リアル『花の慶次』!? 元WWEレスラー・ヨシタツの生き様がパンクで傾奇者すぎる
公開日:2020/8/23
戦国時代を駆け抜けた天下御免の傾奇者(かぶきもの)、前田慶次。自由を愛し、危険に身を晒すことを楽しむ強烈な“漢”としてのその生き様に、多くの日本人が憧憬の念を抱く。原哲夫による漫画『花の慶次 雲のかなたに』は、1990年の『週刊少年ジャンプ』連載開始以来、日本中の少年たちの心を鷲掴みにしてきた。
元WWEレスラー・ヨシタツもそのうちのひとり。中学2年生のとき『花の慶次』と出会い、「慶次のような自由な生き方がしたい」とプロレスラーを志すようになったという。ヨシタツの自伝『YOSHITATSU BY YOSHITATSU「WORLD FAMOUS」と呼ばれた男』(徳間書店)には、まさにリアル『花の慶次』と言っても過言ではない、彼のパンクで傾奇者すぎる生き様が描かれている。
マリリン・マンソン事件
大学卒業後、新日本プロレスに入団。過酷な新弟子時代を送る、ある日、先輩に「気合が入っていない」と外出禁止令を出された。しかしその日の夜、マリリン・マンソンのライブのチケットを取っていたヨシタツは、「今日マリリン・マンソンのライブがあるんで外禁は明日からにします」と宣言。「行けるもんだったら行ってみろ!」と言われ、なんとしれっとライブに行ってしまった。しかも、マリリン・マンソンがライブ中に客席に投げたビール缶をキャッチするという幸運っぷり。道場に帰ると、先輩から「出て行け!」と部屋の中にある荷物を外に放り出されたため、道場に布団を敷いて寝たという。肝の据わり方が半端じゃない。
海外遠征先はWWE
海外遠征の話が来たとき、「行き先はカナダのカルガリーかメキシコ」と命じられたにもかかわらず、「世界で一番のWWEで学びたい」と言って社内を騒然とさせた。「WWEにはルートがない」と言われるも食い下がり、奇跡的な縁もあってWWE行きを実現。そしてWWEの契約選手になるためのトライアウトを受けるべく、新日本プロレスを突如退団し、またもや奇跡的な巡り合わせがあり合格してしまう。当初、ディベロップメント契約(2軍)だったが、ECWで活躍し、2010年には「レッスルマニア26」のダークマッチ、26人バトルロイヤルで優勝。そしてWWEのトップ・RAWへ――。もはや「奇跡」という言葉では片づけられないサクセスストーリーだ。
「傾きたいのなら強くなれ」
You Tubeの「
はなチャン! ~花の慶次公式チャンネル~
」にゲスト出演した際、慶次の「傾きたいのなら強くなれ」という言葉が、強くなりたいという思いの原点だと話している。プロレスラーを志してから、だれよりも練習し、だれよりも努力してきた。“トンパチ”(「型破り、規格外れ」といった意味のプロレス用語)と言われるヨシタツだが、その根っこには、ただただプロレスにひたむきな漢の姿がある。
「
はなチャン!
」では、ここでしか話していない仰天エピソードも披露。自伝と併せてぜひチェックしてほしい。「WORLD FAMOUS」と呼ばれた男の生き様を通して、カッコよく生きるとはどういうことかがわかるだろう。
文=尾崎ムギ子