『サザエさん』“ポテサラ論争”へのアンチテーゼ? 波平の意外な言葉に「主婦の味方!」

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公開日:2020/8/30

サザエさん
『サザエさん』14巻(長谷川町子/朝日新聞出版)

 8月23日に放送されたアニメ『サザエさん』。波平の意外な言動が、先ごろツイッター上で物議をかもした“ポテサラ論争”に対するアンチテーゼではないかと話題になっている。

 そのエピソードは、作品No.8131「カツオめんつゆ博士」。うだるような暑い日々、磯野家のお昼の食卓には毎日のようにそうめんが並んでいた。さすがにもう飽きたとうんざりするカツオだが、この日の“麺つゆ”は一味違った。つい吃驚してしまうほど美味しいこの麺つゆは、実は波平が“手作り”したもの。カツオが「最高だよ。これなら毎日そうめんでもいいよ」と絶賛すると、調子に乗った波平はハチマキにたすき掛け姿で麺つゆを大量生産。カツオは「ちょっとおだてすぎたかな…」と、来るそうめん地獄に頭を悩ますのだった。

 そんなある日、花沢さんから同級生を集めての“そうめんパーティー”のお誘いが。ここで麺つゆを大量消費できると踏んだカツオは、二つ返事で誘いを承諾。当日、麺つゆが大絶賛されると、つい「夏休みの宿題を犠牲にして3時間がかりで作った」と自分の手柄に。しかしそのせいで、「レシピを教えてほしい」と懇願されてしまうのだった。

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 その夜、カツオが波平にレシピを尋ねたところ、波平は「最高の宗田節、最高の昆布、最高の干しシイタケ…」と材料をあげていく。しかしフネが「お父さん、本当のことを言ったら」とツッコむと、波平は苦笑いしながら「これらを使って試行錯誤してみたが、結局コレに落ち着いた」「これ以上の味は出せん」と、なんと“だしパック”を取り出したのだ。

 翌日、レシピを教えてもらいにやって来た花沢さんたちに、カツオは謝罪。友人たちは笑って許し、そうめんで食卓を囲みながら「おいしいこの麺つゆ 磯野くんは麺つゆ博士ね!」「だしパックもいいわね」と、みんなで改めて“だしパック”のスゴさに感心するのだった。

 読者のみなさんは、今年7月にツイッター上で物議を醸した“ポテサラ事件”をご存知だろうか。事の発端は、惣菜コーナーで高齢の男性が子連れ女性に対し「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言い放っているのを耳にしたというツイート。その後、「ポテトサラダは簡単か、手間か」という論争がぼっ発する事態に発展するが、なにより大きな批判を集めたのが男性の失礼な発言だった。

 “ザ・昭和のお父さん”である波平ならば、「お手軽なだしパックは甘え」という考えを持っていてもおかしくない。しかし今回、だしパックを「これ以上の味は出せん」と認め、率先して使い、自ら台所に長時間立って作り置きまでする始末…。そんな意外すぎる言動に対し、視聴者からは「出汁パック最強説を推す主婦の味方」「波平のナイスパパさが際立つ話だったな」「ポテサラおじさんに波平からのカウンターフックが」「今風アレンジの皮肉が効いていて面白い」「雪室先生ネットでだしパックは手抜きとかそういうネタ見たのかな」などと、そのメッセージ性に大きな反響を呼んでいる。

 50年以上も愛される作品は、やはり“アップデート力”がしっかり備わっているのかもしれない。