「帰りたくても、帰れない」遠くに住む両親へできること/コロナ危機を生き抜くための心のワクチン⑧

暮らし

公開日:2020/8/29

家族、人間関係、経済、仕事、人生――新型コロナ禍の世界で、私たちは様々な悩みや心身の危機とどう向かいあうべきでしょうか? “絶望に陥らないための智恵”と“法律の知識”を、全盲の熱血弁護士が今、あなたに伝えます!

コロナ危機を生き抜くための心のワクチン
『コロナ危機を生き抜くための心のワクチン – 全盲弁護士の智恵と言葉 -』(大胡田誠/ワニブックス)

老親の遠距離介護をどうするか

 新型コロナウイルスによる影響が続く中、「帰りたくても、帰れない」遠距離介護をしている人は、いかにして親の面倒をみればいいのでしょう?

 現在、この問題に直面している人が全国的に増えています。

 

 とういうのも、新型コロナの感染拡大により、行政による都道府県をまたいだ移動の自粛要請が続く中、さらに自分が親に感染させてしまう危険性があることから、地方に住む高齢の親を遠距離介護している子どもたちの帰省が難しくなっています。

 里帰り出産の自粛と根っこは同じで、都心に住む子どもが感染者である可能性もあり、そうなると移動の際の交通機関での濃厚接触から始まり、実家の高齢の親をはじめ、親戚縁者、周囲の住民が、見えないウイルスの感染リスクを負っていると考えるのが自然です。

 万一、実家で感染が発覚すると、近くの医療機関も緊急のコロナ対策が必要となり、コロナ感染症患者を受け入れるベッドがあるかどうかなど、様々な問題が発生し、大騒動に発展する可能性があります。

 遠距離介護については、全国規模で感染拡大が生じている今、地方の介護サービス事業所や住民からも「都会から、地方に住んでいる親の介護に来てほしくない」という切実な声も上がっています。

 

 そこで、近年、こうした遠距離介護における問題を、新しい技術によるサポートで解消を目指すという動きが活発化しています。

 面会制限が続く介護施設で今、注目を集めているのが「オンライン面会」という手法でです。入居者と家族が直接会わず、スマートフォンなどの画面越しに「面会」することをいいます。

 このシステムを導入することで、離れて暮らす子どもが、老人ホームなどで生活している老親の状況を、その目で確認できるようになるというのです。遠距離介護の場でこうした方法が普及すると、介護の不安・懸念材料を減らすことができるのではないでしょうか。

 

 離れて暮らす老親が孤独に陥らないためにできることは、まずコミュニケーションを切らさないようにすること。

 こまめに電話をして、肉声でつながること。そして、手紙や写真、好きな食べ物や花などを送ったりと、つねに親のことを考えていると示すことが大切です。

 

 今後、介護施設の新規受け入れが中止になるなどして、親の在宅介護が必要になる可能性があることをあらかじめ想定しておくことが必要です。

 在宅介護には、様々な公的支援があります。

 介護についての疑問や悩みは、地域の市区町村の介護保険の担当窓口と、地域包括支援センター、社会福祉協議会が相談にのってくれます。

 

 わが家にも、70代の妻の両親が静岡県から上京して3LDKのマンションで同居をしています。子どもが手のかかる時期には、親に助けてもらい、親に介護が必要になったら家族で協力して助けることができる。今後は、こうした暮らし方が必要とされてくるかもしれません。

帰省できなくても、遠距離介護の親を孤独にさせない
最新ツールも使ったコミュニケーションを利用する
在宅介護には様々な公的支援がある

続きは本書でお楽しみください。