飽和状態の自販機ビジネス、生き残りをかけた次の一手とは

ビジネス

公開日:2020/9/15

飽和状態の自販機ビジネス、生き残りをかけた次の一手とは

 お手軽にドリンクが買える自動販売機。日頃から愛用している人も多いと思いますが、最近はコンビニの台頭により若干押され気味な状況となっています。自販機の生き残りに向けた「次の戦略」に注目してみましょう。

自動販売機が生き残る道とは?

 自販機を巡っては、ネット上で「なんだか最近、自販機を使う機会減ったなぁ」「喉が渇いた時は大抵コンビニに寄ってしまう」「コンビニにもセルフレジはあるし、あまり自販機で買うメリットってないよね」といった声が上がっています。

 こうした事態を打破するため、アサヒ飲料と伊藤園はライバル同士で手を組む策を打ち出しました。

advertisement

 2019年3月に両社で締結された「製品相互販売に関する取引基本契約」では、伊藤園の「お~いお茶」をアサヒが管理する自動販売機で供給し、また同様にアサヒ飲料の「ウィルキンソン」は伊藤園が所有する自販機で販売されることになります。

 実は競合同士の提携は、2016年から「ダイドードリンコ」と「キリンビバレッジ」間でも取り組み中。当時は「ダイドーブレンド」と「キリン 午後の紅茶」の相互販売からスタートしていました。

 なおダイドードリンコは今年2月、アサヒ飲料とも提携することを発表。3月からダイドーの自販機で「三ツ矢サイダー」や「カルピスウォーター」が買えるようになっています。

 さらに近年は、「一風変わった自販機」が地方の活性化に貢献中。

 例えば羽田空港には「地方の名産品だけを販売する自販機」があり、各地方のPRに大活躍しているとか。中でも「くまもんグッズ」の売れ行きは好調とのことです。

「ライバル同士の提携」や「飲料品だけではない事業展開」など、自販機の生き残り策はまだまだ多くありそうです。

自動販売機の利用実態に迫った調査

 近頃の自動販売機には、実際どれくらいの利用者がいるのでしょうか。TPCマーケティングリサーチが行った「自販機の利用実態」に関する2018年の調査結果を見てみましょう。

 アンケートの対象は、10代(中学生以上)~60代の男女623人。まずは「自動販売機での飲料の購入頻度」について尋ねると、結果は「週1~2回程度(26.6%)」「月に2~3回程度(26.0%)」「月に1回程度(24.7%)」となりました。

 また自販機の利用場所で多かったのは、「オフィスビル・職場(24.1%)」「住宅地などの道路沿い(19.4%)」「駅の構内・周辺(14.6%)」「学校(12.0%)」など。「オフィスビル」と回答した人からは、「すぐに利用できる場所にあるから」「職場の福利厚生で安く購入できるから」といった理由が挙げられています。

 自販機のメリットについては、「スピーディーに買える」「買いたい時に近くにある」「時間を気にせず買える」「商品がよく冷えている・温まっている」などの回答が多数。

 デザインや種類が豊富なため、海外からも注目される日本の自販機。これからも「便利な存在」であることに変わりはないのかもしれませんね。

【こちらも読みたい】

▶「無料サービスの増加」は私たちの生活をどう変える? LINEの利用価値は年間●●●万円!