「牛乳で薬を飲んではダメ?」「カフェインも薬なの?」インフルエンザ&風邪シーズンを迎える前に知っておきたい「薬」の飲み方
更新日:2020/9/25
新型コロナウイルスのニュースでたびたび耳にする「ワクチン」や「特効薬」。わかっているようで、実はよくわからないという方も多いと思います。
そもそも「薬」について、どのくらい知っていますか? 薬に含まれる成分は、不調や症状を改善するものですが、その使い方を間違えると「毒」にもなってしまうことも…。
『薬のギモン早わかり帖』(藤井義晴/主婦の友社)より、コロナの「第3波」がくる前、風邪やインフルエンザのシーズン前に、覚えておきたい薬の飲み方についてまとめました。
薬を飲むタイミングの「食間」って、いつのこと?
薬の説明書には「食前」「食後」「食間」など服用のタイミングが書かれていますよね? 皆さんは、この3つの言葉を正しく理解していますか?
「食前」とは、食事の20~30分前のことで、胃の中に食べ物が入っていない時をさします。胃の粘膜に接して効果を出す薬や、胃に食べ物が入っていないほうが吸収や効果がいい薬などは、食前に飲みます。
「食後」とは、食事の後30分以内で、胃の中に食べ物が入っている時のことです。ほとんどの薬は、食後に飲みます。食物の消化を助け、胃もたれなどを防ぐ薬や、食べ物と一緒でないと吸収されない薬、胃腸障害を起こしやすい薬などは、必ず食後に飲む必要があります。
食後にすぐに薬を飲むと、胃の中で食べ物と一緒になってしまいそうですが、効果は変わりません。
問題の「食間」ですが、食事中に飲むと思っている方もいるようですが、そうではありません。「食間」とは、食事の2時間後が目安で、胃の中に食べ物がいない状態で、次の食事まで時間があいている時をさします。直接胃の粘膜に接して効果をあらわす薬や、胃に食べ物がないほうが吸収や効果がよい薬などは食間に飲みます。
薬の特性によって薬を飲むタイミングは異なりますが、説明書に書かれていることを守りましょう
牛乳で薬を飲んではダメ?
薬の中には、牛乳に含まれるカルシウムに反応する成分を含むものがあります。例えば、高コレステロール血症の薬を牛乳と一緒に飲むと、体内濃度があがって副作用があらわれることがあります。
いつも食卓に牛乳が欠かせない人には十分注意が必要です。
カフェインも薬ってホント?
朝起きたときや、作業を集中したいときに飲むコーヒー。コーヒーに含まれるカフェインには、ヒトの中枢神経を興奮させる覚醒作用があります。そのほか、利尿作用、強心作用もあり、カフェインは薬品成分の一種なのです。
市販の総合感冒薬や鎮痛剤などにはカフェイン配合のものもあります。栄養ドリンクを飲むとシャキッとしますが、それはカフェインの効果なのです。
カフェインは身近な物質の中では、ニコチンに次いで急性毒性が強い物質です。カフェインに弱い人では1日に20杯程度でも命に危険がおよぶ可能性があります。
最近流行のエナジードリンクには、コーヒーの3倍以上のカフェインが含まれているものもありますから、飲みすぎには注意が必要です。
体が大きいから、薬を多めに飲んでもOK?
薬の用量は、体の大きさだけでなく、年齢や内臓の解毒能力、基礎疾患など、さまざまな要素を踏まえて決める必要があります。
市販薬の場合は、そのような個人差を厳密に考慮することができないため、ほとんどが年齢を基準に用量が決められています。市販薬では「15歳以上」で大人の仲間入りということになります。
ここで大切なのは、年齢が基準になっていることです。たとえ、15歳未満で大人並みの体格になっていたとしても、大人と同じ量の薬を服用させてはいけません。体格が育っていても、肝臓や腎臓の機能が未熟であれば、薬の成分が十分に排出されなかったり、発達途中の脳に影響が出る可能性もあるのです。
さらに大人の場合でも、体格が大きいからといって、自己判断で服用量を増やしてはいけません。薬を飲んでも効果が出ない場合には、服用量を増やすのではなく、必ず医師に相談してください。
『薬のギモン早わかり帖』では、このほかにも、医師が処方する薬とドラッグストアで販売する薬の違いや、薬が体の中に入ってどのように効果をあらわすかなど、薬の基本情報をわかりやすく紹介しています。
また、気になるウイルスについての基本知識や、新型コロナウイルス対策の薬、ワクチン、予防接種の情報も収容しています。
病気や症状別の薬と成分など、薬について多岐にわたって解説していますので、普段から薬を持ち歩いている方や、薬を多く処方されているご家族がいる方は、自分と家族の安全のためにも、ぜひお手に取ってみてください。
【プロフィール】藤井義晴(フジイヨシハル)
兵庫県加古川市生まれ。京都大学農学部栄養化学研究室、同大学院博士課程、農林水産省農業技術研究所、農業環境技術研究所などを経て、現在東京農工大学特任教授。専門はアレロパシー(他感作用)。日本と世界からアレロパシーの強い植物を探索し、植物が作る生理活性物質の研究を行っている。著書に『アレロパシー』(農文協)、『植物たちの静かな戦い』(化学同人)、『ヘンな名前の植物』(化学同人)、『植物たちの生き残り大作戦』(新星出版社)などがある。