自分を安売りせず「高く売る」には? ビジネスプロフィールを侮るなかれ!
更新日:2020/7/21
年金2000万円問題やAIの進化に加え、この未曾有のウイルス危機。将来が不安だから、もっと頑張らなくちゃいけないとお考えの人も多いだろう。『転職・副業・起業で夢が実現!安く売るより高く売れたい』(芝蘭友/WAVE出版)は、ビジネスプロフィールのコンサルタントの著者が自分をアピールするための「ストーリー」を作る方法を9つのワークを通しレクチャーしてくれる。
たった数行であなたの人生が決まってしまう? ビジネスプロフィールは運命を紡ぐ
ビジネスプロフィールとは、平たく言うと「自分が何者で、何をしてきたか」を示す文章のこと。せいぜい数行程度だが、自分がやってきたこと、本当にやりたいことなど、人へのアピール素材となる。履歴書や職務経歴書に書く場合も多く、時として出来で採用・不採用が決まるかもしれないので侮れない。逆に言えばこれをうまく使えば、「高く売れる人」になれるとも言える。
ところであなたは、「自分はこういう者です」と初対面の人に説明できるだろうか? 入社年度や手掛けたプロジェクトの大きさでは、自らが何者かを表せない。
何を目指すにしても、まず重要なことは1つです。
それは、自分自身をどうとらえるかという意識です。
自分はどのような人間で、何を強みとし、どんな人を相手に、何をしているのか。
ふと考えてみると自分自身について、はっきり説明できない人がほとんどであろう。少なくとも私はさっぱりであった。強みや成し遂げたことなど、自分にあるのか。そもそも、どうしたらわかるかがわからない。就職のときに手書きのエントリーシートを何度も書き直した悪夢が蘇りそうである。
自分で自分を褒めてあげるのは恥ずかしいが、自分の価値を認めることにつながると著者は言う。売れる人はなんでもできる人なわけではない。強みを理解することで、自分がお役に立てる顧客をしっかりと掴んでいるから「売れている」のだ。
この本は、自分を知るステップを3つに分け、トータル9つのワークで構成されている。
自分を知り、磨き上げる!「売れる人思考」への3つのステップ
ステップ1:自分の功績はたくさんある
ステップ2:自分の価値が明らかになる
ステップ3:自分の価値を表現する
(目次より)
ステップ1からハードルが高いと思い、「たいしたことしていない」「地道に頑張ってきたつもりだけど……」と尻込みしてしまうかもしれない。著者のクライアントも、自分には何もない、と過去をなかったことにしようとするケースは多いそうだ。
しかし、すでにある価値を見出すことが大事なのである。人間は自分自身にこそ無自覚なものの、掘り起こせば必ずなにか見つかると言う。まず9つの質問に答え、現状を洗い出すことがワークの第一歩。
次に注目すべきなのは、顧客の感謝の声である。「ありがとう」「感謝します」といったものではない。(もちろんそういったストレートな声もとても大切であるが)自分のこの仕事ぶりがこまやかだった、すぐにレスポンスをくれたから立ち往生しなかった……など、自身の仕事を評価してもらった言葉たちを集めるのである。見つからないのは今までアンテナを張っていなかったから、だそうだ。
実際に気恥ずかしさをこらえやってみたところ、たしかにチラホラと見つかる。最初は少しキツいかもしれないが、段々楽しく、ないしは嬉しくなってくる。
ステップ1最後のワークは「誇れる数字」を探すこと。SNSのフォロワー数でもいい。数字は誰しもに同じイメージを持たせ、説得力をぐっと増してくれる。累計や希少性、ランキングなど、様々な角度から丁寧に掘り起こしてみる。きっと何か見つかるはずだ。
ステップ1を通じて現状を把握すると、「自分は結構スゴイんじゃないか?」という考えが頭をかすめ、イカンイカンと打ち消そうとするかもしれない。我々はうぬぼれ屋になることにおびえがちだ。「自信家」は勘違いした人間にも使われる。しかし、今まで頑張ってきたことを、せめて自分自身だけでも慈しんでやるのはそんなに悪いことだろうか。この振り返りをやってみるだけで、己のモチベーションが上がることを感じられると思う。
人生が変わるチャンスになるかもしれない?
もちろん、まだこれで終わりではない。ステップ2、ステップ3とワークは続いていく。自分を表す言葉を「ワンフレーズ」まで研ぎ澄ますことが最終目標である。
ビジネスプロフィールを作って、現時点での経験や過去が変わるわけではない。変わるのは自分自身が捉える自らの価値。その結果、人から応援されるようになる、転職が成功する……人生そのものの循環まで好転する場合もあるそうだ。
我々は、自分とだけは必ず一生付き合う。不安のあまり焦って、自分を安く叩き売ってしまうと、より辛い状況に追い込まれることになりかねない。
今後「売れる人思考」を持ちたいなら、著者の勧める9つのワークを、ぜひ順序立ててやってみてほしい。
文=宇野なおみ