大型台風が接近! 事前の備えは? 避難のタイミングは? 水害から身を守るための3つのポイント
更新日:2020/9/25
「非常に激しい雨」は増加傾向
そろそろ台風の季節がやってきますが、昨年の台風19号以降は特にその動向や対策に注目が集まっています。本稿では大雨がきっかけで起こるさまざまな災害に焦点を当て、それらの災害から身を守るポイントをご紹介していきます。
台風や梅雨の時期、近年日本各地で大きな被害をもたらしているもののひとつが、大雨です。実際にこちらの図を見ると、年々雨の降り方が急激になっていることが分かります。
大雨による被害を最小限にするために、私たちは起こるであろう災害のことを「知り」、そして「備える」ことが大切です。
まずは大雨によって起こる災害の特徴と対策をご紹介します。
大雨が引き起こす災害
大雨によって起こる災害というと、まずは洪水と土砂災害をイメージする方が多いのではないでしょうか。
洪水の原因は、台風による大雨などが原因で川の水の量が異常に増え、堤防が壊れたり、堤防を越えたりすることによって、川の水があふれ出ることです。
そうなると、大量の水が一気に流れ込み、わずかな時間で住居などへ浸水し、家屋の倒壊や人的被害につながる災害となることもあります。複数の河川が同時に氾濫する場合もあり、被害が広範囲に及ぶことも。
土砂災害は台風や大雨、地震などが引き金となって、土砂が一瞬にして多くの人命や住宅などの財産を奪ってしまう恐ろしい災害です。大雨の時には特に注意し、状況によっては早めに自主避難しましょう。
市街地で起こる水害
市街地で注意するべき水害は内水氾濫です。内水氾濫とは、雨水が地下へしみ込みにくい市街地などに短時間で局地的な大雨が降ると、降った雨が下水道や川に排水できずにあふれ出し、その結果、建物や道路などが水につかってしまう現象のことをいいます。近年では、内水氾濫は洪水よりも発生する頻度が高くなっています。
災害から身を守るための3つのポイント
以上のように大雨がもたらす災害はさまざまですが、ひとつ言えることは、これらの災害は地震とは異なり、気象情報で発生の可能性が分かるということです。
以下に身を守るためのポイントをまとめてみました。
①事前にハザードマップの確認
・自分の住んでいる地域が被害の可能性がある地域か確認。
下のイラストにあるように、まずはハザードマップ上で色が塗られているかどうかを確認します。塗られていなければ、在宅避難ができる可能性が高いです。
塗られている場合でも条件が合えば大丈夫な場所もあります。
・洪水の場合は、洪水が起きた時の浸水状況を確認。
・避難場所や避難経路を複数調べておく。
避難場所の選択肢は1つだけではありません。複数想定しておくと良いでしょう。
②災害時の情報入手
・市町村が出す避難情報に従って行動できるようにする。
・警戒レベルを5段階で示しています。特に避難に関わるレベルは3と4です。
必要な情報の内容を把握しておきましょう。市町村の防災情報メールなどはあらかじめ登録しておけば、災害時に避難情報が配信されるサービスもあります。
③早めの避難
情報収集はとても大事ですが、それだけでは命を守る行動として十分ではありません。下の表を見てください。一昨年の豪雨の時の住民の避難行動の有無について、7割以上の人が避難しなかったと回答しています。そのうち、「避難しなかった決め手とその理由」のグラフを見ると、情報を得ても、自分は安全と認識し避難しなかったことが分かります。
逆に「避難した」決め手は、「危険かもしれない」という認識や周りの声かけでした。自主的に身を守る行動は、早めにとることが大切です。警戒レベル3または4になったらすぐに避難できるように準備しておきましょう。また、警戒レベルだけではなく、自宅の周囲の状況から浸水や土砂災害の危険性を感じたら、すぐに自主避難してください。国及び都道府県が管理している河川の水位情報や洪水情報は、国土交通省のWebサイト「川の防災情報」で検索すると確認することができます。
大雨が引き起こす災害では事前の確認と災害時の情報収集が鍵になります。これらを手掛かりに命を守る行動につなげましょう。
文=石田有香
石田有香(NPO法人プラス・アーツ チーフ)
東日本大震災をきっかけに、岩手県で子ども参加のまちづくり事業に従事。2016年にプラス・アーツに入社し、現在は、楽しみながら学べる防災体験プログラムの開発や家庭備蓄の啓発など、主に防災教育や地域支援を担当している。
ホームページ:防災は楽しい。プラス・アーツ