『女帝 小池百合子』やブレイディみかこ氏の新刊も!「2020年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品を紹介
公開日:2020/7/22
優れたノンフィクション作品を表彰する「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」のノミネート作品が明らかに。今後は全国の書店員による投票を経て、11月上旬に大賞1作品が発表される。
同賞はより多くの読者に良質なノンフィクション作品の魅力を伝え、世界で起きている事象についての思考を深めさせることが目的。今年で3回目の開催となり、第1回は角幡唯介氏の『極夜行』(文藝春秋)、第2回はブレイディみかこ氏の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)が大賞を獲得していた。
今年は一体どんなノンフィクション本が大賞に輝くのか。以下では、ノミネートした6作品の概要を紹介していこう。
佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』
200名の患者を看取ってきた友人の看護師が、癌に罹患。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、死への向き合い方は意外なものだった──。著者がこだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に、真っ正面から向き合ったノンフィクション。2013年に京都の診療所を訪れてから7年間、寄り添うように見てきた終末医療の現場が感動的に綴られている。
梯久美子『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』
樺太/サハリン、旧名サガレン。そこは何度も国境線が引き直された境界の島。大日本帝国時代には陸の「国境線」を見るため、北原白秋や林芙美子らが訪れていた。また宮沢賢治は妹・トシが死んだ翌年、その魂を求めてサガレンを訪れ、名詩を残している。いったい何が彼らを惹きつけたのか? 著者は賢治の行程を辿りつつ、近現代史の縮図をゆく。
石井妙子『女帝 小池百合子』
先日の東京都知事選で再選を果たした都知事・小池百合子氏の半生を扱った1冊。「芦屋令嬢」育ち、謎多きカイロ時代、キャスターから政治の道へ──。常に「風」を巻き起こしながら、権力の頂点を目指してきた彼女。3年半の歳月を費やした綿密な取材によって、今まで明かされることのなかった数奇な半生が描き出される。
濱野ちひろ『聖なるズー』
2019年の「第17回 開高健ノンフィクション賞」を受賞した作品。同書で取材が行われたのは、犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら「人間にとって愛とは何か」「暴力とは何か」といった難題と向き合っていく。そこで著者が戸惑いつつも見出した、希望のかけらとは──。
高橋ユキ『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』
2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で一夜にして5人の村人が殺害された。犯人の家に貼られた川柳は戦慄の犯行予告として世間を騒がせたが、それらはすべてうわさ話に過ぎなかった。気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散されたうわさ話を地道に検証。「山口連続殺人放火事件」の真相解明に挑んでいく。
ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』
昨年「ノンフィクション本大賞」を受賞したブレイディみかこ氏が、英国の中高年男性の悲喜こもごもを見つめたエッセーによって2年連続ノミネート。妻と息子との喧嘩が絶えず、仲直りしようと漢字で「平和」とタトゥーを入れたつもりが「中和」と彫られていた……という男性の話など、笑って泣ける21篇が収録された。
以上、今年も多種多彩なテーマの作品がノミネート。なお「2020年ノンフィクション本大賞」の特設ページでは、ノンフィクションの魅力を伝えるコンテンツを掲載中。ノンフィクション本になじみがない人のために、書店員がオススメ本を紹介するコーナーも展開されている。
ノミネート作品はいずれも話題性抜群の書籍ばかり。興味をもった人は、ぜひこの機会にノンフィクション本を手に取ってみてほしい。
■「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」特設ページ
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