「糖質制限」ダイエットでやりがちなNG行動…医師が教える正しい方法とは
公開日:2020/8/22
近年、話題の「糖質制限」ダイエット。ですが、「試してみたけど、長続きしなかった」なんて人も多いのではないでしょうか。そんな人は、もしかしたら、危険な方法で「糖質制限」を実践していたのかも?
今回、おおこうち内科クリニック 理事長 兼 院長 大河内昌弘先生に、正しい「糖質制限」の方法についてお話を伺いました。
「糖質制限」ダイエットでやりがちなNG行動
――近年、「糖質制限」ダイエットが話題になっていますが、医師という立場から見て、「危険だな」と思われることはありますか?
大河内昌弘先生(以下、大河内):糖質制限は、本来、安易に行ってはいけません。糖質は生命を維持するために欠かせない栄養素ですから、誤ったやり方で続けてしまうと、身体に大きなダメージがあります。特に、糖質を3食まったく摂らないといった方法は、非常に危険です。糖質を制限し過ぎると、身体が飢餓状態となり、無気力になったり、眠気を感じたりすることがあります。また、糖質制限をすると、肉を多く食べることになりがちですが、動物性脂質は中性脂肪や悪玉コレステロールを増加させる作用があり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を招きかねません。
――「糖質制限」ダイエットに挑戦した人の中には「長続きしなかった」「リバウンドしてしまった」という人も多いようですが、それも方法が間違っていたせいなのでしょうか。
大河内:単純に糖質を減らすだけでは、長続きしないばかりでなく、リバウンドしやすくなります。筋肉量が落ち、基礎代謝が落ちてしまう場合も少なくありません。糖質制限は、リスクまで理解した上で、正しい方法で継続していくことが大切です。
糖質量は1日130g以下に! 正しい「糖質制限」ダイエット
――では、正しい「糖質制限」の方法とは、どういうものなのでしょうか。
大河内:食事内容を加味しながら緩やかな糖質制限を実践することが正しい糖質制限の方法です。極端に糖質を減らすのではなく、普段の生活に必要な糖分はきちんと摂るようにしてください。具体的には、1日に食事から摂る糖質量を合計130g以下にします。朝・昼・晩の食事で各20~40g、おやつも10gまでの糖質量でしたら、摂取してかまいません。ただし、おやつOKといっても、食物繊維やビタミンを多く含む果物を摂るなど工夫するようにしてください。
――食事では、どういう食材を摂るとよいのでしょうか?
大河内:糖質量130gというのは、ごはんでいうと、お茶碗2杯程度。おかずなどにも糖質が含まれることを考えると、ごはんは1食50g程度(お茶碗3分の1)にするとよいでしょう。
おかずには、たんぱく質、脂質、食物繊維を含むものを摂ることがオススメです。肉より魚、それも不飽和脂肪酸「オメガ3」を多く含む青魚を積極的に摂るとよいです。肉を食べる際は、カルビや、ホルモンなどの動物性脂質を多く含む肉は極力避け、なるべく赤身を食べるようにします。
食べる順は、副菜(野菜など食物繊維を多く含むもの)→主菜(肉・魚・卵・大豆製品などたんぱく質を多く含むもの)→主食(ごはん・麺・パンなど糖質を多く含むもの)。血糖値がゆっくり上がるため、太りにくくなります。20分以上かけてゆっくり食べるようにしましょう。こうした方法を取り入れることで、糖質制限のリスクを低減させることができます。
――この正しい「糖質制限」の方法は、全年齢・性別問わず、すべての人に有効なのでしょうか?
大河内:糖質制限は、すべての人に適しているわけではなく、当然向き・不向きがあります。
向いている人は、普段、糖質を多く取り過ぎている人や、血糖値が高めの人。例えばご飯や麺を大盛りで食べる、麺類にご飯物を付けたり、カレーや丼物、スイーツ類をよく食べる人などは、糖質を減らすことで痩せやすくなります。
一方、もともとご飯や麺類をたくさん食べない人、甘い間食をあまりしない人には向いていません。揚げ物をよく食べるという人も、太る原因が糖質ではなく脂肪なので効果は期待できません。
また、糖質制限は、若い人や糖尿病患者が一定期間やるのは、体重が減ったり、血糖値の改善効果が得られたりと効果的です。ですが、高齢者は安易に手を出すべきではありません。
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糖質制限に限らず、ダイエットをする際には、短期的なメリットばかりに目を向けずに、長期的な視点で健康的な体を維持できるように、安全かつ効果的で長続きする方法で食事療法を取り入れていきたいものですね。
文=アサトーミナミ