その飼い方で愛猫は本当に幸せ!? 家猫に関する「なんで?」や「大丈夫?」がまるっとわかる、猫本の決定版
更新日:2021/1/8
テレワークなどで家にいる時間が長くなると、いろいろとわかってくる愛猫のこと。でも、まだまだ「なんで?」「大丈夫?」と思うことが多くないだろうか。
なんで、段ボール箱の中が好きなの?
おとなしく抱っこされてたのに、なんで急に噛むの?
ごはん食べてないけど大丈夫?
水を飲みたがらないけど大丈夫なの?
そんな猫のさまざまな行動が意味する気持ちや不調のサインを、SNS上で人気No.1の獣医師がわかりやすく解説した『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』(藤井康一/KADOKAWA)が、早くも猫好きの間で話題になっている。
どこまで知ってる?“猫あるある”
人間同士でも“愛情”と“理解”は別もの。どんなに相手のことが好きでも、それだけでは相手の気持ちを理解し、わかっているとはいえない。
その相手が共通言語をもたない愛猫ともなると、なおさらだ。
例えば、こんなときの猫の気持ちがあなたにはわかるだろうか?
段ボール箱の中に入りたがる
猫は、野生時代からの本能の影響により、せまくて薄暗い場所=敵に見つかりにくく安心して過ごせる隠れ家が大好き。
しかも、体に密着するギリギリのサイズ感ほど猫にとっては快適。
新しいベッドを購入した場合は、最初は薄暗くてせまい場所に置いて、その子が使っている布団やタオルを入れてあげるのがおすすめ。
男性よりも女性によく反応する
猫の性別にかかわらず、猫は男性より女性のほうが好きなようだ。なぜなら、猫は高いトーンの音が聞き取りやすいから。
猫に振り向いてほしいときは、なるべく高い声を意識して。
おとなしく抱っこされてたのに、急に噛む
これは猫の「もういいでしょ!」という意思表示。なでる時間が長すぎたり、なで方があまりうまくなかったりしたときに猫が示す行動だ。
猫をなでたり、抱っこしているときに「耳が横を向いてきた」「しっぽを左右にゆらし始めた」ら、「もういいよ」のサインなので、見逃さないように。
などなど人間には理解しがたい猫の行動や心理を、1章の「もっと知りたい猫の気持ち」や3章の「かわいすぎて気になる猫の生態」ではわかりやすく解説。アドバイスなどのフォローも丁寧に書かれている。
猫はわがままでマイペースだから…で済ませてきたモヤモヤや疑問がすっきりすること間違いナシだ。
猫のためにやってはいけないこと
また、愛猫がかわいいあまりにアレコレ構ったり、何ひとつ困らないように、と気を配っているつもりが、実は猫のためによくないことも多々ある。
愛猫のためを思ってやっていることが、猫の気持ちを不安定にさせたり、体調不良を招く原因になっているとしたら…。
以下に、思い当たることはないだろうか?
猫のお願いはすべて聞く
つねに猫の要求に応え甘やかしすぎると、猫は「もっと、もっと」と愛情をほしがるようになり、大きな声で異常に鳴いたり、強い力でひっかいたり、噛んだり…といった「問題行動」を起こすようになる。
人を攻撃するだけでなく、毛づくろいの異常など、猫自身の健康も損ねることがあるので、過度な「猫かわいがり」は禁物。
ほしがるだけフードを与える
猫の食事は、年齢ごとに必要な栄養素、必要摂取カロリーが異なる。原則は「1日の適正量を守って与える」こと。飼い猫に「もうちょっと食べたい〜」とねだられても、決まった量以上を与えてはいけない。
猫の肥満は人間と同じく病気のリスクになるからだ。愛猫とずっと一緒に過ごすために、まずは「猫の肥満は万病の元」と認識すること。
せっせとお風呂に入れる
基本的に猫にお風呂は必要ない。猫は水に濡れるのが嫌いで、ストレスにも弱いので、なるべく猫が苦手なことは避けるべき。
ふだん毛づくろいしているので毛は清潔に保たれ、不潔なにおいがすることはない。
ただし、毛艶が悪い、毛玉ができている、体からにおいがするといった程度がひどい場合もお風呂に入れてあげてもよいかもしれない。
このように、飼い主側の気持ちや考えで行っていることが、猫にとって迷惑だとしたら…。
猫にとっての健康&快適な環境を見直すのに欠かせないのが、2章「食・水・トイレはもっとも大事」や5章「猫だってストレスなく暮らしたい」だ。
思わず、これまでゴメン!と猫に謝りたくなる飼い主も多いのでは?
ずっと健康でいてほしいから、不調のサインを見逃さない!
近年、人間と同じく猫も長寿化し、「ずっと健康でいてほしい!」というのは飼い主共通の願いになっている。
とはいえ、猫の体調不良に気づいてあげられなくて、落ち込む飼い主も少なくない。
本書の特筆すべき点は、猫の不調や病気に関する章が非常に充実している点だ。
「30年間の獣医師経験で培ってきたありったけを盛り込みました」と著者自ら語っているように、近年注目されている猫の肥満やうつ、最新の病気の治療までフォローされているから、飼い主にとってはなんともありがたい! の一言。
6章「不調のサインを見逃さない」では、「猫をなでていたらしこりを見つけた!」「脚をかばうように歩いてるみたい…」「うんちに虫が交じっていた!」など、猫にありがちなさまざまなトラブルの対処法から、頼れる動物病院の見つけ方までを紹介。
7章では「2大現代病、肥満&うつ」、8章では「猫社会にも高齢化がやってきた」、9章では看取りまでを見据えた「猫のクオリティ・オブ・ライフとは?」まで、猫好き獣医だからこその飼い主の気持ちに寄り添った情報が満載されている。
どんなに大好きで大切な家族の一員でも、猫にはミステリアスなことがまだまだたくさん。
快適なコミュニケーションのために、お互い快適にハッピーに暮らせるように、今すでに猫と暮らしている人はもちろん、これから暮らそうと思っている人にもぜひ常備しておいてほしい1冊だ。
文=岸田直子 イラスト=柴田ケイコ
【著者プロフィール】
藤井康一
藤井動物病院院長、獣医師、獣医学修士、博士(学術)、経営管理修士
1988年に獣医師免許取得、藤井動物病院での勤務を開始。1990年より3年間、米国ペンシルバニア大学獣医学校留学後、1997年より藤井動物病院院長に就任。2011年にツイッターを開始。多くの飼い主さんに「こんなことに注意をしてもらえれば」という現役獣医師ならではの最新情報を発信したところ、「困っていたときに役立った」と評判に。フォロワーは5万人超える(2020年7月現在)。