いざという時に愛犬を守るために! 読んでおきたい「犬連れ災害対策マニュアル」
公開日:2020/9/20
災害はいつ起こるか分からない。人間のための準備でさえ自信がないが、愛犬のための準備を考えると、何を用意してあげれば良いのか途方に暮れてしまう。
そんな人は、『犬連れ災害対策マニュアル』(レトリーバー編集部/エイ出版社)を読んでみると良いかもしれない。このムック本には、地震や豪雨、豪雪、津波などの災害から愛犬を守るための備えと知識が詰まっている。災害時に向けた備えとは、愛犬の物の備えやハウスの防災対策だけにとどまらず、愛犬のしつけや身元表示、他者とのコミュニケーションまで多岐にわたる。平常時からその準備を進めておくことは、被災した時に冷静な判断をする手助けになるだろう。
事前に犬の受け入れが可能な避難所を調べておく
環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」では、災害時、飼い主は愛犬を置き去りにせず、一緒に避難することを原則としている。だが、避難先が犬を受け入れてくれるかは自治体や避難所によって様々だ。愛犬と同室で過ごせる場合もあるし、人は室内、犬は別の建物や外という場合もある。そもそもペットの受け入れが不可という場合もあり、その場合は建物の軒先など外で過ごすことになってしまう。「避難したのに断られた」という事態を防ぐために、平常時から自治体に問い合わせ、ペットの同伴避難を受け入れてくれる避難所を探しておくことが大切だ。
また、愛犬を友人・知人などや救護シェルターに預けた方がいいと判断する局面もあるかもしれない。普段からいざという時に助け合える仲間を地域内外で作っておくようにしよう。救護シェルターに預ける場合には、各種予防接種がされていることが預かり条件になっている場合がある。定期的に予防接種を行い、愛犬の健康管理をしておくことは、災害時に物事をスムーズにする。愛犬の健康管理は怠らず、各種証明書は避難時に忘れずに持ち出すようにしよう。
ケージやクレートに慣れるのが第一歩!災害時に必要となるしつけ
避難所では、他の避難者への配慮が必要となる。愛犬のしつけをきちんと行うなど、平常時から備えておくことが大切だ。まず求められるのは、ケージやクレートに入って静かに待てること。突然できるものではないから、普段の生活で少しずつ慣れさせておくと良い。飼い主や愛犬の匂いがついたタオルを入れてあげると安心するから別途用意しておこう。また、決められた場所でトイレができるようになると良い。「外でしかしない」という子もいるだろうが、災害時、特に雨で冠水した場合は思うように外に出られないこともあるし、避難所内での粗相は厳禁だ。難易度が高いが、「ワンツー」の指示でどこでもできるようにしつけておきたい。この本ではトイレトレーニングの方法も掲載しているから参考にしてみると良いだろう。
災害規模が大きくなるほど物資は届かない…愛犬のために備えるべき物品
日頃から愛犬の物品の備えをしておくことも大切だ。家にある状態に満足せず、緊急時にすぐに持ち出せたり、取り出せたりするよう、ひとつにまとめ保管場所も考えておく。用意しておきたいのは以下のものだ。
【必ず用意するもの】
・食糧や飲料
・キャリーバッグやクレート
・リード(持ち出しやすい場所に複数用意)
・手入れ用品
・各種証明書
・連絡先を刻印した名札などの愛犬識別データ
・愛犬に関する情報をまとめた「愛犬連絡帳」
・薬や療法食
【余裕があれば用意するもの】
・毛布やバスタオル
・トイレシート
・ビニール袋
・食器
東日本大震災半年後の調査では、一度もペットの救援物資が届かなかったという避難所もあった。災害規模が大きくなるほど物資は届かないもの。必要となるものは自分自身でしっかり用意しておくようにしよう。
危険が迫っているのに「愛犬がいるから避難に躊躇した」ということのないように、いざという時のための準備は必要不可欠だろう。愛犬と暮らす人は災害に向けた準備を始めてみてはいかがだろうか。
文=アサトーミナミ