免疫力が低下するとき身体の中では何が!? 女性の体内で奮闘する“イケメン細胞”たちの活躍に震える

マンガ

公開日:2020/8/21

はたらく細胞Lady
『はたらく細胞Lady』(原田重光:原作、乙川灯:作画、清水茜:監修/講談社)

 人生80年といわれた時代から“人生100年時代”へ―─。さらなる長寿時代に突入した令和の日本人。これから長い人生をともに送っていくにもかかわらず、あまり分かっていない自分自身の身体や細胞レベルの仕組み。例えば、血液内の血小板のはたらきや、心臓や腸の仕組みなど、学校の理科の授業で学んで以来、くわしく知ろうとする人はあまりいないのではないだろうか。さらに、自分自身のリアルタイムの身体の様子を知るための健康診断には定期的に行っているだろうか?(※筆者自身もこの点ではかなりヤバい…)

 身体の中の臓器や細胞が人間のために一生懸命はたらいているおかげで、今私たちは生きているわけだが、それを細胞たちの活躍といった形で“擬人化”してわかりやすく紹介してくれるのがマンガ作品「はたらく細胞」シリーズ。これまで、病気やさまざまな症状における細胞たちの活躍が描かれ、“赤ちゃん版”のスピンオフ『はたらく細胞BABY』も誕生した。今回は“大人の女性”ならではの症状に対応する細胞たちの活躍を描く、『はたらく細胞Lady』(原田重光:原作、乙川灯:作画、清水茜:監修/講談社)をピックアップ!

女性ならではの症状を、イケメン細胞たちのはたらきと共に紹介!

 舞台は、とある女性の体内にあるリンパ節。立派なお屋敷として描かれるこの場所の中心にいるのは、執事のマクロファージ。ほんの少しの汚れすら許さず、死んだ細胞や細菌の掃除屋の異名を持ち、他のどの細胞よりも身体の主である女性への忠誠心はハンパない。その厳しい目にウンザリ気味の他の免疫細胞たちとマクロファージは、ドタバタな日常を送っていた。

 だがある日、マクロファージは他の細胞たちの無頓着さに嫌気がさし、リンパ節のお屋敷から出て行ってしまった。「またか…」という困惑顔をする免疫細胞たちへ戦略を伝える役割を果たすのは、司令官のヘルパーT細胞。一方、マクロファージは自分1人でこの身体を守ろうと決意し体内をパトロールするのだが、突然冷たい風を感じる。間もなく体内に鳴り響くサイレンと放送――冷え症の発症である! 手足の血行が悪くなり、体温も下がっていく冷え症。これによってさらなる障害が細胞たちを襲う。免疫低下の中で感染を狙うウイルスたちだ。細胞たちがウイルスに侵され感染していく姿を見た、マクロファージの孤独な闘いの行方は…!?

 このように、女性が抱える冷え症や生理、さらに、恋やダイエットといったさまざまな状況、女性の身体で起きる症状の原因や、細胞や器官のはたらきが、この作品では擬人化されてやさしく楽しく学ぶことができる。これらは、「はたらく細胞」シリーズに共通した魅力だ。今作は女性の身体が舞台ということで、舞台はお屋敷で、登場するのはイケメン執事。身体の持ち主である女性を「お嬢様」と呼び忠誠を誓ったりと、乙女な世界として描かれているのが特徴だ。登場する善玉菌はとてもメルヘン! さらに神聖でちょっとファンシーな内装で描かれる子宮は、母親になるためのやさしさにあふれているかのよう。装飾の演出がはりま的に好きな空間でした♪

はたらく細胞Lady

 さて、イケメンな免疫細胞たちが活躍する今作で作画を担当する乙川灯先生は、雑誌『モーニング』の新人賞を受賞した期待の作家。人間とアンドロイドの絆を描いた受賞作の“ゆめみるがらくた”で描かれたやさしいタッチは、私たち読者を素敵な物語の世界へいざない魅了してくれた。そして今作にもその作風は健在。さらに外敵のウイルスに立ち向かって闘うマクロファージを中心とした免疫細胞たちのアクションシーンは、華麗であり見応えもバツグン! マクロファージと性格上の不一致で喧嘩することはあるけれど、身体の持ち主であるお嬢様を全力で守ろうとする想いは全員一致。こんな細胞たちに守られていると“妄想”していると、自分の身体がなんだか愛おしくなってきちゃいそう…。

 彼らの活躍を知って、これからの人生を健康で過ごすための正しい知識を得て、免疫を強化していきましょう!

文・手書きPOP=はりまりょう