指示を出すときにもマナーあり! 職場で部下と良好な関係を築くためには?/知らないと恥をかく 50歳からのマナー⑦

暮らし

公開日:2020/9/25

若い頃は知らないことでも、大人になると知っていて当たり前!? 年齢を重ねたことで初めて遭遇する、マナーの本質から実践までをこの1冊に集約!「マナー界のカリスマ」が書いた、知っておきたいマナーをイラストとともに紹介します。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー
『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(西出ひろ子/ワニブックス)

部下と接するときの基本マナー

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

 50代ともなれば、職場にさまざまな人がいることは重々承知。仕事があって職場に行ける日々に感謝をして、周囲の人たちと楽しく美しい調和を奏でる毎日でありたいですね。

 自分ファーストではなく相手ファーストの精神で、先手で部下への配慮、感謝の気持ちを持って接すれば、良好な関係が築けます。

 そうして良好な関係が築けていれば、部下も耳を傾けてくれますし、パワハラやモラハラだと言われる危険も回避できます。

上司には「自分から話しかける姿勢」が不可欠

明確な用事がなくても、部下に話しかけること

 在宅勤務が定着しつつある現在。部下と顔を合わせないことも増えた分、上司が部下の気持ちを慮り、「調子はどう?」「困っていることはない?」「何か悩みなどあったら、遠慮なく言ってね」など、以前にも増して自分からコミュニケーションをとることは上司のマナーのひとつと言えます。これは、対面でもリモート(遠隔)でも同様のことですね。

 もちろん、部下のほうからコミュニケーションをとってきてくれるのが理想ですが、彼らの立場にたってみると、それは少しコクな気がします。若い部下にとっては、50歳を越えた人は親の年齢に近いため、話しかけることを「おこがましくて失礼」と感じている部下も少なくないのです。

 一方で、上司からむやみやたらと夜間や休日にメールやSNSなどで連絡がくることを迷惑に感じている部下もいます。良かれと思ってコミュニケーションをとっているつもりでも、相手にとっては苦痛に感じることもあります。こちらから部下の様子を伺うためのコミュニケーションをとる時間帯は、基本的に「勤務時間帯にさりげなく」、と心得ておくことが大切です。

 こうした配慮をしつつ、普段から部下と良好な関係を築いていれば仕事も円滑に進み、パワハラやリモハラなどと言われる危険も少なくなります。

指示を出すときは、「部下の名前」とセットで

 あなたは人と会話をするときに、名前を呼びかけながらコミュニケーションをとっていますか?

 誰かに「これやっててください」と言われたときと、「西出さん、これやっててください」と言われたときと、どちらが耳に残り心に響くかは明確です。

 心理学的には「名前を呼ぶ」という行為は、「社会的な報酬を与える」ということです。名前を呼ばれた側は、「社会的な報酬を受け取る」わけです。

 人は誰しも、報酬を与えてもらいたいと思います。そのためには自分が率先して、相手に報酬を与える。こうすることで、それは部下たちのお手本にもなるわけですね。これが50代になった私たちのスマートな大人のマナーといえましょう。名前を呼ぶだけでも、部下は心の扉を開いてくれます。

「50歳から生まれ変わった自分」を演出

 私たちがこの世に生まれてきた理由は、自身の魂を磨き、自身を成長させることです。根本から自分を変えなくてもいいのですが、「今までとはどこか違う自分」「昔よりいいねと言われる私」を、50代からは楽しんではいかがでしょうか。

 私は50代に入っから、人生初のファッションショーにモデルとして出演し、ランウェイを歩く経験をしました。年齢を重ねても、思いがけない経験はできるものです。

 はじめから「私にはできない」と決めつけてしまっては、もったいない気がします。自分のコンフォートゾーンを破るのではなく、少しだけ広げてみればいいのです。そうやってチャレンジする姿を見せることで、新たな自分を演出すれば、周囲の反応も変わってくるでしょう。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

「昔の自分」と比べたら部下に煙たがられる!

過去の自分が頭に浮かんでもガマン!

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

 あなたもこのようなセリフを、部下に口にしたことがあるかもしれませんね。実は、私の口癖でもありました。言っている本人は悪気はないのですが、これらは「部下に嫌われる上司のセリフ」の代表格です。事実、私も部下に嫌われていた時代もありました(笑)。

他人と比べられたら、誰だって嫌なもの

 私生活でパートナーから、「前の奥さん(夫)は……」「前の彼女(彼氏)は……」などと言われたら、いかがでしょうか。もちろん、感じ方は人それぞれだと思いますが、いい気がしないという人も多いですね。昔の自分を引き合いに出して、今、目の前にいる部下との違いをアピールするのは、これと同じようなことなのです。

話の方向は自分に向けない。常に相手に向ける

自分の話を持ち出すのは、賞賛に飢えているから?

 50代という大人だからこそ、部下指導でも余裕を持ちたいもの。自分中心に話を展開するのは、余裕を持っているとは言えません。それどころか、自分の未熟さ、恥をさらしているようなものです。

 自分中心に話を展開するのは、周囲に認めてもらえていないから。賞賛を受けたい下心から、話の方向を自分に向けてしまうのです。

 部下との関係を深めたいなら、相手の話に耳を傾けること。心に余裕のある人は、大人の魅力があります。部下もそのような上司に、ついていきたくなるでしょう。

<第8回に続く>