子どもの結婚式で、席次を相談されたら? 神前式かキリスト教式かで席次が違う!/知らないと恥をかく 50歳からのマナー④

暮らし

公開日:2020/9/22

若い頃は知らないことでも、大人になると知っていて当たり前!? 年齢を重ねたことで初めて遭遇する、マナーの本質から実践までをこの1冊に集約!「マナー界のカリスマ」が書いた、知っておきたいマナーをイラストとともに紹介します。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー
『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(西出ひろ子/ワニブックス)

結婚式でのマナー/披露宴でのマナー

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

 結婚式の形式も和装での神前式、洋装でのキリスト教式や人前式など、多くのスタイルがあります。

 以前は結婚式に列席できるのは、双方の親族だけでした。昨今では職場やご友人の方々が参列する場合もあります。いずれにせよ、結婚を誓う神聖な場ですから、厳かさを壊さないことを心がけましょう。感情が昂ぶっても、泣きじゃくるようなことは避け、新郎新婦の親として、つつしみのある洗練された大人の振る舞いをしましょう。

神前式かキリスト教式かで席次も変わる

 結婚式での席次は、形式によって異なります。ここでは広く行われている「神前式」と「キリスト教式」の席次についてご紹介します。

 多くの場合は会場で担当者が席を指示誘導してくださいます。迷った場合は遠慮なく、会場の担当者にうかがい、自分の席を決めましょう。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

※ソーシャルディスタンスなどに配慮した席次をご案内できるよう、会場の方と事前に相談、確認をしましょう。

神前式の席次

 中央前方の神殿に向かって、新郎が右、新婦が左。その後ろに媒酌人夫婦。親族も新郎と同じ側(または新婦と同じ側)に縦に並んで座る。並び方は「血縁の近いほうから年齢順」が基本。

キリスト教式の席次

 中央前方の聖壇に向かって、右側に新郎と新郎側立会人(ベストマン)、左側に新婦と新婦側立会人(メイドオブオナー)の順に並ぶ。中央には、カソリックの場合は神父、プロテスタントの場合は牧師が立つ。

 親族は真ん中の通路である「バージンロード」を挟み、右側に新郎の父母、兄弟姉妹、親族、友人の順。左側には新婦の参列者が同じ順番で座る。

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※ソーシャルディスタンスなどに配慮した席次をご案内できるよう、会場の方と事前に相談、確認をしましょう。

「挨拶」で感謝を伝えるのも親族の役目

 結婚式が終わればいよいよ披露宴。新郎新婦のために足を運んでくれた方々に、丁寧に感謝の気持ちを伝えることも、親族の大切な役目です。

 披露宴開始時、披露宴中、そして披露宴終了時。新郎新婦を見守ってくれた方々への感謝を、丁寧な挨拶を通じて伝えましょう。

披露宴開始時の挨拶

 招待客が披露宴会場にいらっしゃる前に、会場の入り口に並びます。そして、すべての参列者に御礼を伝えます。わが子の友人や仕事関係者など、たとえこの日が初対面の相手でも、日頃お世話になっていることへの感謝を伝えましょう。

披露宴中の挨拶

 乾杯のあと、招待客への挨拶回りを行います。ただし、スピーチや余興、VTR上映中、新郎新婦のお色直しやケーキ入刀、キャンドルサービスなどの演出の妨げにならないよう、事前にプログラムの流れを把握しておくと良いですね。

 挨拶回りの順番は、まずは、こちら側がご招待をした主賓の方、職場の上司、ご友人など、時間的に余裕があれば、先方の主賓や親族へもご挨拶をしましょう。

披露宴終了時の挨拶

 披露宴が終了するときも、招待客のお見送りを丁寧に行います。参列していただいたことへの御礼、さらには祝福くださったことへの御礼を、おひとり、おひとりに心を込めてお伝えします。

「両家代表謝辞」を引き受けた場合

 披露宴のプログラムに「両家代表謝辞」が組み込まれていることもあります。あなたが謝辞を述べることになった場合、まずは「ご多用の中、出席くださったことへの感謝」を招待客全員に伝えます。それから、新郎新婦の今後を見守っていただけるように、お願いする言葉を述べましょう。招待客のアルコールが進んでいることも多いですから、感情的になって長くなりすぎないよう、短く終えるのがポイントです。

