「受験勉強は効果なし?」とある脳科学者の主張に波紋広がる
公開日:2020/9/27
受験勉強に対するノウハウは、世の中に数多くあふれているもの。脳科学者の茂木健一郎氏は「対策ドリルばかりだと進学実績は伸びない」と発言し、大学入試の勉強法についてアドバイスを送っています。
進学実績を伸ばすには「地頭」が大切?
茂木氏が昨年5月8日にツイートしたのは、大学入試で行われる「ペーパーテスト」の対策について。
「受験勉強やその技術だけをやるのは経験的に効果的ではないことがわかっている」とコメントし、続けて「最初から受験対策でドリルばかりやっていても進学実績も伸びない」と断言しています。
茂木氏はいわゆる「進学校」を引き合いに出し、「進学校ほど、受験対策だけの授業はほとんどやっていない」「むしろ、生徒たちが、『こんなに受験対策しないでだいじょうぶか』と不安になるくらいに、徹底的に基礎的な、論理的に考える訓練をした方が、結果として進学実績もよくなる」と持論を展開。
「地頭」の重要性を説く茂木氏は、「(地頭があれば)そのあとの人生における伸びしろが違う」ともツイート。「いつ役に立つかわからない。でも考える。取組む。そのような脳の基礎トレーニングが、結果として(是非は別として)入試の結果にもつながる」「地頭は、遅れて役に立つ、一生役に立つのである」と締めくくっていました。
彼の一連のツイートに対し、ネット上では様々な反響が。
「確かにドリルばっかりだと社会で活躍する力はつかないよね……」「会社にいると、結局は地頭が大事だなって常々思う」「でも『とことん基礎を叩きこむ』っていう勉強も大切では?」といった声が上がっています。
企業の採用担当者が考える「地頭のよさ」
近年、企業の採用活動でも「地頭重視」の傾向は顕著なよう。「採用プロドットコム株式会社」で実施された、「『採用担当者が考える地頭力』企業アンケート」の結果を見てみましょう。
「採用したい学生の条件」でトップとなったのは、「コミュニケーション能力」で割合は91%。「地頭のよさ」は38%で5位という結果でした。
採用担当者によると、「地頭のよさ」とは「問題を先読みできる能力」「知識だけにとらわれず、即座に状況判断ができる」「機転が利く」といった力を指すそう。
また、「この人は地頭がよい」と印象に残ったケースを尋ねると、目立っていたのは「面接官の質問を正しく理解し、即した回答が返ってくる」「ひとつの質問から、話題が多方面に広がる」「対人でのコミュニケーションや表現の引き出しが多い」などの回答。
アンケートでは、「地頭のよさは入社後に鍛えられるか?」についても質問しており、結果は「思う」「思わない」がどちらも約30%。
短期間で鍛えることが難しい「地頭のよさ」。やはり学生時代からの積み重ねが大切なのかもしれませんね。