超絶地味だけど素晴らしく輝かしい! “当たり前”を守る女子中学生の良い子な日常
更新日:2020/7/17
「いつまでも素直で良い子に育ってほしい…」
これは子を持つ親なら誰もが望む願いだろうし、将来子どもが欲しいと考えている方にとっても理想だろう。そんな純度1000%の少女が、マンガ界に誕生した! 今回のPOP横丁では、交通ルールやあらゆる決まり事などをちゃんと真面目に守り、困っている人がいたら率先して手助けする、まさに“模範的”女子中学生が主人公の日常物語を描いたやまうち先生の『短い横断歩道も待つタイプの中学生』(コアミックス)をご紹介!
全国の小中高校の図書室に置いていただきたい、良い子の見本!?
主人公の須直映子(すなおえいこ)は、とっても真っ直ぐ素直に成長してきた中学2年生の女の子。例えば、渡ろうとする横断歩道に書かれた白線の数がたった2本の短さでも、赤信号であれば必ず待ち、青信号になれば手をあげて渡る…という当たり前のルールをキチンと守り、お手本になるような行動を自然とみせる、まさに“良い子のモデル”だ。ある日、学校で行われた避難訓練でも誰よりも真剣に取り組んだり、街で出会った老人男性に起こるハプニングに真摯に手を貸したりと、その行動はどれもがパーフェクト! ときには持ち前の天然っぷりが炸裂して失敗もするけれど、普段から素敵な行動をとる性格の彼女だからつい許したくなっちゃう。温かい気持ちで彼女とその周囲を見守りたくなる、誰も傷つかないやさしい日常物語だ。
このマンガは、文科省の推薦図書として全国の小中高校の図書室に1冊置いてほしいくらいの作品だ。本気でおすすめしたい。本当に良くデキた子なのだ! 根は良い子だと自称する私も、この通りまでは行かないまでも、見習わなければいけないと思わされることが続々。
さて、もう少し内容について触れていくと、避難訓練で消防署の方や先生に教えられた、避難するときの“標語”ってありましたよね? 避難訓練って、あくまでも訓練で、ある意味“イベント”ということもあり、教室から校庭への移動中、ふしぎとテンションは上がり、どうしても心は緩くなって、周りの人とお喋りしながら歩きがち。場合によっては、その会話が自分に振られてくることも。楽しいお喋りをしたい…という誘惑に駆られ悶絶する真面目な映子はどうするのか? 読者はきっとその様子を応援したくなり、訓練を終えた後の映子の安堵の表情には自然とホッとすることだろう。
ちなみに映子がこんな素敵な性格へ成長したのは、妹ができたことがキッカケなのだが、これがまた心が温かくなるような感動エピソード! 次々と魅せてくれる映子の「エエ子」な姿をぜひ最後まで楽しんでほしい作品だ。
そして映子のエエ子な行動は、自分でルールを守るだけにとどまらない。イタズラする小さな子どもにはやさしく注意しては良い子に正してあげたり、ハプニングで困っているお年寄りには手を貸してあげたりと、これまたお手本となるような素晴らしい行動ばかり。この1巻に収録されているのは、おまけが付いて全14話。1話当たりのページ数がだいたい8ページ以下でセリフはそんなに多くない。やさしさは読者に対してまでに及んでいるではないか!? そんなわけで、大人はもちろんのこと、小さい子どもも十分楽しめる。親子で読んで、意見交換するのも楽しみ方のひとつかもしれない。これで教育機関にも良いアピールができたはず!(図書室の蔵書決定?)
このマンガは、読めば読むほど私たちが見失っていた“当たり前”のことを、映子を通じて改めて気づかせてくれる作品。もしかしたら、彼女のような真面目で素直な心を、私たちも取り戻せるチャンスかもしれない!
文・手書きPOP=はりまりょう
【こちらも読みたい!】
▶カワイイ表紙は「地獄絵図」への前フリ!? 伝説のトラウマ級サイコ漫画が満を持して蘇った!