福岡発、謎の激バズり特撮ヒーロー番組「ドゲンジャーズ」初書籍! 修羅の国に平和を取り戻せ
公開日:2020/8/23
2020年4月12日~6月28日まで、KBC(九州朝日放送)で放送された福岡県の特撮番組、「ドゲンジャーズ」をご存じだろうか。最終回放送後にはTwitterトレンドワード全国1位に輝き、ニコニコ動画で配信した全話一気見は3万人超が視聴するなど、特撮界に革命を起こしたといっても過言ではないローカル戦隊モノだ。第2シーズンの放送も決定しており、今や福岡県民のみならず、日本全国の特撮マニアやサブカルチャー愛好家からも注目を集めている。
福岡とその周辺に実在するローカルヒーローたちが活躍する「ドゲンジャーズ」。そのタイトルは、『アベンジャーズ』をもじったものなのだとか。ちなみにタイトル中の“ドゲン(どげん)”とは、よく使われる博多弁である。意味は「どう・どんな風に」となり、英語の“How”に近い。福岡の人が「どげんしたと?」と尋ねてきたら、「どうしたの?」という意味である。
前置きが長くなったが、番組とともに本稿でご紹介したい書籍が『ドゲンジャーズずかん』(ドゲンジャーズ製作実行委員会/KADOKAWA)だ。この図鑑には、番組に登場する福岡のご当地ヒーローたち、そして“悪の秘密結社”と名乗るご当地アンチヒーロー集団のプロフィールや豆知識が詰め込まれている。
県民じゃなくても一度は聞いたことがあるかも? 福岡のご当地ヒーローたち
本書に登場する福岡ローカルヒーローは下記の通りだ。
・薬剤戦師オーガマン:福岡県を中心にドラッグストアや調剤薬局を展開する、株式会社大賀薬局所属のヒーロー。作品では最強のヒーローとして描かれる。決めゼリフは「薬飲んで、寝ろ。」。
・キタキュウマン:全国的にも有名な、福岡県北九州市のヒーロー。「身体が硬く、戦うのが嫌い」というヒーローらしからぬ個性を持つが、逃げ足の速さとSNSのバズらせ術は超一流のそれである。
・営業部ヒーロー課ヤマシロン:佐賀市に本社を置く山代ガス株式会社所属の会社員ヒーロー。合体のために稟議を申請し、社長決裁が下りると強火モードに進化する。愛用武器は“鈍器”。
・吹王火剣フクオカリバー:福岡県全域で活躍するご当地ヒーロー。作中では数少ない(?)正統派ヒーローとして活躍する。発音は「フクオ・カリバー」であり、「フクオカ・リバー」ではない。
・天元の勇者エルブレイブ:福岡県中間市を拠点にし、東京のプロレス団体BRAVESに所属しているプロレスラー。普段は有限会社八幡建設の職人たちとともに働く、肉体派熱血ヒーロー。
彼らを知らない方でも、ヒーローの名前を検索してみるとその人気に驚くはずだ。また、福岡県在住の方や同県出身者の方は、身近な企業が作品にスポンサーとして登場していて、思わずにやけてしまうことだろう。
そして、上記の福岡ヒーローたちと共に福岡を守ることとなった、本作品オリジナルのヒーローが、主人公の「ルーキー」だ。正義感は強いものの、戦闘は初心者。幼馴染のユキちゃん、そして福岡の街を守るため、オーガマンの意志を受け継いでいる。
本当に福岡に存在する「株式会社悪の秘密結社」とは?
本作に登場するご当地キャラは、正義の味方だけではない。修羅の国とも揶揄される福岡には、驚くことなかれ、ご当地“悪の秘密結社”も存在するのだ。しかもこれ、リアルに存在する株式会社である。
福岡市に本社を置く株式会社悪の秘密結社の代表取締役社長である「ヤバイ仮面」は、本作においても最高のスパイスとして視聴者を楽しませてくれる。黒くて、悪くて、強くて、カッコいい。でもちょっと抜けていて、女の子に弱く、部下に対して情が厚い。お手本のような、手ごわいのにどこか憎めない“悪のドン”である。
ヤバイ仮面の手下、つまり秘密結社の社員たちがヒーローにコテンパンにやられた後の場面。社長のヤバイ仮面はしっかりと労災の手続きをしているのがシュールで笑ってしまう。会社員ヒーローのヤマシロンも、経営者としての側面では、ヤバイ仮面のことを尊敬しているのだとか。悪の秘密結社、意外とホワイト企業なのかも?
そんなヤバイ仮面の左胸には、スポンサーである「天麩羅処ひらお」のロゴが入っている。こちらも福岡民としては盛り上がるポイントで、帰省してボリューム満点のカラッと揚がった天ぷらを食べたくなってしまうところである。
そして、本書『ドゲンジャーズずかん』の情報によると、ヤバイ仮面の愛用している刀の名前は「銀ダラブレード」となっている。福岡ツウの方ならピンとくるかもしれない。「銀だらみりん」は、知る人ぞ知る、博多のコアな名物料理なのだ。知名度こそラーメンやもつ鍋には劣るものの、これは本当においしく、九州の焼酎にもよく合う。皆さんが福岡に足を運んだ際には、是が非でもトライしてみていただきたい1品である。
本書は児童向けとしてお子様にもおすすめだが、お父さんやお母さんでもクスリと笑えるディテールが楽しい。各ヒーローのプロフィール欄には、身長・体重・必殺技・愛用武器・好きな食べ物・よく行く場所・その他、口癖やチャームポイント、今に至るまでの裏話など、テレビ番組だけでは知り得なかったプチ情報も満載だ。
テレビ放送の方も、第2シーズンの放送が楽しみで仕方ないが、その前に『ドゲンジャーズずかん』でヒーローや悪役たちの細かくておもしろい情報を収集しておきたい。
文=K(稲)