー”が足りなくなっているから。子どもの意欲を取り戻すために、安心できる体験、楽しい体験、認められる体験をたくさんさせてあげてほしいと菅野さんは語る。本書には心のエネルギーを補給する方法も具体的に紹介されている。昨今は新型コロナウイルス感染への不安から登校をしぶる子もいると思うが、そんな子どもにも心のエネルギーの補給はとても有効に思う。
子どもが登校しぶりをすると、親もショックを受け、つらい思いをするものだ。本書にはそんな親自身の心のケアに役立つアドバイスも掲載されているのでぜひ参考にしてみてほしい。
子育てをしていれば、どんな家庭にも大なり小なり問題が起こって当然。子どもが発したSOSは、親子で成長する大きなチャンスになるかもしれない。
文=齋藤久美子