【客のタイプ別対応法】クレームが怖いのは当たり前!? でも正しく対応できれば得られることも多いのです
公開日:2020/7/14
おそらくどこの業界にも、「クレーム」というものは存在するのだろう。出版業界も例外ではない。私の場合、かつてとあるゲームの攻略本を制作したとき、購入者から「別の攻略法を発見した」という連絡を受けたことがある。「なんで書いてある以外の攻略法があるんだ」という趣旨のクレームに正直閉口したのだが、とりあえず「書いてあるのは一例です」ということを伝えて対応した。このときは事なきを得たが、対応によっては大騒動に発展することもある。そうならないためにも『マンガで読む お客様対応奮闘記 営業店クレームの防ぎかた』(塩塚淳子:著、SHIRO:イラスト/経済法令研究会)あたりで、クレームに対する心構えを学んでおきたい。
本書は地方銀行の行職員であった塩塚淳子氏の経験に基づいているので、銀行でのクレームが紹介されている。しかし他業種に全く参考にならないかといわれれば、そんなことはない。あくまで「お客様」に対応することは変わらないので、広範に使えそうなテクニックも割と存在するのだ。では実際、どのようなクレーム対応があるのか見ていこう。
クレーム対応の「マジックフレーズ」
マジックフレーズとは、会話の冒頭や間に挟む、客に対する「思いやり」や「配慮」のある言葉のこと。このフレーズを挟むことにより、ネガティブな印象が薄まり、相手が受け入れやすくなるのだという。以下に例を挙げてみよう。
クッション言葉:「申し訳ございませんが」「恐れ入りますが」「お差支えなければ」「お手数ですが」など
共感の言葉:「おっしゃるとおりでございます」「ご指摘はもっともでございます」「ご事情お察しいたします」など
感謝の言葉:「ありがとうございます」「助かります」「貴重な意見、恐縮でございます」など
謝罪の言葉:「大変ご迷惑をおかけしました」「深くお詫びいたします」「お役に立てず申し訳ございません」など
依頼の言葉:「ご理解いただけないでしょうか」「ご協力いただけないでしょうか」「お許しいただけないでしょうか」など
客のタイプ別クレーム対応法
当然ながら人にはさまざまなタイプがあるので、紋切り型の対応には限界がある。クレームを発信する客の特徴をしっかり掴んで、それぞれに適した対応をすることが求められるのだ。では、タイプごとにどのような対応が有効なのか、具体的に見ていきたい。
〈怒りっぽい客〉決めつけるような話しかた、気が短くて感情が表に出やすい
対応のポイント:「逆らわない」「自尊心を傷つけない」「『でも』など否定や切り返しの言葉は避ける」など
〈理論派の客〉社交辞令などは好まず、何が根拠なのかにこだわることが多い
対応のポイント:「要点を簡潔にまとめて話を進める」「スピーディにテキパキと対応する」「わからない点を曖昧にしない」など
〈饒舌な客〉いわゆるおしゃべりで、自分の話に酔うこともある
対応のポイント:「話を遮らずに、話し終わるまで忍耐強く聞く」「話のタイミングをみて『今までのお話を整理させていただきます』などの言葉で用件をまとめる」など
〈お節介な客〉噂話が好きだったり、良かれと思って指示や指摘をしたりすることが多い
対応のポイント:「好意を素直に受け止める」「共感する」「感謝の気持ちをきちんと伝える」など
本書の事例は銀行のものだが、言葉の選びかたや客のタイプなどは、どの業種にも当てはまるだろう。あくまでクレーム発信者を刺激しないよう言葉を選びながら、タイプごとに対応を使い分けることが重要なのだ。クレームは確かに怖いものだが、捉えかたによっては「客からの期待」ともいえる。クレームを客からの「運営の改善提案」と考えてフィードバックしていけば、サービスの向上に繋がるはず。「クレーム対応はクレーマーのためならず」といえそうだ。
文=木谷誠