変化を味方につけて、より豊かな人生に最適化しよう! 勝間和代さんインタビュー
公開日:2020/7/31
経済評論家で、年間500冊もの読書量を長年維持する勝間和代さん。
仕事や家事、健康管理など、あらゆる物事の効率化マニアとして知られ、新刊『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』(KADOKAWA)は、変化の激しい今を生き抜くヒントにあふれていると評判です。
ネオとは「新しい」、ライフハックとは「人生を豊かにする方法」という意味。その極意について伺いました。
変化に逆らうのではなく、変化を味方につける
――ズバリ、人生を豊かにする極意とは?
勝間和代さん(以下、勝間):働き方も暮らし方も、コミュニケーションのとり方も、変化に逆らうのではなく、変化を味方につけるのが最大のポイントです。「奇貨(きか/利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄や機会)」という言葉がありますが、起きたことをすべて、よい方向に変えるきっかけとして捉えるわけです。
コロナ禍も奇貨になし得ると思いますが、そう思えないのは先が見えないからです。ウイルスの実態や感染状況、対応策などでも不透明なことが多く、今後、より悪いことが起きるのではないか、という不安ばかりふくらみますよね。そういうときに、変化に逆らうと、本当に悪いことが起きるのが世の常です。変化に適応するように心がけることをお勧めします。
――実際、勝間さんは約2カ月の外出自粛期間中に、さまざまな生活の改善を図られたそうですね。
勝間:はい、トレーニングのオンライン化にデスクトップパソコンの動作音の静寂化、寝室の瞑想ルーム化、VRヘッドセットの一新、洗濯機の60度洗いや90度洗いの活用など、数えたらザッと15個以上ありました。ずっとしよう、しようと思い続けてできなかったことばかり。おかげで生活が一気に向上しました。
現状維持を脱するのって、よほどのインパクトのある機会がないとできないんです。逆の言い方をすると、現状維持を脱せるほどの出来事が起きるのはチャンスということ。世間一般にも、テレワークが浸透して働き方改革が進みましたよね。そのおかげで、満員電車や無駄に長い会議、疲れる人間関係などから開放されて、QOLが上がった人が多いのではないか、と。
最適な現状の先に、最適な未来がある
――そうした恩恵をこうむることができたのに、なぜか、かつての現状を恋しく思ってしまうという……。
勝間:かつての現状が理想形ではなくても、そう思ってしまうんですよね(笑)。それは、「現状維持バイアス」という心理作用が働くからです。
新刊にも書きましたが、人は、現状を快適だと思って、その状態を維持しようとする生き物です。誰にとっても、現状というのは長年生きてきた中で、そのつど一番よいであろう選択をし続けてきた結果です。それを変えると悪くなるかもしれない、というリスクがあるから、現状を維持することを好むわけです。
でも、かつての現状=過去に戻ることはできません。変化に適応していくしかないから、それならより前向きに、変化を味方につけたほうがいい、というのが私の考えです。
――新刊の中で、人には変化を嫌う傾向があることを知っておくことが、変化に対する恐怖心を克服する第一歩、というふうにも書かれていました。確かに、これを知ると、人として仕方ないことと割り切れて、変化を受け入れる気持ちが芽生えます。
勝間:いっそ、変化を楽しんじゃいましょう!(笑)
私は日ごろから、買い物やサービスを受けるときに迷ったら、今までに選んだことがないものや、新しいものを選ぶようにしています。選択ミスすることもありますが、何事もいいことも悪いことも起きるのは当然で、ミスしたら学習すればいいだけのことです。
つまり、新しい選択肢を手にすること=成長。その積み重ねによって、選択眼が磨かれるので、選択ミスをしにくくなるんです。
――勝間さんはよく、著書やメルマガ、ブログなどの内容が、時代の先を行っている、と評されますが、そのコツは、選択眼を磨いてきたからでしょうか?
勝間:私は、別に先を読んでるつもりはないんです。そのときどきで、こうするのが一番いいだろうな、と思うことをやってきただけで。ただ、あとになって、だんだん時代がマッチしてきたな、という印象は受けます。
これは、誰にでもできることです。まずは、現状の最適化に努めてみてください。そうすると、よりよい選択をできる予測の精度が上がって、その結果、先々の変化と合致する可能性も必ず上がりますから。
――不安が多いコロナ禍は、この先どうなるんだろう、と先のことに気を取られがちですが、まずは、現状の最適化ですね!
勝間:そうです、最適な現状の先に、最適な未来があるものですから。
誰だって、この先の未来について考えたら不安になるものです。でも、どんなに頑張っても、未来を正確に読むことはできません。どうなるかわからない未来に気を取られて、現状がおろそかになっては本末転倒です。
そうならないためには、気持ちの余裕が必要です。ぜひ、時間もお金も、2割程度の余裕を持つように心がけてください。
取材・文=茅島奈緒美 写真=疋田千里
【著者プロフィール】
勝間和代(かつま かずよ)
経済評論家。株式会社監査と分析取締役。中央大学ビジネススクール客員教授。1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。最近では、経済と効率化の知見と実体験、研究をもとにした家電、家事のアドバイスが人気。