BOOK OF THE YEAR2020投票スタート! 『蜜蜂と遠雷』、星野源『よみがえる変態』もランクインした昨年を振り返る!
更新日:2020/9/4
毎年、雑誌『ダ・ヴィンチ』が「今年、いちばんよかった本」を決めるBOOK OF THE YEAR2020の投票が9月4日(金)よりスタート! 今年はどんな作品が選ばれるのだろうか? 昨年ランクインした作品は何冊読むことができただろうか?
BOOK OF THE YEAR 2019の文庫部門1位に輝いたのは、史上初の快挙となる直木賞と本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』。「読み終わって外を歩いているとき、いろんな音が聞こえて“世界は美しい”と心から感じた」(29・女)など、感動の声が多数あがった。
2位の『十二人の死にたい子どもたち』はキャッチーな題名と実力派若手俳優が競演した映画化作品で注目を集め、「現在の若者の心理の複雑さが見事に描かれている」(37・男)と絶賛! 3位『陸王』もドラマ化作品に惹かれ、「ドラマとの違いを見たかった」(49・男)と原作に立ち返った人が多かったよう。
ベスト3からも見られるように、2019年も映像化、あるいは映像化決定により、注目を集めた作品が上位に並んだ。『屍人荘の殺人』『わたし、定時で帰ります。』『みかづき』『マチネの終わりに』『劇場』『罪の声』『犯罪小説集』がそれにあたるが、そのどれもが文庫化を待ち望まれていたヒット作ばかり。主要文学賞受賞作や本屋大賞、『このミステリーがすごい!』大賞など、本好きからの注目を集めるランキングを飾った話題作の文庫化を心待ちにしていたという声に溢れていた。
4位の『アンと青春』は「読みやすくて面白い」(28・女)と、ライトな本好きからの支持を得ていた。『和菓子のアン』に続くこの作品同様、〈古典部〉シリーズ第6弾『いまさら翼といわれても』、杉村三郎シリーズ4作目『希望荘』、『チルドレン』の続編となる『サブマリン』など、シリーズものも根強い人気に。
異彩を放っていたのがベスト20のなかで唯一のエッセイ、8位『よみがえる変態』だ。突然の病に襲われてからの壮絶な闘病生活、完全復活するまでの3年間を星野源が綴った同作には、「星野さんの印象がガラッと変わった。闘病の記録は前向きになれる」(35・女)など、親近感が持てたという声が数多く寄せられていた。
4分冊での文庫化も、大きな話題となった5位『騎士団長殺し』をはじめ、2019年は長編作品が多かったのも、ひとつの特徴だ。手頃な価格で、コンパクトに読むことのできる文庫は、普段は長編作をあまり読まない人々も取り込み、読書の楽しみを膨らませていったようだ。
文=河村道子