震災時、あって本当によかったものは? 大震災が起きる前にチェックしたい「防災おすすめ本」6選

暮らし

更新日:2020/9/27

 日本は世界でも有数の「地震大国」。2011年の東日本大震災は列島中に大きな衝撃をもたらしたが、いつどこで同じ規模の災害が起こってもおかしくない。「もし自分や家族が被災したら、一体どうすればいいのだろう…」と不安を抱えている人も多いはずだ。そこで本稿では、防災に関連する書籍を6冊ピックアップ。どの本にも必須級の知識が掲載されているので、“いつもの備え”に役立ててみてはいかがだろう?

巨大地震が起きた時、真っ先に確認するべきこと

地震イツモマニュアル
『地震イツモマニュアル』(地震イツモプロジェクト:編、寄藤文平:絵、NPO法人プラス・アーツ:監修/ポプラ社)

『地震イツモマニュアル』は2007年に発行されたベストセラー『地震イツモノート』の内容をより実践的にした1冊。地震はもちろん、台風や豪雨でも役に立つ備え方をイラストによってわかりやすく紹介した防災マニュアルだ。

 同書では電気・ガス・水道などのライフラインが断ち切られた時、命をつなぐための知恵や工夫を紹介。たとえば震度5程度以上の大地震が起きると、安全のために家庭用のガス供給は一旦停止されることに。被災者は焦らずに身の安全を確保した上、ガスメーターを復帰させに行けばいいという。

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 また高齢者用グッズや乳幼児用グッズ、会社に置いておくグッズなど、日常的に用意しておくべき防災グッズの数々も掲載。オビ裏を蛇腹に折るといつも持ち歩ける“ミニ防災マニュアル”に変身するので、手元に置いておくと安心できそうだ。

幼い子どもがいる家庭は必携!? 楽しくできる「アクティブ防災」

全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました
『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』(ママプラグ/祥伝社)

 地震や台風、大雪など、日本に住んでいる限りは自然災害のリスクがつねに隣り合わせ。自分だけならまだしも、幼い子どもがいる場合にはしっかりと対策しておかなければ災害を乗り越えることはできないだろう。

 2019年に刊行された『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』は、さまざまな災害に対応した防災ブックだ。同書を企画した「ママプラグ」は、東日本大震災後から被災者の声をもとにした防災講座をスタート。そこでは被災ママ・パパの体験談を伝えながら“本当に必要な防災”について徹底追及し、無理なく家族で行える「アクティブ防災」を提唱している。

 同書では子連れに焦点を当て、子どもと一緒に遊びながら防災力を身につける方法を紹介。防災に強い家族になるために必要な「家族間の連携を図るための方法」などを、イラストを交えながら楽しく伝授していく。

被災体験者ならではのリアルなアドバイスが満載!

被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40
『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(アベナオミ/学研プラス)

 災害に備えるためには、日ごろからマメな対策を行っておくことが重要。しかし子育て中のママは忙しく、十分に手が回らないケースもあるだろう。そんな時におすすめしたいのが、東日本大震災で被災したママ・イラストレーターが防災のアイディアをまとめた『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』だ。

 著者のアベナオミさんは2016年4月の熊本地震の際、自身の経験をもとにしたノウハウをツイッター上で発信。「震災時にあってよかったモノ」や「その後続けていること」をイラストでまとめたところ、3万6000件を超えるリツイートを記録するほどの話題を呼ぶことに。このツイートは新聞やテレビなどでも取り上げられ、「ママ目線の防災」の大切さを日本中に印象付けた。

 同書ではツイッター上で話題を呼んだノウハウに加えて、防災の向上と普及について日々取り組んでいるさまざまな人々の声なども収集。地震対策を考えたミニマリストや、都心でママ防災に取り組むNPO法人ママプラグ、熊本地震の震源地に近い空港保育園などに取材を行い、防災力を高める秘訣をまとめている。

日常生活の工夫を伝授! 女性視点の防災ブック

東京くらし防災
『東京くらし防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課:編/東京都)

『東京くらし防災』に収録されているのは、日常生活のちょっとした工夫でできる防災術や避難所生活の乗り越え方だ。たとえば外出先で被災してしまった際に命を守るには、日ごろから「ここで地震が起きたらどうするか」を考え、通勤・通学路にある危険物をチェックしておかなければならない。

 チェックポイントは「転倒・落下物」「身を守るための場所」「避難ルート」の3点。屋外では物が倒れたり、落ちてきたりする危険性があるので、逃げ場を確保できるような広い道路や安全な避難ルートをあらかじめ見つけ出しておくことが必要だ。また外出時は「肌の露出が少ない服装」「歩きやすい靴」「両手がふさがらないバッグ」といったポイントを意識すると、オシャレの中にさりげなく防災アイテムを取り入れられるだろう。

 各ページに音声コード「Uni-Voice(ユニボイス)」が印刷されているのも大きな特徴。スマートフォン専用アプリなどでコードを読み取ることで、音声で内容を確認できるように配慮が施されている。

お金をかけずに命を守るにはどうすればいいの?

レスキューナースが教える プチプラ防災
『レスキューナースが教える プチプラ防災』(辻直美/扶桑社)

『レスキューナースが教える プチプラ防災』の著者は、阪神・淡路大震災を機に災害救助に目覚めたレスキューナース・辻直美さん。「プロでなければ無理なテクニック」や「特別な道具が必要なもの」なしで、お金をかけなくても命を守れる“プロの防災テクニック”を解説していく。

 書籍を読むことで、100円ショップの商品や“家にあるもの”で防災グッズを代用する方法を学べるはず。また災害に強い家の作り方や、非常用持ち出し袋のアレンジ法についても紹介。地震だけでなく、ゲリラ豪雨や豪雪で脅威を増す水害についても知識を得られる。

 著者宅は2018年の大阪北部地震で震度6弱の直撃を受けたそうだが、同書に掲載されたテクニックによって無傷で危機を乗り越えられたという。防災グッズをあれこれ揃えても不安が尽きない人は、ぜひ参考にしてみてはいかがだろう。

ありそうでなかった“いぬ好き”のための防災ハンドブック

いぬとわたしの防災ハンドブック
『いぬとわたしの防災ハンドブック』(いぬの防災を考える会/パルコ)

 災害に見舞われた際、被害を最小限に抑えるためには計画的な備えが大切。しかし防災関連の書籍は人間が生き残る方法を説いたものばかりで、ペットやペットの飼い主目線に立った本は少ない…。そこで役に立つのが、犬を飼っている人のために制作された『いぬとわたしの防災ハンドブック』だ。

 同書が教えてくれるのは、「ペットの防災対策=人の防災対策」というメッセージ。防災意識をもって「準備:Ready」し、正しく「避難:Refuge」し、「責任:Responsibility」を持ってケアできなければ、人間とペットの両方を救うことはできない。

 書籍内では今日からできる防災対策や避難準備が、かわいらしいイラストと写真でわかりやすく紹介されている。犬が怪我をしたり病気になった時の対応や避難所での配慮など、知っておきたい知識が満載。また同じシリーズとして『ねことわたしの防災ハンドブック』も刊行されているので、猫を飼っている人はそちらもぜひチェックしてみてほしい。

 誰もが災害の被害者になり得るものの、家族構成やライフスタイルは人それぞれ。自分の生活にとって必要な防災知識は何なのか、万が一の事態が起きる前にしっかり考えておきたいところだ。