お金を増やす勉強のためにキャバクラへ。「非現実」を味わえば、なりたい自分が見えてくる!/サラリーマンは寝ながらお金を増やしなさい④
公開日:2020/9/28
「お金を増やす」仕組みを作って、投資で毎年1000万円の不労所得を目指そう! 投資に才能や努力は必要ありません。必要なのは、自分に合ったお金を増やす方法です。不労所得の入門書から、著者が実体験で得た「お金を増やすためのマインド」をご紹介します。
非現実を味わってみる
「鷹幸くん、明日、東京に来てもらえるかな?」
「ちょっと急だよ! 明日は家族でイオンモールに行く約束が……」
「これは師匠の言うことだから絶対ね! これなかったら今までの話はなしだからね」
「それは……」
一瞬、「面倒だな、東京まではお金もかかるし、雅子が怒りそうだし……」なと頭をよぎりましたが、「ここで動かなければ一生変わらない」「厚子を秋本から奪還することはできない!」とふつふつと『コンビニドリップコーヒー事件』が思い出されました。
「急に仕事で東京出張になってしまった。ここで行かないとクビになるかもしれない、すまん……」
「クビにされたら生活に困るから、仕方ないので行ってきたら……」
無理やり、雅子の許可を取り向かうことにしたのです。
「大神くん! なんとか許可を取ったからいくよ!」
「そうこなくっちゃ。鷹幸くんは、お金を得るためのマインドはほとんど出来上がってるから、仕上げをしたいと思ってね。次の段階に来たんだよ!」
なるほど、ついにお金を増やす手法を教えてくれるのだなと、私は想像していました。
また、東京という妖艶な都市は万が一、億が一ということもあります。こんなときのために、仕事の出張のたびにホテルでこっそりもらったクオカードや商品券を金券ショップですべて換金し、その現金をしっかりと握りしめて電車に飛び乗りました。
「いさむな! 我が鷹よ! 決戦はまだ先ぞ!」
と、はやる自分の中の『鷹』をなだめながら新幹線で向かったのです。
「お金を増やす手法を学んできてね!」
ふと振り返ると、後ろから雅子と春子の応援が聞こえてくるようでした。
実際には、
「お土産を忘れないでね!」
と言っていたそうですが……。
15時に東京駅に着くと、大神くんに指定された六本木駅近くのホテルにチェックインをし、大神くんとの集合時間の20時までゴロリと一眠りしました。
決してサボっているわけではなく、この一眠りも大神くんからの指示だったのです。
20時になると、ホテルのロビーに大神くんが待っていました。
「これからどこにいくの?」
と聞きましたが、大神くんは答えてくれません。
「行けばわかるから!」
一緒に歩きながら、これはお金を増やすための手法を教えてくれるのではないのでは、と一抹の不安が出てきました。
しかし、そんな不安は一瞬で期待に変わったのです。
『鷹』が直感で言っています。
「風がくるぞ! とてつもなく大きな嵐がくるぞ!」
私たちは、六本木の中でもひときわ妖艶な空気をまとうエリアに入り込んでいました。道行く女性は、全員良い香りがします。私の中の『鷹』がざわつき始めました。
『鷹』がドヤ顔で言いました。
「俺の直感は、当たりだ!」
大神くんの足が、とあるビルの前で止まりました。
このビルは、かの有名な六本木共同ビル! 通称『ロアビル』です。ここまで来て、さすがにインターネットカフェで勉強するとか、ビリヤードをするとかはないだろうと思い、私の頭は勝手にフル回転し、様々な選択肢を排除していきます。
大神くんはビルの中に入り、私は置いて行かれないように嵐の中を必死についていきます。
「神様、仏様、大神様! どうか、キャバクラでありますように!」
「鷹幸くん! 着いたよ!」
お店の前についたときには、嵐はやんで一筋の光がコチラに向かって伸びていました。
『鷹』が想像した期待は確信に変わりました。そこは六本木で一番有名なキャバクラの扉の前でした。
鷹幸の中の『鷹』は狂喜乱舞の様相です。
そこは、一介のメーカー勤務のサラリーマンでは決して足を踏み入れることは一生ない、禁断の花園です。お店の前にいるだけでもその圧倒的な存在感で押しつぶされそうです。
その重い扉の向こうから、すでに良い香りが漂ってきます。この扉を開けることは一生ないと思っていた私が、ついに禁断の花園の扉を開けようとしているのです。
さすがに
「ここまで来て間違えたはないよな……」
「大神くんが騙すことはないはずだ……」
と、どんどん選択肢を削除していきます。
「そんなところに立ってたら、ほかのお客さんの邪魔だよ! 入ろう!」
パンパカパーン! 待ってました! これですよ! これ!
『鷹』の顔つきが、一気に狩猟モードになったのです。
生まれてきてよかった! お父さん、お母さん、さらには祖父母よ! ありがとう! と心の中は感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そんな感動に浸っている横で、大神くんはあっさりと中に入っていきました。
このときの大神くんの行動、威風堂々たる姿は、風神や雷神にダブって見えました。まさに神様、大神様です。
彼に寄り添って中に入ると、感動からの感動の連続でした。タイタニックを見た時よりも感動したと思います。
頭の中で、ふと幼少の頃に読み聞かせてもらった『浦島太郎』の話を思い出しました。浦島太郎に出てきた竜宮城とは、このような場所なんでしょうね。そりゃ太郎も時間を忘れてジジイになるまで乙姫様と遊びますよね。鯛やヒラメの舞い踊り状態です。言い換えると、ギャル系やアイドル系の舞い踊り状態です。
遊んだ詳細は、本書の内容から逸れるので割愛しますが、一言だけ言わせてください。
「竜宮城(男の楽園)は、実在する!!!」
私は興奮しきりの状態でしたが、大神くんは落ち着いていました。こちらのお店にも何度か来たことがあるのだろうという常連の雰囲気です。
「大神様! キープボトルでございます」
とボーイのお兄さんが数本の高そうなブランデーや焼酎を持ってきました。お酒には『大神』と書かれたタグがぶら下がっています。
神より偉大な大神くんは、さすが過ぎます。キープボトルまで置いているのです。
「鷹幸くん! 今日は楽しんでる?」
「うん! うん! すごく楽しいよ!」
私は感動のあまり今にも涙が出そうでした。
大神くんは、今まで見たことがない景色を見ることで、本当の自分のなりたい姿が見えてくるということを私に教えるために連れて来てくれたのです。言わば勉強のためです。
まぁ、私も薄々はそうなんだろうなとは思っていましたが(笑)。
大神くんに、なぜ私がキャバクラに行くと感動すると思ったのか聞いたところ、同窓会のときにスマホでキャバクラの評判記事を見ていたのをこっそり見つけたそうです。
この日を境に、私は大神くんのことを『マスター(師匠)』と呼ぶことに決めました。そして私は、マスターの『弟子(パダワン)』になったのです。