ピルを飲むのは恥ずかしいこと? ピルにまつわる大きな誤解
更新日:2020/9/18
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。
最近は、ネットの情報やお友達からの情報で、「ピルを飲んでみたいんです」と言って受診なさる方も増えてきました。数年前までは、医学的にピルの服用をした方がいいと思われる方に勧めても、「ピルはちょっと…」と断られるケースもまだありましたから、ピルに対するイメージも随分変わってきたのかなという印象です。
ピルの種類も、以前は避妊用の低用量ピルしかありませんでしたが、最近は、月経痛の改善薬として低用量や超低用量のピルが発売されており、選択肢も以前よりは増えてきています。
ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが混ざった合成ホルモン剤で、主に、排卵を抑える役割があります。日本には治療用の高用量ピルや中用量ピルしかなかった時代もあり、それが世界に数十年遅れてやっと避妊用の低用量ピルが認可され、そして、治療用のさらにホルモン量が低い超低用量ピルが発売されてきたという流れがあります。
ピルを「何の薬」として知るかによっても、ピルに対するイメージは異なってくるかもしれませんね。
ピルを「避妊薬」として認識している人は、「性的に活発な人が飲む薬」「コンドームを使わずに性行為を行うための薬」「遊んでいる人が飲む薬」といったイメージを持ってしまっている場合もあるかもしれません。それらは大変大きな誤解ですが、ピルについてよく知らない人や、偏った見方をする男性が、そういった意見を持ち出すかもしれませんね。
たとえ避妊目的でピルを服用していても、それは性的に恥ずかしいことでも何でもありません。だって、「今妊娠したいかどうか」を真剣に考えて、避妊を男性任せにするのではなく自分が主体的に確実に行うために「ピルを飲む」と決めてそれを毎日遂行しているわけですから。むしろ、自分の体を大事にし、パートナーとの関係を真剣に考えているという証拠です。
服用の目的が避妊であっても治療であっても、ピルを飲んでいることをネガティブにとらえる要素は何ひとつないのです。ある意味、堂々と、「私はこのためにピルを飲んでいます」と胸を張って言っていいくらいです。もちろん、ピルを飲んでいることをオープンにする必要もありません。だって、「私は血圧の薬を飲んでいます」とか「私はアレルギーの薬を飲んでいます」って、わざわざ言いませんよね?
最も大事なことは、服用している本人が「何のためにピルを飲んでいるのか」をどうとらえていて、それを主体的に選んでいると認識しているかどうかです。外野の声を気にする必要はまったくありませんから、自分なりの「ピルの活用法」を設定してみてくださいね。