メンヘラだった私は空き巣級に散らかった部屋すら自分の才能だと思っていた/すべての女子はメンヘラである⑥
公開日:2020/8/27
「もっと愛されたい」「周りから浮きたくない」…メンヘラとは、感情のコントロールがうまくできず暴走してしまう人。誰でも状況次第でなってしまう可能性があります。みんなが抱える「悩み」を上手に手放すためのヒントをわかりやすく紹介します。あなたの解決したいお悩みは? 『すべての女子はメンヘラである』(スイスイ/飛鳥新社)からの試し読み連載。メンヘラ女子にはなぜか常に彼氏がいる…その理由と、カップル間のトラブルの原因をズバリ解説!
史上最強のメンヘラお祓い大作戦
・・・実録! メンヘラお祓い大作戦
私がメンヘラ全盛期だった頃、大学の寮で私の部屋に空き巣が入った。
警官と共に部屋に足を踏み入れると、引き出しもぜんぶ開きっぱなし、物も服も散乱しまくり足の踏み場もない。その部屋を見た警察官が、カルテのようなものに「大変荒らされている」と書き込みながら「ひどい状態ですねえ」と言ったとき、私の隣に立っていたルームメイトのSちゃんがこう答えた。「え、この子の部屋、完全いつも通りです」と。
そう、私の部屋からは確かに一台のパソコンが盗まれていたが、それ以外はまじでいつも通りの荒れ模様だった。私の部屋は毎日毎日私により大変荒らされていた。
だけど。当時私は「乱れは個性だが?」と開き直っている節があり部屋が汚いほど独創的だと思ってた。生活やメンタルのアンバランスを直す必要なんて感じたこともなかった。
私は自らのメンヘラ気質を才能と思い、あろうことか誇っていたのだ。
高校3年の春、通ってた予備校の講師に大失恋したときもそう。
別れ話をされた直後、近くでたまたま路上ライブをしていたアカペラグループに「いま振られたので何か歌ってください!」と叫びスピッツのチェリーを歌われながら地べたに泣き崩れたり、彼の授業にわざわざ出席して目の前で泣いたり。当時、苦しみながらも「こんなにも恋に溺れられる私」まるごとを誇ってた節がある。
だけどもしもメンヘラが、自分の中の異常性に気づき、それを「直したい」と思うときが来たとしたら、その苦しみを伴う自覚症状こそメンヘラを追い出せる最大のターニングポイントだ。私の場合、夫に出会ったのが最大のそれだった。
……という長すぎる前置きを経て、はい、とうとうここから脱メンヘラ作戦。
ファーストステップに進む。
・・・メンヘラ脱出決意のきっかけ
夫の話に戻るけど、彼はいままで付き合った誰とも違う人だった。
私たちは就職活動の面接で出会ったのだけど、「あー、こういう人はちゃんとしたロングヘアの人と付き合うんだろうなー……」と絶望しながら彼を見上げたことを覚えている。
つまり、「こういう人は、メンヘラ気質の人間と付き合うタイプではないな」と予感したのだった。ただそれと同時に、私の第六感ははっきりと「これが最初で最後のチャンス絶対運命逃さない!」と言ってきたのである。
大事なことだからもう一回言う。
「これが最初で最後のチャンス絶対運命逃さない!」と。
その、広瀬香美感というか北川悦吏子感は、私の中で強く発光した。
さらに2人で過ごす中、決定的な感情が生まれた。
「もしも私の寿命が80歳だとしたら、少なくともあと60年くらいしか彼と一緒にいられない」という壮大な事実に悲しんでいる自分に気づいたのだった。
世界の中心でベストセラーになった後、映画化決定レベルの愛である。
だけど当時はメンヘラ真っ最中。付き合って1ヵ月半もすればメンヘラ臭が漏れ出し、エスカレーター式に感情があふれ出し、修羅場に潜行するという流れをたどることは目に見えていた。
「このままの自分でいたら、彼とは長くて2年も続かないだろう」と思った。
そのとき、初めて私は、メンヘラ沼からの脱出を決意する。
メンヘラお祓い大作戦が開始されたのだった。
【次回に続く!】