乾燥肌、疲労感、イライラ…あなたの不調は「薬膳的おうちごはん」でやわらげよう 【作ってみた】
公開日:2020/9/19
酷暑が続いたうえに、新型コロナウイルスによるマスク生活、さらにいろいろなストレスなども加わって、なんだか例年以上に心身とも消耗の激しい夏だった。9月に入っていくぶん暑さは和らいできているが、まだまだ体調を崩す要因はありそうだ。
そんな中で大切にしたいのは、やはり日々の睡眠、そして食事。人間の体は、日々食べているもので作られる。適当な食事をしていると、体がきちんと回復できず疲れやすくなってしまう。そうならないためにオススメしたいのが、「薬膳」の考え方を取り入れるという方法。
薬膳というと、あまり見慣れないお高い食材を使う特別なものをイメージするかもしれないが、『薬膳的家ごはんレシピ』(deco/すばる舎)によると、スーパーで手に入る馴染みの食材で作ることもできるのだとか。本書では、「こんな症状の時にはこれ!」といった形で分かりやすくレシピが書かれているので、自分の体調と照らし合わせてメニューを決めることができる。
そこで、“今ほしい効果”を3つピックアップ。「乾燥による肌のトラブルを改善」「疲労を回復し、余分な熱を取る」「イライラがすぅーっと取れる」を叶える3つのレシピを実際に作ってみた。
「豚こま団子のぽん酢みぞれ煮」(p.13)
1つめは、乾燥による肌のトラブルを改善してくれる「豚こま団子のぽん酢みぞれ煮」。豚こま肉に塩、酒をもみこみ片栗粉をまぶして揚げ、だし汁、ポン酢、みりん、大根おろしでさっと煮る。あとは器に盛り付け、大根おろし、ねぎをトッピングすれば完成!
豚肉には腎(生命力の源)を補い、体をうるおす効能があるそう。これによって、体を丈夫にしたり、乾燥による体のトラブルを緩和したりしてくれるのだとか。暑さで消耗した体、冷房でダメージを受けた肌をいたわりたい今にぴったりの食材だ。
味つけはポン酢にみりんを加えることで酸味はおだやかで、万人受けしそうな味。豚肉にまぶした衣に煮汁がしっかりと絡み、口の中に肉のうまみがじゅわっと広がる。冷めた状態でもおいしく食べられるので、作り置きにもぴったり!
「タコとトマトのレモン醤油マリネ」(p.35)
2つめは、疲労を回復し、余分な熱を取ってくれる「タコとトマトのレモン醤油マリネ」。醤油、レモン汁、砂糖、おろしにんにく、米油、ブラックペッパーを混ぜ合わせ、角切りにしたタコとトマト、みじん切りにして塩もみし、水にさらして水気を切った玉ねぎを加えて混ぜれば完成!
タコには血を補う効能、気を補う効能があり、それにより疲労を回復させたり体の余分な熱を取ったりする働きをしてくれるそう。夏バテして体がだるい、寝ても体力が回復しない、といった症状がある人にうってつけだ。さらに、貧血予防の効果もあるとのこと。
タコの弾力ある食感とトマトのみずみずしく爽やかな甘酸っぱさ、玉ねぎのシャキシャキ感がとてもバランスの良い1品。玉ねぎは塩もみして絞ることで辛み成分が緩和されるため、生でも驚くほど食べやすい。これなら子どもでも辛みを気にせず食べられそう。
「セロリとじゃがいもの塩きんぴら」(p.75)
最後は、イライラがすぅーっと取れる「セロリとじゃがいもの塩きんぴら」。じゃがいも、セロリを5mm程度の千切りにし、油を引いたフライパンでじゃがいも、セロリの順に炒める。火が通ったら、塩、粉チーズ、おろしにんにくを加えて全体に絡めれば完成!
セロリは気のめぐりを良くし、頭に血が上った状態を改善してくれる働きがあるそう。これによりイライラやストレスの解消、めまいやのぼせ、不安感の改善に効果があるとのこと。新型コロナウイルスの影響でさまざまな不安やストレスが募る今、体だけでなく心のメンテナンスもできるのはとても有難い。
炒めたじゃがいも特有のホクホクしつつしっかりとした食感、セロリのシャキシャキ感はきんぴら風味にもぴったり。ニンニクとチーズが効いていていくらでも食べられそう。こちらも冷やしてもおいしいので、作り置きしておくと便利そうだ。
病気になってしまった場合には医者にかかることをオススメするが、こういった食材が持つ力を知っておけば「ちょっと具合がおかしいな…」という段階で適切な食材を取り入れることもできる。この『薬膳的家ごはんレシピ』には、簡単薬膳レシピと食材の効能説明のほか、薬膳のことをもっと詳しく知りたい人向けに「気・血・水」「肝・心・脾・肺・腎」といった用語の解説も丁寧にされている。自分の体を自分で調整する力を身につけるためにも、まずはこの本で薬膳の基礎を学んでみては?
調理、文=月乃雫