わが子から結婚の報告。両家の顔合わせのタイミングって?/知らないと恥をかく 50歳からのマナー③
公開日:2020/9/21
若い頃は知らないことでも、大人になると知っていて当たり前!? 年齢を重ねたことで初めて遭遇する、マナーの本質から実践までをこの1冊に集約!「マナー界のカリスマ」が書いた、知っておきたいマナーをイラストとともに紹介します。
「両家の顔合わせ」のマナー
わが子から結婚の報告を受けたときは、さまざまな思いが湧き上がってくるでしょう。言いたいこともあるかもしれませんが、結婚を決意した本人たちの気持ちを尊重するのが、子どもを愛する親の姿。もしも、気になる点があれば、お互いに心と心を挨き、納得するまで話し合いましょう。
そして、お相手のご家族とのお付き合いもスタートします。自分の子どものためにも品良く、結婚式の形式やその他の準備など、気持ちよく相談をしながら心地よい関係を築いていきましょう。
子どもから「結婚したい」と言われたら……
「結婚する2人が主役」と覚悟を決める
結婚は家族同士の問題でもありますが、何よりも本人同士の問題です。お互いが真剣に結婚を望んでいるのなら、親としてそれを見守ってあげましょう。
年長者としてアドバイスを与えることも必要ですが、頭ごなしに否定するのはNG。現代は結婚式のスタイルもさまざまですし、結婚のあり方も多種多様。大切なのはどの選択をするかより、「結婚をする二人がどのように考えて何を望み選んだのか」に耳を傾けることです。
結婚式や結納も、2人の意思に委ねる
家系や地域によっては「仲人を立てて結納をすることがしきたり」というケースもあるかと思います。しかしながら、ここでも真に大切なのは、当事者である2人がどう思っているのかです。まずは2人の気持ちや考え方を確認しましょう。
2人が「親しい仲間内だけのパーティーがいい」と考えているのなら、無理に披露宴を挙げさせることもありません。結婚後の生活や生計の立て方についても、きちんと確認した上で、親としてできることをすればいいのです。
「両家の顔合わせ」は互いの気持ちがベストのときに
お相手のご家族との、お付き合いの第一歩
結婚が決まったら、お相手のご家族への挨拶も必要ですね。いわゆる「両家の顔合わせ」です。こちらはできるだけ、早めに済ませたほうがいいといわれていますが、それぞれの状況に応じた形でかまいません。肝心なことは、結婚をする本人同士が幸せになること。その家族は、温かく見守る立場になりますから、顔合わせのタイミングも、両家の気持ちが心地よいと感じるよきタイミングがベストといえます。子どもとお相手を通じて連絡を取り合い、お互いにとってベストな日程と場所を調整しましょう。
以前は男性が親を連れて、女性宅へ出向く形式が一般的でした。現代はそうしたしきたりや慣習よりも、お互いの気持ちを優先させる時代へと変化し、ホテルやレストランに集まり、和気藹々と食事をしながら「顔合わせ」をするケースも増えていましたが、今、再び、以前のように自宅で行うケースも状況に応じてあります。
両家の顔合わせでの挨拶と自己紹介
基本的には次の流れで、全員の挨拶を行います。
①男性が自分の親を紹介。
②男性の親が自己紹介。
③女性が自分の親を紹介。
④女性の親が自己紹介。
挨拶が終わったら歓談をして、縁談の歓びを分かち合います。歓びすぎて、アルコールを飲みすぎないように注意してくださいね。
服装は「両家の格」に差を出さないこと
顔合わせの際の服装は、「両家の格」を合わせることがマナーです。一方が正礼装ならもう一方も正礼装、一方が準礼装ならもう一方も準礼装といった具合です。
近年は和気藹々と、略礼装で行う方々が多いようです。いずれにしても、互いにどのような服装で出向くのか、結婚する2人を通じて確認し合いましょう。
正礼装については本章、準礼装と略礼装については次章で、詳しく説明します。
相手を立てながらも、率直な意見交換を
顔合わせの際はお相手のご家族に、結納や結婚式についての考え方や希望を確認し、意見をすり合わせましょう。家族の考え方、地域的なしきたり、形式、仲人や媒酌人を立てるかどうかなど、細かい部分まで確認をし合うことが大切です。そうすることで、この先がスムーズに進みます。遠慮することなく、面と向かっているこの機会に、皆さんでしっかりと確認し合いましょう。
結納には大きく分けて、「正式結納」「略式結納(集合型結納)」「簡略式結納」の3つがあります。仲人を立てない簡略式結納の場合は、両家の顔合わせの場で結納品を交換することがよくあります。
もし、簡略式結納を考えているのであれば、結婚する2人を通じて顔合わせの前から、両家の意見をすり合わせ、当日に臨むと安心ですね。
※ソーシャルディスタンスを考慮した席で、安全な環境をつくるのもマナーです。
「お相手のご家族との関係」の注意点
密に連絡を取り、式の内容を詰める
両家の結婚式や結婚生活に対する考え方が、一度の顔合わせで一致すると良いのですが、そうとは限らない場合もあります。一度は一致したものの、結婚式が近づくにつれて、考え方や気持ちが変わったということもなきにしもあらず。そのような事態に備えて、お相手のご両親とは式直前まで、子どもを介しながら、齟齬のないように確認をし合っておくと安心です。
なお、正式な結納を行うと決めた場合は、日取りや形式も決めなければなりません。結納式と結婚式の資金についてそれぞれの負担をどうするのかなども、事前に話し合っておくべき大切なことです。
これから親戚になる間柄。配慮を欠かさずに
わが子の義理の親などになるといっても、入籍や結婚式を終えるまでは、正式な家族ではありません。馴れ馴れしくしすぎると、失礼だと受け取られてしまうことも。訪問時には手土産を持参するなど、気遣いや気配りは大切です。
また、結婚式前でも相手側の慶事・弔事があったら、最大限の礼を尽くしましょう。御祝儀や不祝儀はもちろんのこと、ときには冠婚葬祭への参列も必要になるかもしれません。
お中元やお歳暮については、相手のご両親が「そこまでは……」と積極的でない可能性もあります。お互いに贈るのか贈らないのかも、子どもを通じて確認をしておくと安心ですね。一方だけが、突然贈るというのは避けたほうが良いでしょう。先方が変に気を悪くされては本末転倒です。