あの国民的ヒーロー『ウルトラマン』の40年後を描く! 地上波アニメも絶賛放送中の『ULTRAMAN』の魅力とは
更新日:2020/7/6
この日本において『ウルトラマン』という作品は特別である。1966年に放送された『ウルトラQ』は、いわゆる「第一次怪獣ブーム」を巻き起こし、ウルトラシリーズ第二弾となる『ウルトラマン』が放送されるや、ブームは一気に過熱。最高視聴率は40%を超えるほどであった。ちなみに以降もシリーズの製作は続き、2013年には「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」としてギネス世界記録に認定されている。
そんな『ウルトラマン』の続編として、2011年に『月刊ヒーローズ』で連載が始まったのが『ULTRAMAN』(清水栄一×下口智裕/発行:ヒーローズ 発売:小学館クリエイティブ)である。巨大ヒーローであったウルトラマンを等身大へと大胆に転換し、謎多きストーリーや熱いバトルシーンで話題沸騰。2019年にはNetflixでフルCGでアニメ化、配信されている。現在は東京MXなどで地上波放送も行なわれ、物語は佳境に突入。本稿では原作を中心に、アニメ版も絡めてそのストーリーや見どころを紹介していきたい。
注目その1:ウルトラマンの息子・早田進次郎が新たなウルトラマンに!?
この物語は、ウルトラマンが地球を去ってから40年後の世界が舞台である。科学特捜隊(科特隊)の早田進が防衛大臣になっていたり、発明家だった井手光弘が「光の巨人記念館」の館長をやっていたりと、特撮作品を観ていた人には嬉しい顔ぶれの登場だ。しかし一番の注目点は、早田には進次郎という息子が存在し、その進次郎には人並みはずれた「力」が宿っていることだろう。
序盤の見どころは、やはり進次郎と謎の敵とのバトルだ。サイズこそ人と同程度だが、外見は「ウルトラマン」を想起させるその敵に、イキナリ襲撃される進次郎。絶体絶命の彼を救ったのは、父親の早田進だった。息子に自分がウルトラマンだったことを告げ、早田が敵に向かっていく姿は「激アツ」のひと言である。
戦場を離脱し、井手に救出された進次郎だが、このままでは終わらない。敵との戦闘で瀕死の父親を救うため戦う力を望む進次郎に、井手は強化スーツを与える。ウルトラマンの姿を模しながらもメカニカルな意匠のスーツは、アニメではより硬質感が増してカッコイイ。そのスーツを纏った進次郎は「スペシウム光線」を放ち、見事に敵を退ける。謎の人物は「私の名はベムラー。始まりの敵だ」といい残して去っていくのだった。
ベムラーとは、ウルトラマンが最初に地球で戦った怪獣の名である。なぜウルトラマンに似た姿の人物が、そう名乗るのか。謎多き部分もさることながら、やはり「ULTRAMAN」スーツを着た進次郎のバトルは見応え十分。ちなみにアニメ版ではモーションキャプチャーという、実際の人の動きを取り込んだ3DCGが用いられている。これによって非常にリアルかつダイナミックなアクションが再現されており、見どころのひとつといえるだろう。
注目その2:冷静かつ非情な第二のウルトラマン・諸星弾
進次郎は「ウルトラマン」として科特隊に参加することになった。しかし科特隊で宇宙人犯罪者の処理を担う諸星弾は、宇宙人を抹殺する覚悟を持てない進次郎に厳しい目を向ける。それでも非道な宇宙人を目の当たりにしたり、危険に晒される一般人の姿を見た進次郎は、徐々に「戦うこと」の意味を見出していく。この物語は、進次郎がウルトラマンとして一人前になっていく成長記でもあるのだ。
もちろん、ウルトラマンになるのは進次郎だけではない。諸星は科特隊が開発した「ウルトラマンスーツver.7」──通称「セブン」スーツに身を包んで戦う。どこか甘さの残る進次郎と違い、非情に徹する諸星は宇宙人犯罪者を容赦なく抹殺していく。極めて性格の異なるふたりだが、諸星が進次郎に異星人の街を案内したりと、いろいろ世話を焼く面も。彼らの関係がどのように変化していくのかも楽しみなところだ。
進次郎たちを取り巻く人々にも注目だ。ウルトラマン好きを公言するアイドル・佐山レナや異星人の街で知り合う情報屋のジャック、「星団評議会」のエージェント・アダドなど、ストーリーに大きく関わる彼ら。特に「星団評議会」は物語の根幹に深く関わってくるので覚えておきたい。また漫画とアニメでは、例えば佐山レナのウルトラマンへの想いが異なるなど若干の相違が見られるので、チェックしてみるのも面白いだろう。
注目その3: 謎めく進次郎の後輩・北斗星司は切り札「エース」!
高校生でもある進次郎は学校に通っているが、彼の前にひとりの後輩が現れる。進次郎をウルトラマンだと知るその後輩の名は北斗星司。実は彼の正体は、第三のウルトラマン「エース」なのだ。手首から発するビームを自在に操り、敵を切断する戦いは非常にダイナミック。アニメでは進次郎、諸星、北斗それぞれのアクションの違いがよく分かるので、ぜひ見比べていただきたい。
北斗はかつて「星団評議会」の陰謀によって起こされた飛行機事故の生き残りだった。その実行犯は「超一流の殺し屋(エースキラー)」の一団であり、狡猾で残忍な連中だ。クライマックスはエースキラー軍団と進次郎たちウルトラマンの死闘が描かれる。特撮でのエースキラーはウルトラ兄弟を最高に苦しめたが、本作でも圧倒的戦闘力を誇る。果たして進次郎たちは、強敵に打ち勝つことができるのか──。
この作品の原典は特撮の『ウルトラマン』だが、それを知らなくとも十分に楽しめるだけのアツい物語が展開する。もちろん知っていれば、面白さは倍増するだろう。漫画、アニメ、原典といずれ劣らぬ魅力を放つのが『ULTRAMAN』なのである。
連載情報:月刊ヒーローズにて好評連載中
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単行本情報:①〜⑮巻(B6判) 、公式アンソロジー(B6判)、総集編全3冊(B5判)、ULTRAMAN アニメ化記念1、2、3巻SPECIALプライスパック(B6判)好評発売中
文=木谷誠
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