1人だけで出席してもいい? 会食に誘われたときに意外と見逃しがちなこと/知らないと恥をかく 50歳からのマナー⑧

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公開日:2020/9/26

若い頃は知らないことでも、大人になると知っていて当たり前!? 年齢を重ねたことで初めて遭遇する、マナーの本質から実践までをこの1冊に集約!「マナー界のカリスマ」が書いた、知っておきたいマナーをイラストとともに紹介します。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー
『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(西出ひろ子/ワニブックス)

会食やパーティーに招待されたとき

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

 会食やパーティーに招待されたとき、今までは部下の立場として、上司や先輩の指示に従うことがほとんどだったのではないでしょうか。

 これが50代になると、自身の判断や権限による場面も多くなります。具体的にどのような対応をすればいいのか、迷う人も多くいらっしゃいます。

 招待されたときにもベテランらしく、余裕を持ってスムーズかつ謙虚さを忘れない対応ができる人は素敵ですね。

どのような連絡手段で誘われても、まずは感謝

対面または電話で招待されたとき

 お会いしたときに直接、または電話で招待された場合は、まず「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えます。ここで「いつものことだ」「またか」などの気持ちは禁物。招待されたことへの感謝を笑顔で伝えましょう。

 感謝を伝えたあとは、参加できるかどうかを先方に伝えて、参加のできる場合は日程の調整をします。

 社内での確認が必要なら、参加できるかはその場では明言せず、「社内で確認をとりまして、改めてご返事いたします」などと伝えてください。

 参加できるかハッキリしない状況では、安易なことは言わないことです。いかにも参加できそうな返事をして、後日NGとなった場合、相手をがっかりさせてしまいます。

郵送物やメールで招待されたとき

 対面ではなく、郵送物やメールで招待されることもあるでしょう。このようなケースでは、郵送物であれば郵送物での返信、メールであればメールでの返信と、相手に手段を合わせることがマナーとされています。

 しかし、招待した側と親しい間柄であれば、まずは電話でお礼と参加できるかどうかを伝えてもまったく問題はありません。むしろそのほうがスピーディーですし、日程調整などもスムーズに進みます。特に郵送物に郵送物で返信をすると、数日のタイムラグが発生します。通信手段を合わせて、相手に返事を待たせてしまうよりは、電話で伝えたほうが相手のためでもあります。

 ただし、郵送物やメールで招待された場合、電話だけで済ませるのも失礼です。電話のあとに改めて、郵送物には郵送物で、メールにはメールで、正式な返信をします。これなら相手をお待たせすることなく、マナーとしても完璧です。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

食事を選ぶときは、無理に相手に合わさない

招待された側が店を選ぶのが本来のマナー

 ビジネスの会食などの接待では、招待した側が招待された側に、日時や食事内容をうかがうのが本来のマナーです。

 このような場合、招待した側はいくつかの候補を提示するでしょう。あなたはその中から、希望の日時や食事内容を選ぶことになります。「恐れ入ります。それではお言葉に甘えて、和食でお願いできますか」、親しい相手であれば「久しぶりに、和食でいきましょうか」などといった具合に伝えます。完全に自由に選べる場合は、素直に希望を伝えれば大丈夫です。

先に店やメニューが決まっている場合も……

 ただし、行く店やメニューがすでに決まっている段階で、会食に誘われるケースも少なくありません。このような場合、アレルギーなどの健康上の問題や、宗教的にタブーといった食材がなければ、相手からの提案を快く受けましょう。

 逆にそうした問題があったら、「申し訳ないのですが……」と前置きしてから、食べられないメニューとその理由を伝えましょう。ガマンして食べる姿を見せるよりも、ありのままの事実を伝えるほうが、お互いのためになります。

意外と見逃しがちな「参加人数の検討」

相手の人数に合わせて、こちらの人数も決める

 ビジネスにおける会食は、1人での参加を避けるのがルールです。取引先と1人だけで会っていると、癒着などを疑われる可能性もなきにしもあらずだからです。会食の場に誘われる機会の多い方なら、日頃から心得ていらっしゃることでしょう。

 会食などの招待を受けた場合も、複数人で参加することが基本です。まずは「何人でいらっしゃいますか?」と、先方の参加人数をうかがいましょう。

 たとえば先方が「2~3人でうかがいます」と答えたら、「では、お差し支えなければ私の部下の〇〇も、勉強のために同行させていただいてもよろしいですか?」といった具合に、近い人数での参加を伝えればいいわけです。

絶対に1人だけでは出席しない!

 先方が1人しか来ないという場合でも、同行者を探すのは鉄則です。社内にあなたより立場が上の人がいるのなら、必ず事前に相談します。

 ベテランになるとある程度の権限を任されて、社内での自由度もあるかと思います。しかし、いつまでも初心を忘れずに基本に忠実であることが、より一層の信頼につながり、部下後輩への良いお手本ともなります。会食に誘われたときも、「自分だけでいいよな」などと考えず、必ず同行者を探してください。

断るときも、失礼にならない言い方で

日程を理由にお断りする場合は簡単

 せっかくのご招待を、お断りすることもあるでしょう。とても残念なことですが、都合があることですから仕方がありません。

 単にスケジュールが合わないだけなら簡単です。「せっかくお誘いいただいたのですが、あいにくその日は予定が入っておりまして」と伝えればそれでOKです。

 そうすると相手も不快な気持ちにならないでしょうし、日程の変更が可能であれば、別の候補日を挙げてくれるでしょう。

知らないと恥をかく 50歳からのマナー

「こちらの都合で無理」とのスタンスで

 一方、「社内ルールで取引先との会食がNG」といったケースでは、日程を変えれば参加できるというものではありません。相手がコンプライアンス的に問題のある企業で、深く付き合いたくないという場合は、なおさら断らないといけないでしょう。

 このような場面では、「自分たちの問題で出席できない」といった言い方を心がけましょう。「弊社のコンプライアンスの問題で、会食を控えるような傾向にありまして」「繁忙期で時間的にむずかしい状況でして」といった具合です。

 このような場合でも、招待してくださったことに対する感謝の気持ちは、最後まで伝えるようにしましょう。そうすれば次の機会につながりますし、関係も良好に保つことができます。

続きは本書でお楽しみください。