「感謝の手紙」ではハンカチを用意

 披露宴のメインイベントとして、新郎新婦から「両親への感謝の手紙」を読み上げられることがあります。新郎新婦だけでなく、親族にも注目が集まるメインイベント的なシーンのひとつです。あなた自身が皆さんから見られていることをしっかりと意識して、表情や態度、姿勢、また事前に身だしなみのチェックをして臨みましょう。

 感動とわが子を送り出す寂しさとが混じり合い、涙が頬を伝うこともあるでしょう。あらかじめ白いハンカチを用意して、涙が出たらさりげなくぬぐうと美しいですね。女性はレース付きでお化粧崩れのしない素材のハンカチがおすすめです。

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控え室に戻ったら、仲人や媒酌人に挨拶

 仲人や媒酌人の方に対しては、招待客をお見送りしてから、控え室などで挨拶を行います。新郎新婦と両家のご両親が揃ってから、御礼をするのがベストです。

 挨拶後は玄関までお見送りをし、「御車代」を渡します(次ページ参照)。

関係者への「心づけ」の相場を押さえておく

合計すればかなりの高額。事前に両家で話し合う

 慶事における「心づけ」とは、結婚式に協力していただいた感謝の気持ちを、新郎新婦から関係者に伝えるためのものです。

 とはいえ、新郎新婦はいろいろと慌ただしく、心づけを渡す時間がありません。そこで親が用意して、親や親族から関係者に渡すことが一般的です。

 対象者も多い上に高額になりますから、どちらが誰に渡すのか、金銭の負担はどうするかなど、のちのトラブルにならないよう、お相手のご家族とよく話し合っておくことが大切です。

心づけを渡す相手と目安となる金額

●仲人・媒酌人 … 10万~30万円(別途「御車代」として1万~10万円)

●主賓 … 「御車代」として1万~3万円

●神主や神父などの宗教者 … 1万~3万円

●司会者 … 1万~3万円

●カメラマン … 1万~3万円

●受付・会計・進行係 … 5千~1万円

●婚礼担当者 … 5千~1万円

●美容師・着付け係・運転手 … 3千~5千円

※「神主や神父などの宗教者」への心づけは、式場を通じて手配した場合、不要となるケースが多い。「司会者」への心づけも、会場のスタッフが行った場合、不要となるケースがほとんど。

1万円以上の心づけは、水引10本の「祝儀袋」に

 心づけは新札を祝儀袋に入れるのがマナー。水引は結び切りで10本が正式です。表書きは「寿」「御祝儀」「御礼」などとなります。御車代も表書きを「御車代」として、新札を祝儀袋に入れて渡します。

 ただし、1万円未満の心づけの場合、祝儀袋ではいささか仰々しすぎます。むしろ小ぶりのポチ袋に入れたほうが、「少額ですが感謝の気持ちです」といった謙遜の気持ちが伝わりますから、そちらを選ぶといいでしょう。

渡すところを他人に見せないのも礼儀

 心づけは人目に付かないところでお渡しするのも礼儀です。式場に到着してすぐ、最初の挨拶のときに渡せたらベストです。タイミングが合わなかったら、お見送り時の御礼の挨拶前に、他の人に気づかれないよう、スマートにお渡しできるといいですね。

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 このような感謝の気持ちをひと言一筆箋などに添えてお渡しすると、いっそう気持ちが伝わります。注意点は、句読点をつけないこと。句読点は『区切る』という意味から慶事の忌み言葉を連想させてしまうからです。使用する筆記用具は、鉛筆やボールペンはNG。筆か筆ペンで感謝の気持ちを綴りましょう。

「後日の正式な御礼」は控える傾向に

 かつては結婚式終了後、別日に改めて仲人や媒酌人の自宅にうかがい、正式な御礼を申し上げるのがしきたりでした。

 しかし、お住まいが遠方なら訪問も一苦労ですし、先方のご都合が合わない可能性もあります。そこで最近は結婚式当日、お帰りの際に御礼を伝えたら、後日の訪問は避けるケースが増えています。

 年配の仲人や媒酌人の場合、「後日御礼に訪れるのが当然」と考えていることもあります。そこで別れ際には、「本来ならば、改めておうかがいするべきなのですが、ご多用とうかがっておりますので……」などと、後日の挨拶にはうかがわないことを伝えておくといいでしょう。

<第5回に続く>